【新製品レビュー】サイバーショットDSC-TX300V

〜無線LANでスマホと連携、GPSや防水機能も
Reported by 小山安博

 ソニーのコンパクトデジタルカメラの新製品「サイバーショットDSC-TX300V」が登場した。防水、GPS、TransferJet、無線LAN……と盛りだくさんの機能を搭載した期待のカメラだ。


フルフラットのシンプルデザインに快適なタッチパネル

 本体前面はフラットな形状で、強化ガラスのハーフミラー処理が施されている。レンズやAF補助光、内蔵ストロボのために一部が透けているが、電源オフ時はそれが目立たないようになっており、SONY、Cyber-shotというロゴが配置されているだけのシンプルデザインとなっている。

 背面もボタン1つなく、シンプル。上部には電源ボタン、シャッターボタン、ズームレバーがあり、ボタンの出っ張りも最小限に抑えられているので、全体がフラットに収まっている。厚みもあるし大きさも違うが、スマートフォンのようなシンプルさがある。

本体上部には電源ボタンとシャッターボタン斜めの位置にズームレバーがある

 背面ディスプレイは、アスペクト比16:9の3.3型122.9万ドットの「エクストラファイン有機EL TruBlack」を採用する。有機ELらしく高コントラストで色再現も良く、視野角も広い。

背面はボタン一つないシンプルなデザイン

 ディスプレイはタッチパネルを搭載しており、静電容量式で反応はいい。ボタンはなく、すべての操作は画面にタッチして行なう。タッチするとすぐに反応し、タッチパネルの動作は快適だ。例えば画像再生時には画面にタッチして指を左右に動かすと次々と画面を切り替えできてストレスは感じない。

指で操作する以外には、付属のペイントペンでも操作が可能。静電容量式なので、指以外の爪や普通のペン先などでは操作できない。ペイントペンは、ほかのスマートフォンなどの静電容量式のディスプレイでは操作できないが、DSC-TX300Vでは指と同じように操作できるようだ

 撮影時のタッチ操作では、画面上にタッチすると、その位置にAFポイントが移動し、被写体にピントを合わせ続ける追尾フォーカスが動作する。また画面左右に操作アイコンが表示され、それにタッチすることで各種の機能を設定する。

操作は画面左右にあるアイコンをタッチする画面のタッチした場所にピントを合わせ、その被写体にピントを合わせ続ける追尾フォーカス

 設定画面でも、一覧表示されるアイコンなどをタッチして選んでいく。画面のスクロールは画面にタッチして上下にスワイプする。使ってみた限りは誤動作もせず、なかなか快適に使える。間違ったアイコンをタッチしてしまっても、そのまま指を離さずにアイコン外に指をスライドさせれば選択がキャンセルされるので、誤った機能を選択してしまうことはほとんどなかった。スマートフォンでタッチパネル操作に慣れているというのもあるだろう。

大きなアイコンで選択できるモード選択画面設定画面は横長のボタンをタッチする。画面のスクロールはタッチして上下に指を動かす動作で行なう

 タッチパネルの反応は良好なのだが、ところどころカメラのソフトウェア的なパフォーマンスが気になる部分はあった。設定をするためにMENUにタッチして画面が表示される際に1秒程度で表示される場合と、2秒程度かかる場合があって、時間がまちまちなのは気になった。

アイコンにタッチしたままだと、アイコンの説明が表示され、そのままアイコン外にスライドさせれば選択は解除されるので、間違ってタッチした場合もキャンセルできる

 また、再生時に左右の画面送りは快適だが、目的の画面を表示したときに、画面上のアイコン表示に1〜2秒程度かかる点も気にかかるところ。

画像再生画面1〜2秒後にはアイコンが消えて画像のみの表示になる
画像送りをするといったんアイコンが消え、また表示されるのだが、その表示が少々遅いディスプレイが16:9のアスペクト比で、4:3で撮影した場合、左右に余白ができる。右上の左右矢印のアイコンをタッチすることで、画像を拡大して画面いっぱいに表示することもできる

 1枚画像表示時にタッチすると、画像拡大になるのだが、その際に画像読み込みに2〜3秒かかる、というのも気になった点。ただし、これは今回使用したmicroSDカード(2GB)が影響していた可能性もある。

画像にタッチすると拡大表示になる。+-のアイコンタッチで拡大縮小ができるほか、その隣にあるスライダーを上下させることで高速に拡大縮小ができる

 画像拡大時に指で再生位置を移動させる際の動作もしっくりこない。弾くように指を動かすフリック操作をすると、画像の再生位置が大きく動くといった、スマートフォンにはよくある仕組みはなく、指を地道に動かさないと目的の位置を表示できないのがまどろっこしく、軽快さに欠ける印象だった。タッチパネルが認識するのは1点のみのようで、2本指を使ったピンチイン・アウトのような操作には対応していないのも残念な点だ。

サムネイル表示日付ごとに画像が集約して表示される日付選択画面やカレンダー表示機能も用意されている

 なお、静電容量式タッチパネルの弱点として水中での操作があげられる。水しぶきが画面にかかった状態でも誤操作の可能性があるが、水中だと画面をタッチしても操作できない。DSC-TX300Vは水中撮影も可能な防水デジカメだが、ハードウェアボタンである電源、シャッター、ズーム以外の操作は、試した限り水中ではできないようだ。地上であらかじめ設定をしておいて、あとはオート撮影をするしかないだろう。

 タッチパネルを生かした機能として、画面上のUIを変更できる機能を搭載している。これまでもソニーのタッチパネル搭載機種ではカスタマイズ機能を搭載していたが、DSC-TX300Vも同様な機能を備えている。

 例えばPモードのデフォルトでは、画面左側にMENU、MOVIE(動画ボタン)、ストロボ、セルフタイマー、カメラ内ガイドのアイコンが並んでおり、画面右側にはDISP(ディスプレイ)、モード、再生の各アイコンが並ぶ。カスタマイズできるのは画面左側の4つのアイコンで、MENUからカスタマイズを選び、よく使う機能を選んでドラッグ&ドロップすればいい。

MENU画面の歯車アイコンをタッチするとカスタマイズモードになる
表示された項目を選んで、ドラッグ&ドロップすると、既存のアイコンと置き換えられる

 カスタマイズは撮影モードごとに記憶されており、それぞれのモードで使えない機能は選択できないようになっている。例えばPモードではISO感度やホワイトバランス、おまかせオート撮影モードでは連写モードや露出補正といった機能を選んで設定できる。特にヘルプ機能であるカメラ内ガイドアイコンは、慣れれば不要になるのでカスタマイズしておきたい。

 いくつか気になる部分はあるのだが、全体として動作は悪くはない。ただ、「タッチパネルを使ったインタフェース」に関しては、ますますの洗練を期待したいところだ。

 例えばスマートフォンのカメラ機能だと、画面の端から指をスワイプすると設定画面がスライドして表示され、MENU画面に移動しなくても各種設定が行なえる、といったUIもあり、デジカメとして、まだ工夫の余地はありそう。それでも、今回のDSC-TX300Vは、静電容量式を採用したタッチパネルを採用して操作性は良くなっている。


無線LANでスマートフォンに画像転送

 DSC-TX300Vは無線周りの機能が充実しているのが最大の特徴だろう。コンパクトなデザインながら、無線LAN、GPS、TransferJet、ワイヤレス充電を搭載。特に今年のコンパクトデジカメで定番機能になりそうな無線LANを搭載したのが注目だ。

 無線LAN機能では、標準規格のWi-Fi Directに対応。Wi-Fi Directをサポートするテレビとアドホックで接続して、テレビの画面にカメラ内の画像を表示できる。テレビ自体はネットワークに接続していないくても使えるのがポイントだ。

 Wi-Fi Direct非対応のテレビでも、ネットワーク機能があれば、DSC-TX300Vの無線LAN機能を使って画像を転送することができる。同様に、パソコンに画像を無線で転送することも可能。ただ、Wi-Fi Direct対応スマートフォンと接続しようとしてもうまくいかなかった。

再生画面のMENUからTransferJet対応機種に画像を転送したり、テレビやPCに無線LAN経由で画像を転送したりできる

 通常の無線LANに接続するための設定は、MENUから「設定」→「アクセスポイント簡単登録」または「アクセスポイント手動登録」を選ぶ。「簡単登録」は、無線LANルーターのWPSボタンを使うことで、パスワードなどの設定をする必要がなく、無線LANのアクセスポイント(AP)設定が行なえる。

無線LANの設定はMENUの設定から。WPS対応ルーターがある場合は、「アクセスポイント簡単登録」を選択し、ルーターのWPSボタンを押すだけ

 WPSボタンがない場合などは、「手動登録」を選ぶ。周辺のAPが自動で検索されるので、接続したいAPを選択し、パスワード入力を行なう。文字入力は携帯の10キー風のUIになっていて、パスワードを入力したら、最後に「IPアドレス」と「優先接続」の設定を行なう。基本的にはIPアドレスは「自動」でいい。優先接続は複数のAPを登録した場合に優先するAPで、よく使うAPを優先接続にしておくといいだろう。

手動で設定する場合は、SSIDを選び(ステルス設定の場合は手動でSSIDを入力)、暗号化キーを入力する
携帯風の文字入力でキーを入力するIPアドレスの割り当てをDHCPの自動設定にするかどうか、優先接続をするかどうかを選ぶ

 画像をパソコンに転送する場合は、さらにPCの情報をカメラに登録する必要があり、USB経由でPCとカメラを接続して、付属ソフトのPlayMemories HomeからそのPCを登録しておく。ただし、今回はソフトウェアが間に合わなかったため、検証できていない。

 無線LAN対応というと、以前もソニー製デジカメで対応はしていたが、その時に比べてインターネット接続機能が省かれており、無線LAN APにつないで、カメラから直接FlickrやPicasaのようなオンラインアルバムサイトにアップロードする、といった機能はない。

 その代わりに新たに搭載されたのが、スマートフォンへの画像転送機能だ。撮影した画像をスマートフォンに転送することで、スマートフォンで画像処理をするなどして、画像をインターネットに送信できるようにしている。

 利用するには、スマートフォン側に専用アプリ「PlayMemories Mobile」をインストールする。対応するのはAndroidとiOSで、Android MarketかApp Storeから無料でダウンロードできる。

 アプリをインストールしたら、DSC-TX300Vで再生モードに切り替え、転送したい画像を表示。左下の「スマートフォン転送」アイコンをタッチする。「この画像」「この日の画像全て」「カメラ内の画像全て」という3つの選択肢が表示されるので、任意の項目を選択。すると無線LANが起動し、画面上にSSIDとパスワード(暗号化キー)、機器名称が表示される。

再生画面左下にある「Wi-Fi」のアイコンがスマートフォン転送アイコン。これをタッチすると、転送する画像を選ぶ画面になる
すると無線LANが起動し、待ち受け状態になる

 iOSアプリの場合、まずiOSデバイス(iPhone/iPad)の無線LAN設定を開き、表示されているSSIDを探して無線LAN情報の登録を行なう。カメラの画面に表示されたパスワードを入力すればいい。無線LANが無事に接続されれば設定は完了で、2回目以降はこの設定は不要。iOSデバイスがほかの無線LAN APに接続していない、かつ無線LANをオンにしている場合、カメラ側の無線LAN APが起動すると、自動的にそのAPに接続してくれる。

iPhoneの無線LAN設定画面。「DIRECT……」とあるのがDSC-TX300V先ほどカメラの画面に表示されていた暗号化キーを入力する

 続いてPlayMemories Mobileアプリを起動する。すると自動的にアプリがカメラを検索して、iOSデバイスとカメラが接続される。接続されると、転送設定した画像が自動的にiOSデバイス側に転送されるので、転送が終わったらカメラのスマートフォン転送機能をオフにする。

無線LANが接続されたらPlayMemories Mobileアプリを起動する「この画像」を選んでいた場合は、すぐに転送画面になるので、「コピー」をタッチすればいい。複数の画像を転送する場合、チェックボックスで画像を選択し、コピーを選ぶ

 Androidアプリの場合はもっと簡単だ。iOSデバイスのように最初の無線LAN設定はいらない。カメラ側でスマートフォン転送を選択して無線LAN APを起動し、Android端末側でアプリを起動すると、自動的にカメラが検索され、画面上に表示される。Android側でカメラを選ぶと、パスワードの入力画面になるので、これを入力して「OK」を押せば、カメラと接続して画像の転送が行なわれる。2回目以降はパスワード入力は不要で、カメラを選択すれば画像転送が始まる。

アプリを起動すると最初からカメラを検索してくれる。これを選ぶと、パスワード入力画面になるので、カメラのパスワードを入力する

 Androidの場合、ほかの無線LAN APに接続している状態でも、PlayMemories Mobileを起動すると自動的に現在の無線LAN APから切断され、カメラの無線LAN APに接続してくれる。切断したあとは、自動的に元のAPに接続され、個人的には理想的な動作だ。例えば自宅の無線LAN、外出先でポータブル無線LANルーターを使っている場合など、普段から無線LAN環境を利用している場合は、Android端末の方が使いやすい。

カメラに接続されると、自動的に転送設定した画像の読み込みが行なわれる
画像の選択方法はiOSアプリと同じだが、Android版にはインテント機能を使った「アップロード」機能があり、ここから直接別のアプリに画像を転送することができる

 これがiOSの場合は、1回ごとに無線LANの設定を開き、カメラ側のAPに接続し直してからアプリを起動する、という手間が必要で、この辺りは恐らくiOS側の制限だと思われるが、残念な部分ではある。

 アプリの動作は、iOSもAndroidも同様で、画像を転送するだけの単機能アプリだ。転送された画像は、iOSの場合はカメラロールに、Androidの場合はメモリカード内のPlayMemories Mobileフォルダに保存される。画像は選択して転送できるほか、Androidアプリでは転送画面からインテント機能を使ってほかのアプリに画像を転送し、そのまま投稿する、といったことができる。iOSでもカメラロールに保存されるので、ほかのアプリから再利用は可能だ。

 例えばTwitterやFacebookといったSNS、Instagramやpicplzといった画像投稿SNSなど、スマートフォンのアプリから画像を投稿するサービスは数多い。スマートフォンのカメラなら、撮影してそのまますぐに投稿ができるが、デジカメの場合、これまではパソコンに取り込んだり、メモリカード経由でスマートフォンに取り込んだり、といったことしかできなかった。

 SNSなどのサービスが人気になっていて、さらにスマートフォンの画質も向上してきた現在、「画像の再利用」が手軽にできないコンパクトデジカメは、スマートフォンに圧迫されて売上を落としている。単なるスナップであればスマートフォンで十分ということもあるだろうが、やはり撮影してすぐにSNSに投稿できるというスマートフォンのメリットは大きい。

 今回のDSC-TX300Vのスマートフォン転送機能は、そうした状況を打開すべく投入された機能だ。これまでに比べ、撮影画像を簡単にスマートフォンに転送できるようになったことで、コンパクトデジカメで撮影した画像もすぐに投稿できるようになる。インターネット接続機能や各Webサービスへの投稿機能をスマートフォンに任せることで、カメラ側の機能もシンプルですむ。

 スマートフォンに対抗するのではなく、スマートフォンとの親和性を高める戦略は正解だと思う。もちろん、画像転送の一手間を嫌うユーザーもいるだろうが、カメラとしての機能はまだまだコンパクトデジカメの方が上手だ。光学ズームや手ブレ補正、フルHD動画撮影機能など、スマートフォンでもそれらの機能を備えているモデルもあるが、総合力ではコンパクトデジカメが勝っているし、できればきちんとカメラで撮ったものを投稿したいというニーズはあるだろう。

 その点で、PlayMemories Mobileアプリは転送だけに注力して、機能をシンプル化したのは間違っていない。WPSのようにパスワード入力が不要になればよかったが、試した限りは接続でつまずくことはなかった。iOSでは無線LANの接続が少々面倒だが、Androidはほぼ理想的に動作し、機能としては満足できる。

 ただし、転送できる画像は2MまたはVGAサイズのみで、動画の転送もできない。一度転送した画像は記憶されておらず、「この日の画像全て」「カメラ内の画像全て」を選んだ際の重複チェックがない点も気にはなった部分だ。

 画像サイズを小さくしたのは、もともとSNSなどへ投稿する場合はリサイズされるし、画像転送時間が短縮されるので、バッテリへの不安も少なくなるというメリットがあり、実用上の問題はないだろう。ただ、それでもスマートフォン側で画像編集する場合などでもっと画像サイズが欲しくなる可能性はある。カメラのバックアップのためにも、オプションでフル画像の転送を選べればよかった。

 いずれにしても、コンパクトデジカメで撮影した画像を簡単にスマートフォンからSNSなどに投稿できる機能は便利だ。無理に高機能化していないので軽快に動作してストレスも少なく、利便性の高い機能に仕上がっている。


TransferJet、非接触充電、GPSと盛りだくさん

 無線機能としてはTransferJetと非接触充電機能を搭載。TransferJetは近距離無線通信規格で、特に普及はしていないが、今回はTransferJet対応の「マルチステーション」が付属。カメラを台の上に置くと、TransferJetを使った画像転送が行なえる。ステーションをUSB経由でPCに接続すると、そこから給電し、非接触充電を使った充電も行なえるので、ケーブル接続不要で、置くだけで画像の転送から充電までが行なえる。

付属のマルチステーション。TransferJetは本体前面側にあるので、ディスプレイ側を上にして置く
自動的にTransferJetでパソコンとの接続が行なわれる

 パソコン側からはUSB接続として認識されるようで、特別なドライバなどのインストール作業は必要ない。電源オフの状態でステーションに置くと充電が始まり、電源をオンにするとPCと接続し、画像の取り込みが可能になる。置くだけでいいという手軽さは、とにかく便利。ケーブルの抜き差しもカードの出し入れも不要で、全てのカメラが対応すればいいとさえ思う快適さだ。

 ちなみに、カメラ単体ではUSB充電機能に対応しており、パソコンと直接USBでつないで充電をすることもできる。

置くだけで充電とPC接続ができるのは快適のひとこと。ちなみに、USBホスト機能を備えたAndroidタブレットに接続してみたところ、画像の転送、充電が可能だった

 さらにGPS機能も内蔵。電子コンパスも搭載しており、撮影時にGPSを使って現在位置を画像に記録することができる。さらにログ機能も備えており、カメラを持ったまま移動すると、その間のGPSログを記録してくれるようになった。PlayMemories Homeが今回は試用できていないが、試した限りはメモリカード内に.logファイルが記録され、Google Earthではそのまま読み込んで移動軌跡を確認できた。

GPSの設定画面。GPS方位をオンにすれば測位が行なえる。GPSアシストデータは、マルチステーションやUSB経由でPCと接続したときに取り込みが行なわれ、GPSの測位スピードが向上するGPS、無線LAN、TransferJetを一括してオフにする「飛行機モード」も搭載している。航空機内での利用時に便利だ

 GPSは相変わらず屋内やビル影などでは測定できないが、所有しているサイバーショットDSC-HX9Vに比べると、GPS電波の取得が早くなったような印象があるが、これは詳細な検証ができていない。測距スピードや屋内での測位を考えると、無線LAN APを使った位置情報の取得機能があると良かった。


高速連写機能を生かした豊富なカメラ機能

 カメラとしては、1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサーExmor Rを搭載。有効画素数は1,820万画素。レンズはカール ツァイス「バリオ・テッサー」レンズで、焦点距離は26-130mm(35mm判換算時)の光学5倍ズーム、レンズのF値はF3.5〜F4.8。光学式手ブレ補正を内蔵する。

 光学ズーム倍率は5倍だが、「全画素超解像」ズームを搭載し、デジタルズームの画質劣化を抑えつつ、ズームする機能で、最大10倍相当までのズームが可能になっている。

薄型ながら5倍ズームを搭載している

 記録メディアはとうとうメモリースティックマイクロまたはmicroSDカードになり、従来のメモリースティックDuoやSDカードは使えなくなってしまった。その反面、スマートフォンとの親和性は高くなっており、スマートフォンによってはmicroSDカードを簡単に挿して画像の取り込みができる。

記録メディアはさらに小型化。これだけ小さいので、なくしやすいのが難点だ

 AFスピードは、公称で明るい場所では最速約0.1秒、暗いシーンでは最速約0.2秒と速い。実際に屋外昼間であれば確かに速く、室内でも近距離でなければ速く、実用的なスピードだ。暗い室内だとさすがに厳しいが、AFスピードは十分に高速だと感じた。

 Exmor RとBIONZによる高速連写・合成機能を生かした撮影機能も従来通り。最大6枚連写して合成してノイズを低減する夜景撮影機能や、逆光時に露出を変えた3枚を連写して合成する機能、カメラを一振りするだけで最大178度のパノラマ写真が撮れるスイングパノラマ機能、3D静止画などの3D写真撮影機能など、従来通りの連写機能を搭載。

 秒10コマの高速連写も従来通りで、10コマまで撮影すると記録動作が走って、その間はなにもできないという制限も変わらない。この辺りは、そろそろバックグラウンドでの保存に対応して欲しいところではある。

 動画撮影機能も充実。ソニーのビデオカメラ「ハンディカム」と同じ動画機能というのが特徴で、1,920×1,080/60iのフルHD動画に加え、60pの動画撮影もサポート。ただし、連続撮影時間は約29分に限定される。

静止画撮影モードでも、動画ボタンを押すことですぐに録画が行なえる。動画撮影時の設定を変更したい場合は、撮影モードを動画に切り替える。60pのフルHD動画撮影機能も搭載する

 光学式手ブレ補正はアクティブモードに対応し、歩きながらの撮影でもブレの少ない撮影が可能で、電子式手ブレ補正も利用することで、テレ端での補正効果も向上している。もちろん光学5倍ズーム、追尾フォーカスもそれぞれ利用できる。

動画撮影中にシャッターボタンを押すと静止画を記録できる

まとめ

 コンパクトでフラット、シンプルなデザインのボディ、動作の軽快なタッチパネル、無線LAN、GPS、TransferJet、ワイヤレス充電、防水、フルHD動画など、ほとんど「全部入り」といっていいほどのスペックを盛り込んだのがDSC-TX300Vだ。相変わらず起動速度が遅いとか、スリープがなく、電源が自動オフになるとズーム位置がリセットされてしまうとか、不満点がないわけではない。しかし、ふんだんに機能を盛り込んであって、使い手がある。

 特にDSC-TX300Vの無線LAN機能は、スマートフォン転送機能だけでも十分価値がある。無線LANを生かし切れていない部分はあり、例えばSamsungは複数のコンパクトデジカメに無線LAN機能を導入しており、スマートフォンからカメラの操作ができたり、スマートフォンのGPS情報を取得したり、カメラのコンパニオンデバイスとしてのスマートフォンとして、機能を充実させている。

 スマートフォンの世界的なブームで無線LANチップも低価格化して、メーカーとしても低コストでカメラの無線LAN化が可能になってきている。こうした状況は、コンパクトデジカメとしても追い風だろう。グループ内を含めてカメラとスマートフォンを持っているメーカーはいくつかあるが、その一社として、ソニーには今後もスマートフォン連携機能をさらに期待したい。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・画角

 広角端は35mm判換算で26mm。タル型の歪曲収差はそれなりにある。望遠端では糸巻き型の歪曲収差が見られる。

広角端 / DSC-TX300V / 約5.5MB / 4,896×3,672 / 1/250秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO64 / 4.7mm望遠端 / DSC-TX300V / 約5.3MB / 4,896×3,672 / 1/250秒 / F4.8 / 0.0EV / ISO100 / 23.5mm

・「全画素超解像」ズーム

 デジタルズームよりも画質を維持しながら、画像を拡大して記録する全画素超解像ズームも搭載。光学倍率は10倍相当になる。さすがに画質の劣化はあるようだが、いざというときにより拡大して撮影できるのは便利だろう

全画素超解像ズーム / DSC-TX300V / 約4.3MB / 4,896×3,672 / 1/250秒 / F4.8 / 0.0EV / ISO100 / 23.5mm

・感度

 ISO6400以上は連写で画像を合成してノイズを低減する機能が動作する。それでもだいぶんノイズ量は多いが、ISO3200とISO6400だと、ISO6400の方が解像感が残っている。

ISO64 / DSC-TX300V / 約4.7MB / 4,896×3,672 / 1/50秒 / F4 / 0.0EV / 13.4mmISO100 / DSC-TX300V / 約5.0MB / 4,896×3,672 / 1/80秒 / F4 / 0.0EV / 13.4mm
ISO200 / DSC-TX300V / 約5.0MB / 4,896×3,672 / 1/160秒 / F4 / 0.0EV / 13.4mmISO400 / DSC-TX300V / 約5.4MB / 4,896×3,672 / 1/400秒 / F4 / 0.0EV / 13.4mm
ISO800 / DSC-TX300V / 約5.0MB / 4,896×3,672 / 1/800秒 / F4 / 0.0EV / 13.4mmISO1600 / DSC-TX300V / 約5.2MB / 4,896×3,672 / 1/400秒 / F5 / 0.0EV / 13.4mm
ISO3200 / DSC-TX300V / 約5.6MB / 4,896×3,672 / 1/800秒 / F5 / 0.0EV / 13.4mmISO6400 / DSC-TX300V / 約3.8MB / 4,896×3,672 / 1/1,000秒 / F6.3 / 0.0EV / 13.4mm
ISO12800 / DSC-TX300V / 約3.6MB / 4,896×3,672 / 1/1,600秒 / F6.3 / 0.0EV / 13.4mm





小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2012/2/28 00:00