新製品レビュー
ケンコー・トキナーのグリップ付き「お散歩カメラ」がカッコよくて可愛かった
2024年9月1日 12:00
小さいカメラがあれば、いつでも鞄に入れて持ち運びやすいじゃないかと思い、いいモデルはないかと探し求める日々が続いている(いつまで続くのか)。そんな折にケンコー・トキナーから登場したコンパクトデジタルカメラ「KC-ZM08」を、今回は紹介してみたい。
どちらかというと“高級”寄りのコンデジを検討していた筆者にとっては、ちょっと変化球すぎるかな? とも思えたため、製品発売時のリリースではあまり気に留めていなかったというのが本音。しかし、当サイトでニュース記事を掲載した際に、思いのほか多くの読者に注目してもらえたため、「なるほどねえ……」と改めて気になった次第だ。
カッコよくて可愛いデザイン
製品箱を開けてまず感じたのが「あれ、意外とカッコよいじゃないか」ということ。レンズ周りとトップ部分のシルバーが灯りに照らされてキラリと光る。製品の質感というのはリリース画像では伝わりきらないことも多く、やはり実際に手に取ってみることは大事だなと実感した瞬間だ。
このカメラの特徴はそのデザインにあるだろう。気軽に持ち歩けるコンパクトサイズの“お散歩カメラ”を謳うモデルだが、グリップを配した本格的なミラーレスカメラのような出で立ちとなっている。
コンパクトデジタルカメラに分類される多くのモデルは、グリップそのものがなかったり、そもそもが薄くて「持ちやすさ」に言及したものは少ない。この「KC-ZM08」もけっして深さのあるグリップではないが、カメラを持つということにおいて指のとっかかりがある安心感は大きなポイントだ。
外形寸法は約100×62×32mm。重量は約171g(充電池、メモリーカードを含む参考値)となっている。上で述べたような見た目の印象から、重量感のありそうなイメージだったがなんのことはない。約171gという軽さは“お散歩カメラ”として求めたい「軽量」という基準を問題なくクリアしているといえる。本体の小ささから、可愛らしさも感じられて良い。
レンズには、35mm判換算で約28-142mm相当の光学5倍ズームレンズを採用した。シャッターボタンと同軸にあるズームレバーでの操作となるが、動作はスムーズでストレスのないものだった。撮像素子には有効約1,600万画素の1/2.3型CMOSセンサーを搭載している。
少し撮り歩いてみた写真をご紹介する。撮影設定としては、ISO感度、露出補正、ホワイトバランスが調節できる。測光モードも選択可能。
そして面白いものが背面に。自分撮りに使えるリアカメラを備えているのだ。映している画像をモニターで確認しながら撮影できる。35mm判換算で約28mm相当のレンズを採用しており、最大2倍のデジタルズームに対応する。撮像素子は有効約1,200万画素の1/2.8型CMOSセンサー。
動画撮影も可能だ。最大5K/30fps(5,120×2,880)の記録が可能で、モード選択によりスローモーション動画も手軽に撮影できる。以下の動画は、通常の動画撮影と、スローモーションの比較となっている。
設定メニューには、描写を変えられる「効果」の項目を備えている。ノーマル、白黒、ナチュラル、ネガ、暖色、コントラスト(H)の6種類を用意しており、これは静止画と動画のいずれにも適用できる。
そのほか撮影モードには、セルフタイマー(写真)、タイムラプス(写真/ビデオ)リピート録画(動画)といった機能を備えており、いろんな表現に挑戦できるようになっている。
カメラ本体にはUSB Type-Cポートを搭載。USB充電に対応するのでこれも便利。また、Webカメラとしての活用も可能だ。
「グリップ付きのカメラデザイン」「ズームレンズ」「軽い」というのが本機のポイントとなるだろう。この「KC-ZM08」を本格的なカメラと位置付けるのは難しいかもしれないが、手軽さという点にフォーカスすれば面白い選択肢となる。
また昨今、中古カメラ市場でコンパクトデジタルカメラの旧製品が注目を集めているという話も耳にする。「KC-ZM08」がUSB Type-Cポートを搭載している点や、microSDHC/microSDXCメモリーカードに対応している点は、そうした“オールドコンデジ”と異なるチェックポイントといえる。
スナップ撮影、自分撮り、動画撮影、Webカメラと意外に活用の幅が広く、日々の何気ない記録に向いた1台になるかもしれない。