第2回のテーマは、DP1xのダイナミックレンジの違いを採りあげたい。もともとDP1は、ベース感度がISO100とされていて、ISO50ではダイナミックレンジが狭くなるとシグマもアナウンスしていた。
DP1xについては、このダイナミックレンジの件は公式には発表になっていないようだ。ただ、DP1xでも感度設定をオートにするとISO50は選ばれなくなる。
今回はISO50とISO100を撮り比べてダイナミックレンジを比較した。一般に感度が低いほどノイズの面では有利とされるが、その辺りも気になるところだ。
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしのRAW画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- ※RAW現像はSIGMA Photo Pro 4.2.2.0(3607)で行なっています。[出力画像のサイズ]は「標準」です。
【ISO50】DP1X / 2,640×1,760 / 1/500秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm | 【ISO100】DP1X / 2,640×1,760 / 1/1,000秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm |
ビル窓に太陽光が反射している一方、手前の樹木が陰になるという明暗差のあるシーン。ハイライト側を見るとISO50では窓枠のラインがハイライトに埋もれている箇所があるが、ISO100ではディテールが残っている。シャドウ側に当たる樹木の描写はさほど変らず、必ずしもISO50の黒ツブレが早く起こるとはいえない。見た目のノイズはほとんど変化がない。
【ISO50】DP1X / 2,640×1,760 / 1/200秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm | 【ISO100】DP1X / 2,640×1,760 / 1/400秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm |
ややアンダー目の露出だが、金色の塔の太陽が反射している白いところは白トビしている。写真的には不自然ではないので問題ないが、この部分を比較するとやはりISO50の方が白トビがきつく出てしまっている。金色のグラデーションもISO100の方が滑らかだ。
【ISO50】DP1X / 2,640×1,760 / 1/200秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm | 【ISO100】DP1X / 2,640×1,760 / 1/400秒 / F8 / 0EV / マニュアル / WB:晴れ / 16.6mm |
画面中央の橋を支える橋台の部分が白のピークになっている。見比べるとISO100のほうがわずかだがディテールを残している。土台にあるラインもISO100のほうがはっきり描写されているのがわかる。
■まとめ
いくつかのサンプルで比べたが、ハイライトはISO100のほうが粘りがあるのは確かなことがわかった。一方、シャドウ部はさほど違いはないようだ。ノイズの量に違いはほとんど出ていなかった。
微妙な差ではあるものの、少しでも広いダイナミックレンジを確保するためにISO100(またはそれ以上)を基本として撮影するのが良さそうだ。ISO50は、シャッター速度を遅くしたいときや、設定したい絞りとシャッター速度では露出がオーバーになってしまうという時にだけ使うのを原則にしたい。
【2011年5月23日】2枚目の説明文中で、記事初出時に「この部分を比較するとやはりISO100の方が白トビがきつく出てしまっている」と記載しておりましたが、正しくは「この部分を比較するとやはりISO50の方が白トビがきつく出てしまっている」になります。
2011/5/23 00:00