新製品レビュー
iPhone 18 Proの「可変絞り」機構を試す
光条や被写界深度をコントロール 「プロレベルのコントロール」も
2026年9月29日 07:00
スマートフォンのカメラは、画像処理の進化によって表現の幅を広げてきた。複数の画像を合成して明暗差を補ったり、被写体と背景を認識してボケを加えたりと、高度な撮影技術がなくても、手軽にキレイな写真が撮れるようになっている。
そんな中、9月18日(金)に発売となったiPhone 18 ProやiPhone 18 Pro Maxのメインカメラに、レンズを通る光量を物理的に調節する「可変絞り」がiPhoneで初めて搭載された。絞り値はF1.48、F1.8、F2.8、F4の4段階。
1世代前のiPhone 17 ProやiPhone 17 Pro Maxのメインカメラは、F1.78の固定絞りだったため、新モデルの進化ポイントとして特に注目されている。
可変絞りを採用する意義
では、画像処理が写真の仕上がりに大きな役割を果たすスマートフォンにおいて、可変絞りの搭載によって何が変わるのだろうか。
これまでのiPhoneは固定絞りを採用しており、レンズの開口サイズを変えて光量を調節することはできなかった。また、光量を減らす内蔵NDフィルターの採用例も、公開情報では確認されていない。そのため、主にシャッター速度とISO感度で写真の明るさを調整し、その上で画像処理によって仕上がりを整えてきた。
iPhone 18 Pro/iPhone 18 Pro Maxでは、ここにメカニカルな絞り機構という調整手段が加わる。
絞りを開ければ多くの光を取り込める一方、絞れば光量を減らせる。つまり、絞りによって光量が調節できるため、動きを止めたり、流したりといった撮影意図に合わせて、NDフィルターなしでシャッター速度の自由度が高まるのだ。
注意したいのは、可変絞りを搭載するのはメインカメラだけだということ。iPhoneの場合、料理や小物に近づいて撮影すると、超広角カメラによるマクロ撮影へ自動的に切り替わる場合がある。こうなると可変絞りは使えなくなる。近接撮影でメインカメラによる可変絞りを利用したいのなら、自動マクロ切り替えをオフにした方がよいだろう。
スローシャッター
例えば静止画撮影において、シャッター速度を1秒など比較的長時間に設定すると、波や流水の動きを流して表現できるのは知られているところだ。ただしそのとき、露光時間が長くなることで、明るい日中では光を取り込み過ぎて露出過多となる。
そこで役立つのが、絞りによる光量の調節だ。F1.48からF4まで絞ることで、同じ露光時間で取り込む光量は約2.9段分減ることになる。
水の動きを流すために選んだ1秒というシャッター速度を維持しながら、白飛びを抑える方向に調整できるわけだ。
下の作例では流れ落ちる水を筋状に表現するため、シャッター速度を1秒に設定し、光量を抑えるためにF4まで絞って撮影した。
なお、標準カメラアプリではISO感度は自動設定となる。絞りを変えるとISO感度も変わる場合があるため、絞った分だけ写真が暗くなるとは限らない。後述する「プロレベルのコントロール」で、露出をマニュアル設定すると意図に近づけることができるだろう。
スローシャッターの表現を手に入れたiPhone 18 Proだが、最小まで絞ってもF4ということで、光量を抑えきれないシーンはある。その際は、サードパーティー製のアダプターなどを利用して、外付けのNDフィルターを装着したり、日陰や光の弱い時間帯を選んだりする工夫が必要になるだろう。
なお静止画で水の流れを表現する方法には、Live Photosで撮影し、撮影後に「長時間露光」のエフェクトを適用する方法もある。被写体の動きをずらして、長時間露光したような表現に仕上げる機能だ。
被写界深度
被写界深度の調整も絞りの役割の1つだ。同じ画角、撮影距離、ピント位置であれば、絞りを開けるほど被写界深度は浅くなり、絞るほど深くなる。
スマートフォンでは画像処理によるボケが一般的だが、ディテールの処理に違和感が生じる場合がある。一方、画像処理ではない光学的なボケは、実際の距離関係に応じて描写されため自然な仕上がりを期待できる。もちろん、固定絞りでも距離に応じて光学的なボケを作れるが、可変絞りではさらにボケを小さくする方向へも調整できる。
撮影画像の全体から、胡蝶蘭の花を切り出してみた。絞りのみを変更、その他はオートで撮影している。F1.48ではボケているが、F4だと輪郭がしっかりしている。※クリックすると切り出し(トリミング)前の画像を表示します
光条
可変絞りの搭載で新たに楽しめるようになったのが、点光源から伸びる光条(光の筋)だ。
光条は絞りの縁などで生じる光の回折によるもので、絞りの形状や撮影条件によって見え方が変わる。一般に、絞り込むことで長くなり、目立ちやすくなる。
スマートフォンのメインカメラは、光を多く取り込むためにF値の小さい固定絞りを採用するものが多い。そのため、絞り込んで点光源から伸びる光条を際立たせる撮影は難しかった。それが可変絞りにより比較的簡単に作れるようになる。
下の作例では、絞りによる光条の変化を拡大して掲載している。※クリックすると切り出し(トリミング)前の画像を表示します
もちろん絞ることで光量が減るため、シャッター速度やISO感度に影響は出てくる。とはいえ画像処理による加工ではなく、光学的に光条の出方を調整できるようになったのは進歩といえる。イルミネーションが含まれる夜景などで威力を発揮しそうだ。
動画
可変絞りは動画撮影にも有効だ。動画では、動きに適度なブレを残すため、フレームレートに応じてシャッター速度を選ぶのが定石になっている。例えば60fpsなら1/120秒(カメラで設定できるのは1/125秒)が自然な動きを表現するための目安とされている。
しかし日中の明るい屋外で1/125秒にすると、簡単に露出オーバーとなる。こうした場面でも絞りで光量を抑えられるのが、可変絞りを搭載する強みだ。
標準カメラアプリも進化
iPhone 18 Pro/iPhone 18 Pro Maxの標準カメラアプリには、「プロレベルのコントロール」が追加されている。レンズ絞り、フォーカス、シャッター速度、ホワイトバランスの調整に加え、ヒストグラムの表示も可能になっている。iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Maxでは、たとえiOS 27.0を導入していても、カメラのメニューには表示されない。
普段のiPhone撮影では、細かな設定を意識する場面は少ないかもしれない。必要に応じてフラッシュやタイマーを使う程度で、あとはシャッターボタンを押せば、キレイな写真ができあがる。
可変絞りそのものに加え、こうした操作の選択肢が増えたことにも、Appleのカメラに対するアプローチの変化を感じる。
まとめ
スマートフォンへの可変絞りの搭載には先行例がある。例えば、ソニーのXperia PRO-IはF2/F4の切り替えに対応しており、開発者も被写界深度のコントロールによって得られる、光学的に自然なボケ味や、解像感のある細部の表現について言及している。
一方で、後継機で固定絞りに戻したメーカーもある。Xiaomi 14 UltraはF1.63/F4の可変絞りを備えていたが、Xiaomi 15 UltraではF1.63の固定絞りに変更された。
このように、求められる写真画質・表現方法に対して、メーカーによるアプローチ方法は異なるわけだが、可変絞りの有無だけがスマートフォンにおけるカメラ性能の優劣を決める要素になり得ないという一例だろう。とはいえ、光学的なアプローチでボケや光条の表現に挑戦した意義は、スマートフォンのカメラとして意義あるものといえる。
また、iPhone 18 Pro/iPhone 18 Pro Maxでは、撮影された画像の信頼性に関わる機能も加わった。「Appleリファレンス画像」だ。専用モードを使用することで、画像がiPhoneのカメラで撮影されたものであることを検証できるようにする仕組みだ。写真アプリで通常の写真とリファレンス画像を見比べることで、色調整や切り抜きなど、撮影後に加えられた変更を確認できる。
iPhone 18 Pro/iPhone 18 Pro Maxでは、可変絞りとプロレベルのコントロールによって、撮影意図を反映する手段が増えた。カメラ任せで手軽に撮ることも、絞りやシャッター速度を選んで写真表現を追求することもできる。その選択肢が広がったことに、今回の進化の意味がある。

















