新製品レビュー

ニコン Z5IIC

新機能「魚認識」を水族館でテスト 写真・動画の本格派にも応えるエントリーフルサイズ

ニコンがミラーレスカメラの新製品「Z5IIC」を10月23日(金)に発売する。さっそく実機をお借りできたので実写画像とともにレポートしたい。

Z5IICはフルサイズセンサーを搭載した2,450万画素のモデル。ボディ単体の直販価格は23万8,700円となっている。

外観をチェック

2025年4月に発売された「Z5II」をベースにしたモデルとなっているが、EVFやサブセレクター(ジョイスティック)の省略に加えて、SDシングルスロットへの変更、背面モニターの画素数をZ5IIの約210万ドットから約104万ドットにするなど、よりライト層向け・廉価な設定となっている。

直販価格ベースでは、Z5IIに対してボディが1万9,800円安い設定となっている。

フラットになった上面

同社のフルサイズミラーレスカメラ初となる「シーンモード」も搭載され、「オートモードよりもクリエイティブに撮りたいが、P/S/A/Mだと難しい」といった初級ユーザーに対応できるものとなった。

背面はサブセレクターが省略された。なおZ5IIのAF-ONだったボタンは表記が変わったが、割り当て変更で親指AFも可能
Z5IIの「U3」ポジションがシーンモードになった

外観を見るとEVFが無いぶん、上部がフラットでバッグなどへの収まりは良い。重量はZ5IIより約82g軽くなっている。

EVFを常用しているユーザーがいる一方、昨今はEVF付きのカメラであってもほとんど背面モニターで撮影している人も多く見かける。そうした背面モニターメインのユーザーには歓迎される仕様だろう。

その背面モニターの画素数が減ったと聞いて心配したが、使っていて思ったほどの見にくさはなかった。数値上は半減した画素数だが、実用上は大きな問題のない使い勝手だと感じた。

背面モニターはフリーアングル式

ほぼZ5IIと同様のしっかりしたグリップなので、ダイヤルの回しやすさも含めて違和感がない。グリップを省略したり、小さくしなかったのは良かったと思う。このあたりはサブ機として使うにしても歓迎ポイントだろう。

本格的なグリップでホールドしやすい

フルサイズのミラーレス機だと他社にはさらに小型のモデルもあり、例えばソニー「α7C」系に比べると本機はやや大きく感じるが、小指も余らずグリップが持ちやすい点は、上級機のユーザーも満足できるものだろう。

記録メディアはSDメモリーカード。シングルスロットになった
側面のインターフェース
バッテリーは上位モデルと併用しやすい「EN-EL15C」を採用

ボディが大きめなぶん、ボタンがたくさん付いているのも使いやすいポイントになる。フロントにある2つのFnボタンを含めて、機能割り当てができるボタンが11個ある。カスタマイズ性が高いので上級者にも嬉しい部分だろう。

フロントのFnボタンも健在
ライブビューの画面

動画は4K60pの10bit記録にも対応しているほか、4K30pのRAW記録も可能だ。REDのカラーサイエンスを使ったR3D形式こそ非搭載だが、この価格でフルサイズのN-RAW撮影が楽しめるのは美味しいポイントになりそう。

4K RAW記録時の解像度は、4K UHDよりも少し大きな4,032×2,268ピクセルとなっている。

N-RAWやH.265の10bitなどリッチな記録形式にも対応

動画の入門ユーザーであっても、カメラの買い替えなしにRAW収録までステップアップできるのは見逃せないところだ。本機はSDメモリーカードモデルということで、N-RAW記録にはV90のカードが推奨されている。

キットレンズの「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」を装着
パンケーキタイプの「NIKKOR Z 26mm f/2.8」を装着
明るい単焦点レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」を装着

水族館撮影が楽になる魚認識機能

AFの被写体検出には新たに「魚」が加わった。水槽の中の魚にピントを合わせる機能で、条件が良ければ魚の目を認識してくれる。

被写体検出設定に魚が加わった
認識中の画面

泳いでいる魚は動きも速く、特に目にピントを合わせるのはこれまで難しいことだった。今回の新機能によって、水族館での魚撮影で歩留まりが良くなることだろう。

とはいえ、過剰な期待は禁物だ。というのは魚が向いている方向や動きが速い場合にピントが合わないケースもあった。また暗すぎる水槽だと認識率は落ちるようだ。

魚の撮影は「葛西臨海水族園」(https://www.tokyo-zoo.net/kasai/)で試した

撮影のポイントとしては、被写体ブレを抑えるためシャッター速度を例えば1/400秒など速めに設定し、連写して良いものを選ぶというのが1つの方法。感度をあまり上げたくなければ、今回試用したNIKKOR Z 40mm f/2のような明るめの単焦点レンズを使うのも良いだろう。

Z5IIC/NIKKOR Z 40mm f/2/マニュアル露出(1/400秒・F2.5)/ISO 3200

こちらに向かってくる魚でも目にピントが合った。一般的な魚の形状をしていればほとんど認識してくれる。

Z5IIC/NIKKOR Z 40mm f/2/マニュアル露出(1/320秒・F2)/ISO 1600

明るいレンズを絞り開放で撮影したため、前後のボケもあり立体感が出た。

Z5IIC/NIKKOR Z 40mm f/2/マニュアル露出(1/320秒・F2)/ISO 400

キットレンズのNIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3を使い、広角端で絞り込んで全体の解像力を見た。エントリークラスとしては十分な解像力できれいに写る。

Z5IIC/NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3/絞り優先(1/200秒・F11)/24mm/ISO 100

同じレンズの望遠端で撮影。絞り開放でもF6.3と暗いが、それなりに背景をぼかせるのはフルサイズのメリットだろう。

Z5IIC/NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3/絞り優先(1/50秒・F6.3)/50mm/ISO 100

パンケーキタイプの単焦点レンズ「NIKKOR Z 26mm f/2.8」も使ってみた。絞り開放であってもキットレンズより一段上の解像力や抜けの良さが感じられるおすすめの1本だ。

Z5IIC/NIKKOR Z 26mm f/2.8/絞り優先(1/640秒・F2.8)/ISO 100

Z5IICには、同じくフルサイズモデルの「Zf」にも採用されているフィルムグレインを付加する機能も搭載されている。静止画では強度が1~6、サイズが小/中/大から選べる。ピクチャーコントロールとも相性が良い。

Z5IIC/NIKKOR Z 26mm f/2.8/マニュアル露出(1/250秒・F2.8)/35mm/ISO 100(フィルムグレイン設定:強度6、サイズ大、ピクチャーコントロール:トイ)

フィルムグレインは動画にも適用可能(4K解像度やRAW、10bitを除く)。その場合は強度が1~3の設定のみとなる。作例は強度:3、ピクチャーコントロール:ドラマで撮影している。


高感度画質を見るために、ISO 6400で夜景を撮影してみた。さすがフルサイズといったノイズの少なさで、一般的な鑑賞では問題ないレベル。ほぼ完全に黒となった部分にもノイズは浮き出ていないし、カラーバランスも崩れはなさそうだ。

Z5IIC/NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3/マニュアル露出(1/125秒・F8)/24mm/ISO 6400

まとめ

Z5IICは、フルサイズフォーマットを使いたいミラーレスカメラの初心者向けというコンセプトで、人気のある”背景がボケた写真”を簡単に撮れるといった部分が売りのようだ。

Z5IIと同等の画質で撮影できる実力も持ち合わせているため、比較的軽量、コンパクトな装備で本格的な撮影に挑むのにも良さそう。動画のスペックも高いので写真、動画両方をしっかり楽しむことができると思う。

重要な部分として、先に登場したフルサイズのEVFレス機「ZR」と違ってメカシャッターを省略していないことも挙げられる。例えば、走っている電車を横から撮ってもローリング歪みが出ないのは写真ファンには助かる部分だろう。

メカシャッターを搭載する

サブセレクターの省略は意外だったが、それでもグリップやボタンなど写真機として重要な部分は省かずに残したのは◎。同社フルサイズミラーレスカメラの選択肢が1つ増えたことを歓迎したい。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。