特別企画
写真家が選ぶ! 価格別・おすすめギフト集【2021年冬】
赤城耕一さん、こばやしかをるさん、中原一雄さんがセレクト
2021年12月22日 17:00
クリスマス間近。ここでは季節の新企画として、写真家のセレクトによる“おすすめギフト”を紹介します。今回は、赤城耕一さん、こばやしかをるさん、中原一雄さんの3名に、2,000円/5,000円/1万円前後でそれぞれギフト用にオススメしたいアイテムを紹介してもらいました。カメラ/写真好きな方への贈り物に、はたまた自分用として、お楽しみいただければ幸いです。(編集部)
赤城耕一セレクトの3品
2,000円コース「コイン電池が測れる電池チェッカー」
フィルムカメラも絶賛現役使用中の筆者ですが、バッテリーを入れたままだと漏液などでカメラやモータードライブなどを痛めることがあります。保管中はバッテリーは外し、使う時だけバッテリーを入れるように心がけていますが、毎日のようにフィルムカメラを使うわけではないので、取り外したバッテリー残量がどのくらい残っているかわからない場合が多く、不安になります。
そこでこのチェッカーを利用して容量を測り、それからカメラにバッテリーを入れます。精度はアバウトっぽいところもありますが、実用上は十分で、どこにでも持っていける大きさです。
5,000円コース「インダストリア GRフィンガーストラップ」
リコーGR IIIとIIIxの両機を使用していますが、街歩きの時は手に持って歩きたいですね。しかし、ハンドストラップやネックストラップは邪魔くさいことも多く、このフィンガーストラップを愛用しています。カメラの落下の心配もなく安心して使えます。カメラを構えた時の安定感が増すのもメリットです。ストラップの質感も良い感じで、GRの品格を損ねない良さがあります。
1万円コース「PERSONA最終章」(写真集)
昨年他界した写真家 鬼海弘雄さんの写真集。2019年に発売。浅草寺に集う市井の人々の中から、とくに人間くさい面々を境内の朱色の壁をバックに撮影したモノクロポートレート集です。
人と対峙して写真を撮るということは何かを知らしめてくれるクオリティの高い写真群ですが、心して鑑賞しないとこちらがたじろいでしまうほどです。写真集の厚みと重み、同時に写真の中身の重さにも圧倒されます。時間のあるときに、写真と闘うつもりで鑑賞しています。
セレクトについて
仕事で使うためカメラやレンズ、照明機材やメモリーカードは義務的というか必然的に必要なものだから、お買い物の喜びがあまりありません。ところが仕事から離れると機材選びにはこだわりが出てきます。以前、某社のカメラの広告で、渡辺謙さんは言いました「趣味なら本気で」って。
昨今の悩みは銀塩写真制作が追い詰められていることです。120サイズの国産カラーネガフィルムはなくなりました。ネガシートも選択の余地が狭まるし、スポッティングカラーもなく、液温計も、少し前なら「カラー用」という高精度のものでなければ使う気がしませんでしたが、水銀計は使用禁止らしく探してもないし。引き伸ばし用のタイマーもない。暗室作業を続けるためには、代替品を考えるなど創意工夫が必要になりました。
個人的にいただきたいプレゼントなら、以上のようなものがあると気持ち的にもゆとりが生まれます。けれど本誌読者にはこういうものを欲しい人はいないと思うので選びませんでした。そうしたらコダックがトライXを詰めたレンズつきフィルムを発売するそうで。みなさん、いたずらでもいいから使って遊んでみてくださいよ。これがたくさん売れたら、モノクロフィルムの延命につながると思うんですよ、と言ったら身勝手ですかねえ。
こばやしかをるセレクトの3品
2,000円コース「自家焙煎コーヒー豆 パオブレンド 500g」
京王線つつじヶ丘駅の近くに実店舗があり、かつての富士フォトギャラリー調布にいく道すがら購入していたのがパオコーヒーさんのブレンドコーヒー。スッキリして飲みやすいのに香りと味が深い。自家焙煎していてその他にもブレンドの種類が多く揃っています。ブレンドコーヒー「和み」も和菓子に合うのでおススメ。ギャラリーがない今、送料は交通費と思えばそれ相応のお値段なのに、なかなか購入しないままでいます。
5,000円コース「石元泰博 生誕100年」(図録)
2020年、東京都写真美術館など3館で開催されていた生誕100年石元泰博写真展。私としたことが、見に行った際に図録を買い忘れていました。ぜったい手元に置きたい一冊「石元泰博 生誕100年」です。街中のスナップ、都市風景やポートレート、桂離宮に代表される建築写真、色彩豊かな多重露光の作品まで、その幅広い作風とアートな視点に惚れ惚れします。カッコいい写真撮りたい!と思うなら絶対に見てもらいたい一冊です。
1万円コース「キーン チェルシーブーツ エレナ レディース」
スナップ写真は歩いてかせぐ。歩いてなんぼ。です。それ故に「歩きやすくて疲れにくい」を重視して購入する靴はほとんどがスニーカーソールになります。とは言え、“いつものスニーカー”じゃ入りにくい店もある。TPOを考えて出かけたい場所だってある。飽きやすい性格だから違う形を揃えたい。しかもユニセックスデザイン大好き!など、勝手に買う理由を考えて毎シーズン増えてしまうので気を付けなければ。でも、疲れにくさと見た目は重要です。
セレクトについて
世の中もせわしなく、物入りで出費の多い年末。それとは別に自分のためのご褒美を購入できるのは12月生まれの特権。子供の頃はクリスマスプレゼントと一緒で不満でしたが、現在は毎年年末の特別感を満喫することが楽しみです。
オンラインショッピングが定着し、利便性を感じつつもコーヒー豆を焙煎する香りの中、五感で味わいたいコーヒー。あの豆の味はどういうものなのだろうか、何を基準にブレンドされているのかなど吟味する楽しみもあり、味は確かなのを知っていながらもなかなか購入できません。こういうところがオンラインの弱さとも言うべきかな。
石元泰博氏の図録は、アメリカ・シカゴのインスティチュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)にモダンデザインを学んだ氏のデザインセンス溢れる一冊。中でも「色とかたち」は創作としての憧れそのもので、突き抜けたアート作品を見るたびに刺激されてしまいます。
この一年半、家で過ごした時間が長すぎて出かけるのも億劫になってしまったけれど、コーヒーを飲みながら写真集を堪能したら、足取り軽くお気に入りの靴を履いてその世界を見つけに街に出かけたいものです。
中原一雄セレクトの3品
2,000円コース「ZEISS レンズクリーナー 30個入り×3箱」
持っていて便利なアルコールタイプの個包装クリーニングティッシュ。正直な所、他の類似品と比べて性能的に特別優れているわけではありませんが、カメラ好きなら「ZEISS」の青いロゴが付いているだけでアガるアイテムです。自分で使うならコスパの良い他の商品を買うかもしれません。しかし、プレゼントにするならこちらを選びたいです。
眼鏡やスマホなど身の回りの多くのものに使えるのもポイントです。使い捨てクリーニング用品なら多めに手元にあっても困らないというのも、プレゼント向きではないかと思います。
5,000円コース「SmallRig 折りたたみドライバー レンチセット 2213」
三脚やクイックリリースプレートを買うとかならずオマケで付いてくる六角レンチ。タダでもらえるのだからわざわざ買わなくても良いと思っている人も多いでしょう。ところが、いざ現場で必要になったとき手元にレンチがない、マイナスドライバーが必要だった……というトラブルに遭遇すると大変です。レンチセットを1つバッグに入れておけば、現場でのイレギュラーなトラブルにも安心して対処できます。SmallRig社製のものは予備のネジ類を収納できるのもポイントです。
最初からタダでもらえるものはなかなか自分で買う気は起きませんが、必ず活用できるシーンはあるので、プレゼントされると喜ばれるかもしれません。
1万円コース「デイツ ハリケーンランタン」
今年の春に東京から北海道に引っ越して以来、キャンプや薪ストーブ生活をしています。そこで感じるのは「火っていいなぁ」ということ。そこでおすすめしたいのがオイルランタンです。これがあるだけで日常に温かな火の揺らめきをプラスできます。
老舗DIETZ社のランタンは外観もオシャレなので、インテリア撮影では強力な映えアイテムに。ランプの明かりを照明にして撮影するのも面白いですし、きっとお洒落なプレゼントになるでしょう。
夏はキャンプ需要で価格が高騰しがちなため、買うなら冬がおすすめです。燃料は灯油よりもパラフィンオイルを使った方が煤が出にくいのも覚えておきましょう。火気なので、室内で使う場合は十分な換気と慎重な取り扱いをお忘れなく。
セレクトについて
プレゼントということで、撮影必需品ではなく、自分で買うことにちょこっと心理的なハードルがあるけれど、手元にあったら嬉しいかもというものをセレクトしてみました。
カメラ用品はメーカーごとに規格が分かれているものも多く、無難な汎用品は既に持っている人が多いだろうし、手頃なストラップは使う人によって大きく好みが分かれそう……と、実際に選ぶとなるとなかなか難しいですね。
ちょっと宣伝ですが、私が監修しているカメラバッグブランドのEnduranceだとスマホポーチは手頃な値段で汎用性が高く、4色展開しているのでプレゼント向きかもしれません。他に候補に挙がったものだと、理系で写真をはじめたばかりの人へなら「カメラとレンズのしくみがわかる光学入門」という本はとても読みやすく知識欲を満たせるのでおすすめです。