特別企画
「夏旅写真」を効率良くバックアップ&シェアするには?
本日発売!話題の“TransferJet搭載SDHCメモリカード”をいち早く試してみた
Reported by 曽根原昇(2015/7/31 12:00)
梅雨も明けいよいよ本格的な夏到来。海や山へと旅行にでかけ、写真を撮る機会が増える読者も多いのではないだろうか。
旅先でよい写真が撮れたなら、すぐにその場でFacebookやTwitterに投稿するのが今どきの写真の楽しみ方というもの。また、たくさん撮った大切な思い出は、なるべく早いうちにパソコンに取り込んでバックアップを心がけたいものである。
そこで今回は、旅の写真で重要な「シェア」と「バックアップ」という、2つの作業をより快適にしてくれる画期的なアイテムとして、東芝の「TransferJet(トランスファージェット)搭載SDHCメモリカード」を紹介したい。
7月31日発売の新製品であるが、一足速く使用感を試す幸運に恵まれたので、夏本番を先取りして沖縄の旅に出かけて使ってみた。
TransferJet搭載SDHCメモリカードとは
TransferJetとは、簡単な操作で、安心して接続でき、快適なデータ転送を実現するために開発された国際標準規格(ISO/IEC17568)の近接無線転送技術である。無線LANなどのように面倒な接続設定は必要なく、通信したい機器を直接“かざす”だけでよく、接触点から約3cm以内という近距離通信のため、他の通信システムと干渉することが少なくセキュリティが高いのが特徴。しかも最大実効速度は375Mbpsと、既存の無線通信規格と比べて高速である。
そんな便利づくしのTransferJetを、文字通り、SDHCメモリカードに搭載したのが、東芝の「TransferJet搭載SDHCメモリカード」というわけだ。
Wi-Fi機能を内蔵したデジタルカメラやSDメモリカードというものが多く発売されている昨今であるが、その接続方法や初期設定は機種によって多様であり、スマートフォンにインストールする専用アプリもメーカーによってまちまち。「写真をスマートフォンやパソコンに送信してSNSに投稿したいな」とは思っても、接続に要する数ステップを手間に感じてしまい結局放置してしまうことはよくあることだ。
しかし、TransferJet搭載SDHCメモリカードならそんな煩わしさを感じることなどは一切なく、対応したデジタルカメラであれば、本カードを挿入しているだけで撮影した画像を簡単に対応するパソコンやスマートフォンに送信できる。何しろ“かざす”だけでOKなのである。
なお、画像データの送信先となるスマートフォンやパソコンもTransferJetに対応している必要があるが、残念ながら現状ではまだTransferJetを搭載した対応機器は少ない。ただし、非対応のパソコンやスマートフォンでも、別売の「TransferJet対応アダプタ」を使えば問題なく通信が可能である。
TransferJet対応アダプタには、「Windows用USBタイプ」、「Android用Micro USBタイプ」、「iOS用Lightningタイプ」、また「Windows用USBタイプとAndroid用Micro USBタイプのセット」がラインアップされており、それぞれのOSに対応するアダプタを装着し、専用のアプリ&ソフトウェアを起動すれば、TransferJet搭載SDHCメモリカードからの画像受信が可能となる。
2種類ある送信方法
デジタルカメラで撮影した画像の送信方法には、活用シーンに合わせて「一括送信機能」と「選択送信機能」の2種類がある。
「一括送信」はTransferJet搭載SDHCメモリカードに記録された画像データを一度にバックアップするための送信方法だ。この方法ではTransferJetのファイル転送技術が最大限に発揮され、まさに機器どうしを“かざす”だけで通信が始まる。
同じ画像の送信は1回限りしかできず、複数の受信機器に同じことを繰り返して送信することもできないが、新たに画像を撮影してから再び一括送信をすると、新しい画像を差分として送信するので重複なく、バックアップに便利な送信方法である。
受信機器がAndroid とWindowsの場合は送信可能なファイルの種類に制限がなく、JPEGの他にもRAWやTiffなどの送信も可能である。ただし、受信機器がiOSの場合は送信可能ファイルの種類に制限があり、JPEGやTiffなどは送れるがRAWは送ることができない。
「選択送信」では特定の画像を選択して送信できる。デジタルカメラのDPOF(印刷予約)機能を利用して画像選択するため、選択のためのひと手間が必要にはなるが、必要な画像のみを複数の受信機器に何度でも送信することができる。
送信できるファイルの種類はJPEGのみで、一度に送信できるのは1台までとなるが、気に入った写真を仲間とシェアしたい、または同じ写真を何度も繰り返して送信したい、といった場合に便利な送信方法である。
サクッとその場でスマートフォンに送信
スマートフォンへのデジタルカメラからの画像転送といえば、SNSへの投稿のためだったり、仲間同士で写真を共有するためだったりと、「シェア」が主な目的となるだろう。この場合、TransferJet搭載SDHCメモリカードの送信方法は「選択送信」が便利だ。
今回使ったスマートフォンは富士通の「ARROWS NX F-04G」。先に、TransferJet非対応のスマートフォンへ画像を送信する場合は、別売の「TransferJet対応アダプタ」を使う必要があると述べたが、スマートフォンのうちARROWS NX F-04GだけはTransferJet機能を内蔵しているので、アダプタを使う必要がない。
選択送信で画像を送信するには、まずスマートフォンにTransferJet用のAndroidアプリ「TransferJet Utility」(iOSの場合は「TransferJetApp」)をあらかじめインストールしておく必要がある。
次に送信したい画像を選択するが、これは前述の通り、デジタルカメラ側のDPOF機能を利用して選択(予約)する。DPOFとはお店プリントや対応プリンターで写真をプリントするために、プリントしたい画像とその枚数をメモリカードに指定する、いわゆる印刷予約のこと。現行の一般的なデジタルカメラの多くが標準で備えている機能である。
今回はキヤノンのEOS 8000Dを使用したので、DPOF機能を利用した画像選択はメニューの「再生1」にある「印刷指定」で行った。DPOF機能は使用するデジタルカメラによって名称や操作方法が異なるため、取扱説明書などでそれぞれの使い方を確認しておいてもらいたい。
画像の選択が完了した後、スマートフォンのアプリを起動すれば、あとはデジタルカメラにスマートフォンを“かざす”だけで通信が始まり、選んだ画像が順次送信されていく。言葉で書くと難しく感じるかもしれないが、要は「DPOFで画像選択」→「カメラにスマホをかざす」という非常に簡単な作業である。
初めてのウミブドウ!ぷちぷちして美味しい。葡萄味ではないんですね。
Posted by曽根原 昇on 2015年7月19日
注意したいのは、TransferJetの通信距離が約3cm以内と近距離であるため、通信中に接触点が離れると通信速度が遅くなったり、接続が切れてしまうことがあること。スマートフォン側の接触点を、なるべくデジタルカメラのSDメモリカードスロットに近づけて離さないように気をつけたい。
とはいえ、TransferJetの通信速度は非常に速いので、数枚程度の画像送信ならすぐに終わってしまう。“かざす”だけでお気に入りの写真を素早くシェアでき、まるで写真を手渡しするかのように気軽な感覚であった。
タブレットに選択送信。休憩しながらレタッチも
TransferJet搭載SDHCメモリカードの選択送信はスマートフォンだけでなくタブレットでも同様に可能だ。
今回の旅行にはVAIOのモンスタータブレット「VAIO Z Canvas」を使用した。VAIO Z Canvasはタブレットとはいっても、OSにWindows 8.1 Pro Update 64ビットを搭載した12.3型のクリエイター向け超ハイスペックPCである。
側面には2基のUSB端子を備えているので、TransferJet搭載SDHCメモリカードとの通信はWindows用USBタイプのアダプタを装着して行うことになる。ちなみに、VAIO Z CanvasはSDメモリカードスロットも備えているが、SDメモリカードで直接画像を転送するよりもTransferJetで送信する方が簡単で高速であるところがポイント。
OSがWindowsなので、受信側のソフトウェアが「TransferJetファイル転送」になる違いこそあるが、選択送信で画像を送る方法はスマートフォンの場合と全く同じ。デジタルカメラ側のDPOF機能で画像を選択してから、TransferJetソフトウェアを起動し、デジタルカメラをVAIO Z Canvasに差し込んだTransferJet対応アダプタに“かざす”だけである。
また、VAIO Z Canvasを販売するソニーストアでは初回生産分限定で「Windows用USBタイプとAndroid用Micro USBタイプのセット」が付属するキャンペーンが行われていた。クリエイター向けの超ハイスペックタブレットの発売にTransferJetの積極的な協調があったことからも、TransferJet搭載SDHCメモリカードがいかにフォトグラファーの創作活動に有効であるかが窺い知れる。
ただ、タブレットといえば、Android搭載端末やiOS搭載のiPadを所有している人が多いことと思う。それらのタブレットでも対応アダプタと専用アプリを使えば同じようにTransferJet搭載SDHCメモリカードからの画像送信が可能だ。
PCに一括送信
宿泊先のホテルに戻ったら、持参したノートパソコン「dynabook KIRA」に撮影画像をバックアップである。撮影した全ての画像をパソコンに送信するので、この場合のTransferJet搭載SDHCメモリカードの送信方法は「一括送信」となる。
dynabook KIRAに使用するTransferJet対応アダプタはVAIO Z Canvasの場合と同じくWindows用USBタイプであり、あらかじめ専用ソフトウェア「TransferJetファイル転送」をインストールしておいた。
パソコンへの送信手順は、画像選択が必要な選択送信よりもさらに簡単だ。「ソフトウェアを起動」して「カメラを“かざす”」だけである。デジタル一眼レフとノートパソコンという比較的重量のある組み合わせなので、正しくはデジタルカメラ側のSDメモリカードスロットを、ノートパソコン側のTransferJet対応アダプタに対向させ、できる限り近づくように“置く”といったほうがいいだろう。
一括送信は、TransferJetの通信速度が最大限に生かせる送信方法である。高速で大量の画像をバックアップすることができ、しかも通信の開始は“かざす”だけ。全ての画像を送信し終わると低消費電力のために自動的にTransferJetの無線もOFFとなる。
例えば旅行1日目の宿泊先で一括送信によるバックアップをしたとして、翌2日目に追加で撮影した画像をまた一括送信すれば追加分(差分)だけが送信される。宿泊先に戻るたびに、パソコンに差し込んだTransferJet対応アダプタにデジタルカメラを“かざす”だけで、確実にバックアップが成されていく。非常に便利で安心だ。
ただ、前述の通り、一括送信が完了すると自動的にTransferJetの無線がOFFになるため、つづけて一括送信(差分送信)を行う場合には電源を入れなおす必要があるという、少々の注意点がある。また、大容量の画像を大量に送信する場合はそれなりに時間を要するので、途中で本体の電源が落ちてしまわないように、カメラのバッテリー残量やオートパワーOFFなどの機能にも注意したほうがよいだろう。
まとめ:手間いらずで高速!撮影旅行に持っていきたいアイテム
もう一度おさらいしよう。TransferJet搭載SDHCメモリカードは、誰でも簡単に“かざす”だけで画像を送信できる、近接無線通信技術を搭載したSDHCメモリカードである。
従来のように、SDメモリカードをカメラから取り出してカードリーダーで画像を読み込んだり、Wi-Fiなどの無線LANのように接続のための面倒な手順を踏んだりする煩わしさから解放され、なおかつ速度が非常に速いので送信の待ち時間の長さからも解放される。「シェア」と「バックアップ」という、デジタル時代に写真を取り扱うための2大要素を取り扱う上で、これほどまでに手間が要らず汎用性の高い画像送信方法は他にないといっていいだろう。
一度使ってしまうと手放せなくなり、外出先での使用はもちろん、自宅における日々の使用のためにも、手持ちの全ての受信機器にTransferJet対応アダプタを取り付け、使い倒してみたくなるほどだ。撮影頻度が高くなるこれからの季節を前に、TransferJet搭載SDHCメモリカードは決して間違った選択ではない。ぜひ!お試しあれ。
制作協力:株式会社東芝