気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

OLYMPUS OM-D E-M1【第2回】

E-M5と較べてみる

 オリンパスから発売された「OM-D E-M1」は同社のOM-Dシリーズのフラッグシップ機として登場しました。すこし大きくなったボディサイズにしっかりとしたグリップが用意されOM-Dシリーズ初代機である「E-M5」と較べホールディング性が大きく向上しました。撮影時のシャッターフィーリングやダイヤル操作の感触なども非常に良く感じます。

 私は発売当初から、E-M5の小さなサイズを活かした日常的なスナップ撮影からちょっとした取材撮影やポートレート撮影など幅広く使用してきました。もちろん画質や操作感も十分に満足出来るものです。しかしE-M1を使用するようになって、使えば使うほどに「手に馴染む」感覚が強まってきているのも事実です。また画質についてはやはり新機種であるだけにE-M5よりもブラッシュアップされているように感じています。

 そこで今回は、新機種であるE-M1をE-M5と較べてみたいと思います。新機種となって、どのような点が変わったのか? それとも実はそれほど変わっていないのか? といった多くの方が気になっているところを実際に較べてみます。

・外観の比較

左側がE-M1に新しく発売された標準ズームレンズM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROを装着したもの。右側がE-M5に電動標準ズームM.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZを装着したものです。

 ひとまわりほどE-M1の方がE-M5より大きく、質量も約72g重いです。E-M1にはしっかりしたグリップが付いたことがE-M5との大きな違いでしょう。2つのコントロールダイヤルも形状および配置が変更されており、フロントダイヤルがグリップ上に配置されており、人差し指での操作が容易となっています。

・ファインダー比較

 E-M1の電子ビューファインダー(EVF)はE-M5に搭載されたEVFとは大きく変更されています。E-M5では約144万ドットであった液晶パネルがE-M1では約236万ドットの液晶パネルになっています。またファインダー倍率も約1.15倍から約1.48倍へと大きく引き上げられました。

E-M1のEVF。ファンダー倍率が1.48倍とても大きくなったことでファインダーいっぱいに液晶パネルがあるという印象になりました。覗いたときの画像の見え方が明らかにE-M5とは違うことに驚かされます。画像も非常に精細で色味も自然です。
E-M5のEVF。色味も自然で十分に見やすいです。慣れればMFでピント合わせもできる精細感があります。ファインダー倍率は1.15倍と小さくはないですが、暗い筒の先に液晶パネルがあるという印象です。

 上の画像は実際にカメラのファインダー内をおなじ倍率で撮影したものです。実際に目でファインダーを覗いたときの感覚に近いと思われます。これを見るとE-M1のEVFの方が、液晶パネルの見え方がとても広く感じられことがわかります。

 またE-M1には周囲の明るさに併せて液晶の明るさを自動調整してくれる「キャッツアイコントロール」機能が搭載されました。周囲の明るさに目が順応することによる明るさの視覚誤差を軽減してくれる機能です。周囲が明るい場所でEVFの画像を見ると実際より暗く、また暗い場所だと明るく感じてしまう人間の感覚誤差を縮めてくれます。

・解像感の比較

 E-M1とE-M5の撮影画像を解像感という点で比較してみます。E-M1とE-M5はともにマイクロフォーサーズ規格に則った撮像素子「4/3型Live MOSセンサー」を採用しています。画素数はE-M1が有効画素数1,628万画素、E-M5が1,605万画素と若干ではありますがE-M1の方が画素数が多くなっています。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
同条件のもとE-M1(左)とE-M5(右)それぞれで撮影しました。使用したレンズはM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROで焦点距離は40mmです。仕上がりはNatural、WBは晴天、露出はISO200、1/250秒、F5.6に揃えました。

 まず画像をPCのモニター上に全体表示させて見比べてみます。この状態では解像感に大きな差はないように見えます。しかし画像を等倍まで拡大してより仔細に比較するとふたつの画像の違いに気がつきます。

 ぱっと見た感じではE-M5の方がくっきりしているように見えますが、木の枝や森の葉などはE-M1の方がより細かく分離しているのが判ります。その点を念頭にもう一度画像全体を見比べるとE-M5の方が少しコントラストが高いのがわかります。また木々などのエッジ強調も若干ですが強いようです。反面、E-M1の画像はコントラストもエッジの処理も自然に見えます。

 ここで気がついたのですが、E-M1の画像はE-M5の画像と較べると周囲がすこし広く写っています。もちろん撮影した際のレンズ焦点距離は同じ40mmです。つまりE-M1の方が広い画角を写すことができるということになります。メーカーの公称値としては撮像面のサイズは共に17.3mm×13.0mmと同じことになっていますが、E-M1では位相差AF用の画素を撮像面に組み込むなど、センサーを刷新したことによる微妙なサイズ変更によるものと推測できます。

・ピクチャーモード比較

 こちらもE-M1、E-M5ともに同条件にてピクチャーモードを変えながら撮影しました。

i-Finish(左:E-M1、右:E-M5)
Vivid(左:E-M1、右:E-M5)
Natural(左:E-M1、右:E-M5)
Flat(左:E-M1、右:E-M5)
Portrait(左:E-M1、右:E-M5)
モノトーン(左:E-M1、右:E-M5)

 E-M5の方がE-M1よりも若干ではありますが彩度が高い傾向にあります。特にi-FinishとVividに関しては彩度の差が顕著なようです。実は以前にE-M5のi-Finishと同社の一眼レフカメラE-5のi-Finishを比較したことがあるのですが、そちらではE-5の方が高めの彩度となる結果が出ました。

 かつてi-Finishが初めて搭載されたE-P2では彩度強調が過ぎる傾向があった為、あまり実用的とはいえませんでした。しかしその後に発売されたカメラでは徐々にi-Finishの彩度強調は抑えめとなってきており、E-M5ではかなり自然に感じる程度となった経緯があります。今回のE-M1でも同じようにi-Finishのパラメーター調整がなされたと考えてよいでしょう。

・ISO感度比較

 E-M1およびE-M5で人工光によって照らされた建築物を、ISO感度を変えながら撮影しました。なお、E-M1のISO100は拡張設定(ISO LOW)です。

以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。サムネイルをクリックするとオリジナル画像を表示します。
ISO100(左:E-M1、右:E-M5)
ISO200(左:E-M1、右:E-M5)
ISO400(左:E-M1、右:E-M5)
ISO800(左:E-M1、右:E-M5)
ISO1600(左:E-M1、右:E-M5)
ISO3200(左:E-M1、右:E-M5)
ISO6400(左:E-M1、右:E-M5)
ISO12800(左:E-M1、右:E-M5)
ISO25600(左:E-M1、右:E-M5)

 ISO200から800まではE-M1、E-M5ともに非常にノイズが少なくどちらも大きな違いはありません。ISO1600あたりから色ノイズが若干シャドー部等に発生してきますが、E-M5に比べるとE-M1はほとんど目立ちません。ISO3200を超えるとE-M1、E-M5ともに全体にノイズが発生します。しかしノイズリダクションでうまく抑えている印象です。ただしE-M5では画像内のワイヤーや壁のエッジなど直線ディテールが若干荒れています。

 この現象はISO6400を超えると顕著となっていき、ISO12800ではE-M5においてはノイズと合わせディテールがかなり緩くなり、ISO25600はどうしても必要というシーン以外ではあまりオススメできない画質といえます。

 一方、E-M1ではノイズリダクションの処理がかなり自然な仕上がりとなっているおかげでISO12800でも十分に常用できる画質といえます。さらにISO25600でさえもE-M5に比べ大幅にノイズが少ないのは驚きです。

 ◇           ◇

 このようにE-M1とE-M5では大きさや形状、ファインダーの見え方といった、カメラを手にして構えたときの感覚に繋がる変化と、撮影画像の解像感、ピクチャーモードの仕上がり、高ISO感度撮影時の画質向上などデジタルカメラとしての基本的な画像の仕上がりに対する変化が与えられています。

 画像処理エンジンがE-M5の「TruePic VI」からE-M1では「TruePic VII」へと進化したことに伴い、偽色・モアレを抑制しながら高い解像感を実現するという「ファインディテール処理」が、より細やかな調整(シャープネス最適化補正と倍率色収差補正)を行なえる「ファインディテールII」になったことも画質、仕上がり方の違いに繋がっていると言えるでしょう。

 さて次回ですが、E-M1と同社デジタル一眼レフカメラ用交換レンズ「フォーサーズレンズ」の組み合せによる画質、AFスピードなどについて検証してみたいと思います。

 E-M1はOM-Dシリーズのフラグシップ機であると同時にオリンパスのデジタル一眼レフカメラEシステムの新たなフラグシップ機としての位置づけもなされています。ミラーレスのOM-Dシリーズと一眼レフのEシステムの統合という大きな役割を与えられたE-M1とEシステム用交換レンズ「フォーサーズレンズ」は、はたしてどのような写真を生み出すのか、またその操作性はどうなのかなどを実際に撮影した画像を交えながら検証していきたいと思います。

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy