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新春初夢放談!2015年のカメラ業界を予測する

カメラの本質が問われる時代に お楽しみタイムはこれからだ!

デジタルカメラ業界の動向に詳しい写真家の山田久美夫さんに、2015年の予測をお聞きしました。各社への期待には、山田さんのこれまでの経験はもちろん、期待を存分に交えた“初夢話”もあり、明けたばかりの新年に期待が高まります。(取材・本文・キャプション:編集部)

2015年、デジタルカメラはどこへ向かう?

ここ数年はコンパクトデジタルカメラの市場が大打撃を受けているんですが、もともとデジタルカメラって“今までがバブル”だった。むしろ、1995年の「カシオQV-10」以来、こんなにバブリーだったことが驚異的といえます。

今年あたりからは、カメラを選んだり、使ったりすること自体が目的を持つ、原点回帰のような流れが起こる予感があります。銀塩時代もそうで、レンズ付きフィルム「写ルンです」登場以降のカメラ選びは、「写るだけのものはいらない」と真摯な状態になりました。持って幸せなものは、機能とは違う普遍的な価値を持つから、長く愛されるんですね。

スマートフォン時代の今もまさにそれです。自分がより深い満足が得られるものに価値を見出す方向になっているので、デジタルカメラも「これはいつ見てもいいよね」とか「心地いいよね」というピュアな嗜好に回帰していくのではないかと思っています。

今のカメラはバランス重視のものが多いですが、これからは、例えば、イメージセンサーの超高感度化や超高速化、独自センサーによる超高画質といった、“このカメラでしか撮れない”という強みをどこかに持つ“一点突破型”のカメラを許してくれる時代に向かうような気がします。

オリンパス

OM-DはE-M1とE-M10が去年のモデルで、どちらも完成度が高い。そんな中、真ん中のE-M5が取り残されてるんですよね。OM-DはE-M5から始まってE-M1もE-M10もその進化・熟成系ですから、順番でいうと次期E-M5は次の時代を予感させるようなモデルが期待できます。

E-M1とE-M10に挟まれて、最近存在感が薄い?(OLYMPUS OM-D E-M5

PENのカテゴリは、実用品か、嗜好品に振るかしかないと思っています。実用機と考えると、本当はPEN miniが今一番必要だと思うんですよ。それをうまくやってるのがパナソニックのLUMIX GM。PENはそのテイストを保ちつつ、小型軽量でいつも一緒にいられるようなスタイルにいくのが、僕は正しいと思ってます。E-P1から続く一桁シリーズは、ライフスタイル的な魅力も感じられる立ち位置に戻ってゆくべきだと思いますね。

一桁系とLiteの2枚看板に収斂されたPEN。PEN miniはいずこへ。(OLYMPUS PEN Lite E-PL7

レンズは、実用レベルで欲しいものは揃ってきましたが、意外に趣味性の高いレンズが少ない。「よく写るけど、いいコばっかりだよね」という状態かな。レンズ選びは、ボディーと違って、趣味性が強い。だから、はっちゃけたレンズが欲しい。マイクロフォーサーズだと、それこそフォクトレンダーとかコーワがそれ。

安心確実なお見合い型じゃなくて、「コイツとなら人生間違えてもいい!」みたいな恋愛型レンズに出会わないと、添い遂げられないなっていう感じ(笑)。

カシオ

よく言う話ですが、カシオは“カメラメーカーになりたくない”と思ってる唯一のメーカーです。カメラの固定概念のなかで製品を作りたくない、という姿勢ですね。

QV-10からちょうど20年で、カード型とか、長寿命バッテリーとか、カシオが何をしてきたのかを一度振り返るのは価値あることです。QV-10に始まる第一世代的なコンパクトデジタルカメラは、いま役割を終えつつあります。

けれどそれは、カシオが追求してきた流れではないんです。そうした発展の歴史を持つカシオが、次に何をするか、という点に注目し、期待したい。

カメラ部、コントローラー部分離型。はっちゃけた企画はさすがカシオ。(EXILIM EX-FR10

キヤノン

EOSですが、“ライバルのニコンにあってキヤノンにないもの”という見方をすれば、超高画素機ですよね。風景写真を撮っているユーザーが多いから、当然求められているはず。その期待に応えなきゃいけません。むしろ今年応えないと「36メガなら他社にもあるしな」と思われてしまう状況です。

ちなみにキヤノンにはAPS-Cの20メガ機がありますが、そのまま面積を35mm判フルサイズまで大きくすると、50メガぐらいになる計算。今のEOS 7D Mark IIの高感度特性とノイズ感で、レンズ性能も追いついていると判断すると、そのままフルサイズにしただけで出来上がりとも言えますよね、センサー的には。あとは、トリプルDIGICか、フォースDIGICかな?

2,000万画素クラスのAPS-Cセンサーを35mm化すれば、5,000万画素も夢ではない!(EOS 7D Mark II

あと、ほとんど初夢みたいな話ですが、それだけの画素数があると8K映像が撮れるんです。いつの間にか8Kもできてるじゃん、っていう(笑)。そう考えると、EOS 7D Mark IIがある意味でフルサイズへの予告編にも思えて、夢が広がっているところです。

さらにEFレンズは少しずつ世代を変えているし、収差のデジタル補正にできるだけ頼らないで、光学的に頑張るという姿勢。なので、これって仮に高画素機が登場しても処理がラクなんですよ。そうした素性のいいレンズも既にあるわけで、すごいと思います。堅実なメーカーです。

EOS Mは、キヤノンのデジタルカメラ史に垣間見える高いプライドを踏まえると、ミラーレスのケーススタディのようにも思えます。ミラーレスは日本を含むアジアでしか売れてなかったわけですが、「ワールドワイドで売れるなら本気出すぜ!」というスタンスにも取れる。

キヤノンは銀塩カメラでもAF化が最後だったり、時間を掛けて完成度の高いモデルをだして、結果的に、“最後にやってきてガサッと持っていく”という歴史があります・だから、EOS M/M2のつぎの世代になったときは、めちゃくちゃ怖いですね(笑)。

ミラーレスはまだ様子見?ただし本気を出すとキヤノンはこわいぞ(EOS M2

ソニー

α7 IIが出たとき、「なぜ年末に?」というのが一番の疑問でした。なにか理由があると思うんですよ(笑)。あれほどのものならCP+あたりでドカンと出せばいいのに。

すると、7の次に「9」が出るの〜?って期待も高まりますよね。仮に、α7 IIに続いて、高画素のRと高感度のSが手ブレ補正付きで登場するだけでも大ニュースなのですが。

今のα7シリーズは、いわゆる中堅機だから許してもらってる部分が色々ありますよね。高速連写ができない、コストのせいかバッファが少ない、防塵防滴や耐久性など…。ハイエンド機の登場こそが本気とは思いませんが、その余地があるのが怖さと言えます。

レンズ内手ブレ補正付きFEレンズの立場は…隠し球がまだありそうだぜ(α7 II

それと、僕らはついフルサイズ機に目がいきますが、多くはAPS-Cがメインストリームなんですよ。なので、そこにもっと力を入れてくる可能性もあると思います。

APS-Cの高級モデルは富士フイルムvsソニーの様相ですから、ボディ内手ブレ補正を積んだり、「4D FOCUS」と打ち出してきたAFを活かして、ミラーレスにおけるEOS 7D Mark II的な立ち位置を狙うとか。α6000はバランスの良さが特徴のカメラなんで、それを活かせば定番になれます。

レンズ一体型のRXって、いい意味でラインナップが完成しちゃってますよね。でも…RX1に手ブレ補正を積んでくれたら言うことない(笑)そこ以外は最高のカメラだと思いますし、デザインもα7 IIに見られるノウハウを入れれば、とんでもない”おじさんキラー”のカメラになると思います。RX100シリーズも次はEVF周りの不便を改善してくるでしょう。

依然として高級コンパクトの頂点。下位モデルRX100シリーズもやたら元気です。(サイバーショットDSC-RX1R

今のソニー機は「理性で買うカメラ」になっていて、中身はすごく正しい進化だけど、可愛くないと思える部分もある。なんか、萌えないんだよね(笑)。これからのカメラは感性的な評価基準が重要視されてくるので、α7から学んできた部分を反映できれば、いいカメラになるかなと。

シグマ

Quattro世代に移行中なので、dp3 Quattroは予定通り出るでしょう。一眼レフのSDシリーズもQuattro世代になるだろうというのは確実な話ですよね。

ただ両方ともストイックなカメラだから、ここで一発、初夢企画で(笑)シグマ初のレンズ交換式ミラーレスはどうでしょう。Quattroセンサーと処理デバイスはもうあるし、ライブビューができるのもわかっている。あと、マウントが決まれば、何か必要?っていう状態です。実現できる可能性は十二分にあると思います。

というのも、シグマがミラーレス用の交換レンズを、安価に売ってる意味が理解できなくて、「あれって、自分たちで使うために作ってる?」みたいな邪推もしてるんです(笑)。DNレンズ3本セットとQuattroミラーレスでも、15万円いかないと思います。もっと飛躍するなら、純正でマウントアダプターを出して「”シグマの”ニコンマウント用やキヤノンマウント用レンズが付きます」という”交換ボディ”のようなシステムのミラーレスにするとか!これは超魅力的だと思いますよ!

これはこれでいいんだけど、ふつふつとわきあがる「これでレンズ交換できたらなあ」という妄想。(SIGMA dp2 Quattro

レンズは、今のシグマのイメージを引っ張っているArtラインの充実が当然あると思います。現行品でも十分に素晴らしい85mm F1.4をはじめ、放置気味な20mmや28mmのF1.8とか、その上位機種として24mm F1.4あたりが、Artラインには必要ですよね。出す・出さない、ではなく、出さなきゃいけない(笑)。望遠マクロも、Artラインに入ってくると再評価されると思います。

それと、カメラメーカーには出しづらいようなフルサイズ用の小型ズームもいいですね。超コンパクトで、しかも、F値可変でもいいから、描写がバリバリにいい!みたいな。ミラーレス用のズームレンズもArtラインで出てきたら…。欲しいなぁ、ホントに!

ニコン

D7100の後継が気になりますね。いいボディなんだけど、まだこなれてない印象です。DXの中堅機がD5500であそこまでいったから、D7100後継はもっと大容量のバッファを積んだり、ミラーボックスを強化したり、AFも上位機種のものを入れたり、というのができるはずです。すると、D300Sの直継ではないけど、D7000系の格上げで“EOS 7D Mark IIよりちょっと下”ぐらいの位置にはいくと思いますね。

某Mark IIのおかげで、昨年は何かと当てこすりをいわれがち。新モデルはどうなる?(D7100

DfはD600ベースの印象ですが、D750ベースのプラットフォームのものが出ると思うんですよ。スリムさが一番求められるのはDfですから、誰もが期待してますよね。“期待を超えて、期待に応える。”ニコンですから。

レンズもDfに合うものがない。他社もそうですが、アナログ操作への回帰があって、液晶モニターを見なくても状況がわかるのはいいと多くの人が認めてると思うんです。すると、絞りリング付きのニッコール(笑)。ニコンは人が使って心地いいカメラのよさを改めて模索してる気がするので、主要レンズはもう1ラインあってもいいですよね。

確かにD750ベースだと往年のMF一眼レフ並みの薄さになるかも。でも金属ボディはあきらめないとね…(Dfブラック Gold Edition

ミラーレスのNikon 1は一眼レフにできないことを追求するカメラなので、Vシリーズは特に世代ごとに形を変えてますよね。ニコンのもう一つの理想追求のための、いい意味での“遊び場”として育てるのかな、と思うのがひとつ。

もうひとつは、Nikon 1で培った技術は凄くて、そのAFや連写に一眼レフの操作性を融合したら、めちゃくちゃすごいミラーレスになります。東京オリンピックを前に、「D6」(想像)あたりで融合するかな?なんて思ってます(笑)。

一眼レフとコンパクトにできないことを宿命づけられたカメラ、それがNikon 1。「レンズ交換式アドバンストカメラ」というネーミングが何と誇らしげなことよ。(Nikon 1 V3

パナソニック

Android搭載のCM1は、この春に日本で出ると予想してます。5月から強制SIMフリーになる流れもありますし。1月7日に発表があったディーバ社との提携は、これからのLUMIXには通信を入れるという宣言とも取れますよね。

いま他社の現況を見ても、どこにも通信っていうキーワードがありません。でもFacebookをはじめ、写真を撮って何をするかというと、アップロードしてるんですよね。そして、デジタルカメラの機能で一番乖離しているポイントが「通信」です。CM1は自動アップロードもサポートしてます。

はてさて国内発売はいつなの?みんな待ってますよ!(LUMIX DMC-CM1

ヴィーナスエンジンにLTEなど通信系を一体化すれば、各機種への展開は自由自在。さらに、そろそろ新機種が登場してもよさそうなマイクロフォーサーズのGX7系統あたりがSIM対応になったとしたら、続けて、他のGシリーズも同じエンジンで展開できますよね。

あとCM1の出た意味はもっと大きいと思っていて、パナソニックが日本の通信キャリアのスマートフォンの仕事をしなくなったところで出せた製品です。最初から純粋にSIMフリーで、ハードウェアを売って、さらに、SIM事業への参入も表明している。これでもしSIMも持てれば、ルーチンでその収入まで入ってくる。今までのカメラメーカーになかった「日銭」を稼げるようになるわけです。仮にそれでうまくいけば“固定給”があるわけで、カメラ作りももっと自由になるかもしれません。これは凄いビジネスモデルになります。

LUMIXは、去年の頑張りが凄かったと思います。GH4の完成度は高いし、GMも「EVFがあればな」というニーズにすぐ応えた。実力があって基礎研究ができているんだと思いますが、早いんですよ、パナソニックって。

「覗いて撮りたい」といった嗜好にもきちんと応え、一眼レフ的なホールド感で撮りたい人にはGシリーズ。欧州では手が大きくても普通に持てるミラーレスとして展開していますし。LUMIXって、スペックだけで押し切らず、最後に「好き」って言わせるカメラなんですよね。

ちっちゃいけど妥協なし。今年こそパナソニックの巻き返しがくるのか?(LUMIX DMC-GM5)

富士フイルム

X-T1がソフトウェアアップデートで性能を上げて、フラッグシップのX-Pro1後継も画期的な変化があるまでは出さないと言っている状態です。その画期的な変化が何かと想像すると、イメージセンサーに余地がある気がします。

Xシリーズがいいと言われるのはカメラ自体の佇まいもありますが、やっぱり独自センサーが描き出す絵作りなんですよ。X-Trans CMOSで使われているローパス不要のカラーフィルター配列なら、線が細くなって、レンズ素性をそのまま出せます。だから銀塩っぽい絵になるんです。

X-T1はひとつの到達点。でもX-Pro2にも過大な期待してまう。(FUJIFILM X-T1

富士フイルムのカメラって、人を気持ちよくさせるところがあるんですよ。他社ではちょっと軽視されてる気もする点ですが。ただ、動きものの撮影はやや苦手なので、そこに対応するかどうかが今後の方向性として気になります。ある意味、スポーツ競技などの動きものは特殊用途ですから。もちろん、運動会ぐらいだったら今でも撮れちゃいますけど。

X-T1もいいけど、X-E1系のフラットデザインもやはりいいので、あの進化系がひとつ欲しいんですよね。現行のX-E2にあと何が欲しいかというと、チルト式モニター。そしたらけっこう無敵ですよね。しかも、タッチ式で。あとそれに関連するポイントとして、防塵防滴仕様にしてくるかどうか。

X-T1快進撃のおかげで、影が薄くなるのは仕方が無いとして…でもかっこいいよね。(FUJIFILM X-E2

ポケットサイズのXQ1は、本当にいいカメラです。まだ発展余地があると思いますけど、レンズもセンサーもいいし、後継機が出たらまた使いたいです。これは正常進化かな?

X30は新しい時代の高級機ですね。あんなに心地よいカメラは、なかなかないですから。大きくプリントするならもっと画質に欲が出る人はいるかもしれないけど、モニターやWeb中心なら、ほぼ万能機です。あの手動ズームリングを使ってしまうと、電動ズームは人間の微妙な操作ができなくて「違うな」って気がしますし、“人は何で満足するか”を心得てると思うんですよ。

レンズは超望遠ズームが予告されていて、いつ出るのか気になります。Xシリーズはオーロラを撮るような人も結構いますし、フィシュアイが欲しいですよね。あとはマクロが60mmだけではキツいので、もうひとつほしい。さらに、夢のレンズのように評されている35mm F1.4はクセが結構あるので、開放からパリッと写るバージョンを追加するとか(笑)。56mm F1.2を2つ出したんだから、アリですよね。

リコーイメージング

今一番動きが見えないのがリコーですね。GRは、最新のセンサーとエンジンに変えるだけでも進化すると思います。普遍性のあるシリーズなので、無理に変える必要のないラインなんですよね。

中判のPENTAX 645Zは新しいのでこのままだとして、Kシリーズはあと何をやるべきだろう、というところまできていると思います。

で、Kマウント系の初夢ですが(笑)。いっそ、ショートフランジバックの36メガのフルサイズミラーレスを加えて、DAレンズはAPS-Cクロップで16メガ、というのが落とし所な気がします。そうするとフルサイズレンズを急いで出さなくても済むし、最新の画像処理エンジンならレンズの収差補正もかなり進んでいるので、昔のレンズが十分使えると思うんですよね。

コレもKマウントのミラーレスでしたね。(PENTAX K-01

フィルム時代のペンタックスのレンズはイイですから。色収差なんかはそういった補正で対応するとして、十分に使えると思います。ペンタックスファンの方々はレンズが好きだから、メリットになりますよね。

ペンタックスのレンズは、数十年前から、立体を撮ることを大前提としているんですよね。“チャートに弱くて実写に強い”とも言いますね。この手のレンズは、高画素センサーと組み合わせると、自然な立体感のある絵が撮れる可能性を持っているんです。

THETAは究極の記念写真カメラでもありますよね。第二世代になって進化はしましたが、同時に不満も出てきていて。それは解像度なんです。いま、コダックの360度アクションカメラがパノラマ撮影をする人達に好評で、理由は画質なんです。初代は画質が悪くても全天球にインパクトがありましたが、今求められているのは基本的な実力をもうワンランク上げることで、するともうひとつ大人になれる気がします。

まとめ:便利なものは安くていい。楽しいものは高くてもいい

カメラは究極的には嗜好品で、作り手のポリシーや哲学があって、その具現化をベースにモノが作られています。僕の見方として、製品は製品単体では語れず、そうしたバックボーンがあるんです。それはメーカーが培ってきた“人生経験”や”人生観”みたいなもので、それぞれの考え方を色濃く反映しています。

とくにこれからのカメラ業界は、それぞれが個性をきちっと出して、「私はこう考えます!」というのをメーカーとして、もっと明確に見せていくことが求められます。カメラは趣味性が高いから、そういう点が出てきやすいですし、カメラが楽しいと思う大きなポイントですよね。

なので、デジタルカメラって、本当は純粋なデジタルだけではなくて、むしろ、とてもアナログな製品です。デジタルの究極の姿は、極限までアナログに近づくものともいえます。その技術が「人の思い」を表現できる水準に追いついてきたのが、デジタルカメラの、今の状態です。これまでは人間でいうと、ホントにハタチぐらい。まさに、デジタルカメラがまさに1995年のQV-10から成人式を迎えたような状況ですね。

これまでは銀塩カメラが親だったようなもので、親に学びながら自分は何ができるか考えてきて、人と同じように「自分って何?」にぶちあたる。その問いからは逃れられません。そして、そこから、自分らしさや個性を活かし、これからデジタルカメラは生きていくということなんですよね。

これからが、ほんとうの、デジタルカメラの時代なんです。

デジカメWatch編集部

山田久美夫