【新製品レビュー】ニコンCOOLPIX S5100

〜新画像処理エンジンを搭載したスタイリッシュモデル
Reported by 本誌:折本幸治

 ニコンのコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX」には、高機能タイプのP(Performance)シリーズ、薄型スタイリッシュタイプのS(Style)シリーズ、エントリータイプのL(Life)シリーズが存在する。そのうち最も種類が多く、店頭での売れ筋となっているのがSシリーズだ。

 Sシリーズにも色々な機種が存在する。現在、機能面での主役は、10倍ズームレンズと裏面照射CMOSセンサーを組み合わせたCOOLPIX S8100だ。あるいは、タッチパネル式のCOOLPIX S80といったところだろう。ユニークなところでは、プロジェクターを内蔵したCOOLPIX S1100pjも話題だ。

 今回紹介するCOOLPIX S5100は、COOLPIX Sシリーズの中でも中堅的な役割を果たしている機種。スタイリッシュさを前面に出したスリムモデルでありながら、機能と価格のバランスを追求した手頃なモデルとなる。

 撮像素子は有効1,220万画素の1/2.3型CCD。レンズは焦点距離約28-140mm相当(35mm判換算)F2.7-6.6の光学5倍ズーム。執筆時の実勢価格は1万8,000円前後。発売は2010年9月。本体色はライトパープル、ウォームシルバー、スマートブラック、ホットピンク、クリアレッドの5色。


外観

 試用したライトパープルは、眼にも鮮やかな派手な紫。ライトパープル以外のホットピンクやクリアレッドも、ビビッドで目をひく仕上げだ。本体前面の触感は、金属の質感を伴ったさらりとしたもので、高級感が感じられる。ただし背面は樹脂製で仕上げも平凡。かなりギャップを覚えた。

 操作スイッチ類はとてもシンプル。背面右上の動画撮影ボタンが目をひく程度だろう。マルチセレクター(4方向操作)がロータリーホイールタイプでないなど、上位機種との差を感じるものの、ここまでシンプルだと潔い。ボタンの押し心地が安っぽいのは残念だが、クラスを考えると仕方がないのだろう。

 液晶モニターは2.7型約23万ドット。精細感の面で他機種に見劣りするのは残念。COOLPIX伝統の文字類の表示も、いまとなってはあか抜けない書体に感じる。ただし、屋外での視認性が高く、ライブビューと撮影画像との差が少ない。露出補正の差もしっかりわかるので、使いやすいと感じた。

 レンズは28mm相当からの光学5倍ズーム。望遠端の開放値がF6.6と物足りないのは気になるが、かつての3倍ズーム機と同等のボディに5倍ズームレンズが収納されているのは驚きだ。もっとも同じCOOLPIX Sシリーズには、7倍ズームレンズや10倍ズームレンズを収めた上位機種が存在する。だが、さすがに本機ほどコンパクトにまとまっていない。マクロモードでの最短撮影距離はレンズ前2cm。広角端での数値となっている。

 手ブレ補正機構はレンズシフト式で、補正効果は公式で3段分。かなり良く効く印象を持った。ニコンでは手ブレ補正機構に加え、モーション検知、フラッシュ制御、高感度低ノイズの4機能を組み合わせた「夜撮りキレイテクノロジー」を本機のキャッチコピーに謳っている。夜景モードにすると、手持ち撮影と三脚撮影をカメラが判別し、感度とシャッター速度を的確に制御するという。

 フル充電からの撮影可能枚数は約200枚。大量撮影するタイプのカメラではないものの、宿泊を伴う旅行では少々心もとない数値だ。ただしUSB給電に対応してるため、ノートパソコンを介しての充電が可能(ただしUSBケーブルは専用)。出張時には助かる仕様だ。パソコンにもよるが、およそ3時間程度でフル充電になる。最近ではオリンパスのコンパクトデジタルカメラもUSB給電にシフトしており、ほかのメーカーも追随して欲しいところだ。

レンズは焦点距離約28-140mm相当(35mm判換算)F2.7-6.6の光学5倍ズーム。NIKKOR銘を冠する操作スイッチ類はシンプル。質感はいまひとつだが、操作しづらいわけではない
上面もズームレバー、シャッターボタン、電源ボタンだけと、極めてシンプルレンズを収めると、薄型ボディがひきたつ
記録メディアはSDHC/SDメモリーカード。バッテリーは最大約200枚の撮影が可能USB給電対応のコンセント差し込みプラグが付属する。パソコンからの給電にももちろん対応

新画像処理エンジン「EXPEED C2」を採用

 そのほかの機能面では、シーン認識、笑顔認識自動シャッター、ターゲット追尾といった最近のトレンドを網羅。動画機能は1,280×720ピクセル/30fpsに対応しており、価格を考えると立派だ。ただし圧縮方式はMotion JPEGであり、画質面でも物足りないものがある。COOLPIXもそろそろ動画機能に本腰を入れてほしい。

 再生機能では、「オート分類再生」が特徴的だ。撮影した際のシーンモードなどで画像を分類して抽出してくれる機能で、昨年からトレンドになっている、組込みデータベース内蔵による再生分類の一種なのだろう。

 画像処理エンジンは、感度撮影時のノイズ低減を意識した「EXPEED C2」を採用。最高感度はISO3200。確かに1/2.3型CCDにしては、ISO400までのノイズは少ないし、大きくプリントしないならISO800も個人的に許容範囲だ。昨年モデルからすると、高感度ノイズについて進化しているのは間違いない。ただし同じCCDでも1/1.7型CCDに比べると、さすがに見劣りするのは仕方がないだろう。

 また、色再現や階調は素晴らしく、特に自然風景の撮影では、クリアかつコクのある色調が得られやすい。青空、木々の緑、夕焼け空は得意のようだ。反面、画素数ほどの解像感が感じられないのは残念。レンズ性能のせいなのか、特に望遠側の画質がふるわない。

 どちらかというと尖った機能もなく、シンプルで扱いやすいCOOLPIX S5100。2万円を切る価格にまで下がっているので、ポケッタブルな機種を探している人や、スタイリングが気に入ったなら検討する価値はあるだろう。

撮影時の画面最高ISO3200での撮影が可能
再生機能が充実しているのもCOOLPIXの特徴。簡単レタッチ(左)では、露出やコントラストを自動で補正してくれる。明部の明るさを維持したまま、暗部を明るくするD-ライティング(右)もおなじみだ

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角

広角端
COOLPIX S5100 / 約4.2MB / 4,000×3,000 / 1/1,000秒 / F2.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm
望遠端
COOLPIX S5100 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F6.6 / 0.0EV / ISO110 / WB:オート / 25mm

・歪曲収差
広角端
COOLPIX S5100 / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / F2.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 5mm
望遠端
COOLPIX S5100 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F6.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 25mm

・感度
ISO100
COOLPIX S5100 / 約4.0MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F5.9 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm
ISO200
COOLPIX S5100 / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.9 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm
ISO400
COOLPIX S5100 / 約4.3MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.9 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm
ISO800
COOLPIX S5100 / 約4.3MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.9 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm
ISO1600
COOLPIX S5100 / 約4.4MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F5.9 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm
ISO3200
COOLPIX S5100 / 約4.4MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F16.7 / 0.0EV / WB:プリセット / 20.3mm

・ピクチャーカラー
ピクチャーカラー:標準カラー
COOLPIX S5100 / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 5mm
ピクチャーカラー:ビビッド
COOLPIX S5100 / 約4.2MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 5mm
ピクチャーカラー:白黒
COOLPIX S5100 / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm
ピクチャーカラー:セピア
COOLPIX S5100 / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm
ピクチャーカラー:クール
COOLPIX S5100 / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm

・シーンモード(夕焼け)
プログラムオート
COOLPIX S5100 / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F2.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 5mm
シーンモード:夕焼け
COOLPIX S5100 / 約3.6MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / F2.7 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm

・逆光
COOLPIX S5100 / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mmCOOLPIX S5100 / 約3.6MB / 3,000×4,000 / 1/800秒 / F7.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm

・マクロ
COOLPIX S5100 / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F4 / +1.0EV / ISO100 / WB:オート / 11.2mm

・動画
  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
1,280×720 / 30fps / Motion JPEG(.avi)/ 25.23MB




本誌:折本幸治

2010/11/30 00:00