気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
PENTAX Q7【第12回】
寄れる高性能レンズ「HD DA 35mm F2.8 Macro Limited」を試す
Reported by水咲奈々(2014/1/20 08:00)
今回は、マウントアダプターに「HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited」を付けて柔らかいボケと被写体の立体感を楽しみたいと思います。
このレンズは、フレアーやゴーストの発生を極力抑える最新のHDコーティングを採用していて、逆光での撮影でもコントラストの高いシャープな画を描き出してくれる高性能な標準マクロレンズです。
開放F値はF2.8で最小絞りはF22、レンズ構成は8群9枚で絞り羽根枚数は9枚、柔らかい円形のボケを描き出してくれる円形絞りを採用しています。長さは46.5mm、重さは214gとQ7に装着してもそれほど不恰好にならないサイズなのは嬉しいです。今回はシルバーを試用しましたが、執筆時現在の大手量販店での価格は5万2,000円でした。
このレンズをQ7に装着すると35mm判換算の約4.6倍の画角になるので、約161mm相当となります。数字だけを見ると結構な望遠画角になっていますが、Q7でマウントアダプター遊びをしていると300mm前後の画角が当たり前なので「あ、意外と広角だな」なんて、ちょっとズレたことを思ってしまいました(笑)。
さてこのレンズを使うのであれば、やっぱり円形のボケとマクロの描写を見てみたいですね。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
まず、イルミネーションは思った通りの描写で期待に応えてくれました。手前の光源のボケも、水面に映った光源のきらめきも無駄な滲みやぎらめきのない柔らかな描写で描き出しています。
マクロでは黄色い花の作例がわかりやすいかと思いますが、ピントの合ったシベの手前側はシャープに、そこから徐々にボケていくなだらかさは筆者の好みの描写でした。ただ、縦位置の赤い花の作例では周りがうるさすぎたせいかボケも雑に感じてしまいました。
優しい円形ボケを採用しているレンズなので、無用な背景を消すために絞りを開けてボカすのではなく、なだらかな諧調のボケを背景に作り出す気持ちで使用するのが正解のようですね。……こう書くとそんなのは当たり前だと思うかもしれませんが、実際に撮影していると邪魔なものをボカして消しちゃえってこと、そこそこありますよね(笑)。
レンズの大きさとしては、標準レンズとして十分持ち歩けるコンパクトさです。紅葉の作例は逆光状態で中央の葉にピントを合わせましたが、問題なくシャープに解像しています。馬の作例も立体感のあるスナップに仕上がりました。
伸縮式の便利なスライドフードが内蔵されていてとっさの撮影にも使いやすく、Q7に装着しても首から提げられる重さなので、寄れる望遠レンズとして持ち歩くのに最適でした。