ソニーNEX-5【第6回】

Dレンジオプティマイザー VS オートHDR

Reported by 小山安博


 NEX-5は、コンパクトデジタルカメラのように使えるレンズ交換式デジカメだ。そのボディサイズだけでなく、撮影補助機能にもコンパクトデジカメに近いものを感じる。ユーザーがなるべく簡単に、きれいに撮影できるような機能を盛り込んでいる。

 今回はそうした撮影補助機能の中で「Dレンジオプティマイザー」と「オートHDR」(ハイダイナミックレンジ)」の2つの機能を採り上げてみたい。

 DレンジオプティマイザーとオートHDRは、いずれかをメニュー画面の「明るさ・色あい」から設定する。「DRO/オートHDR」を選択すると設定画面になり、Dレンジオプティマイザーオート、オートHDRオート、オフの3種類が選択できる。さらにソフトキー2を押すとオプション画面になり、DレンジオプティマイザーとオートHDR、ともに効果の強度を手動で設定できる。

 Dレンジオプティマイザーは、画面の明暗差を分析して、階調を補正する機能。実写を見る限りは、基本的には暗部を持ち上げるように動作する模様で、逆光時の撮影などで暗くなってしまった主要被写体を明るく写すことができる。この場合、なるべく露出を明るい部分に合わせて撮影すると、暗部が持ち上げられるため、白とび・黒つぶれを防ぐような形で撮影ができるようだ。

 Dレンジオプティマイザーの場合は、画像処理で補正をかけており、単純な撮影だけでなく、動く被写体、連写時にも動作し、効果も自然。画質の劣化もそれほど気になるほどではないので、一般的な用途であれば常時オンにしておいてもいいと思う。

 設定としては、Dレンジオプティマイザー・オートの設定に加え、レベル1からレベル5までの5段階で強度を設定することができる。シーンによって効きは違うようだが、基本的にはオートで十分だろう。ただ、明暗差が激しいシーンでは、空などの明部に露出を合わせ、Dレンジオプティマイザーのレベルを高くするというやり方は効果的だ。

メニュー画面の「明るさ・色あい」にDレンジオプティマイザーとオートHDRの設定がある選択すると画面が切り替わり、コントロールホイールで変更できる
ソフトキー2からオプションを選択すると、効果の強度を手動で選択できるようになる

 それに対するオートHDRは、明部・暗部・中間という3種類の露出の画像を撮影し、それを合成する機能だ。高速連写機能を生かし、1回のシャッターで3枚の画像が撮影され、1秒程度で合成される。

 PCのソフトウェアで作成するHDRほどは劇的な効果はないが、そこまでの不自然さもなく、Dレンジオプティマイザーより効果は大きい。明暗差が少なくなり、コントラストが低くなるので「眠い」印象の画像になるが、その効果は楽しい。

 3枚連写して合成するので、動く被写体の撮影は難しく、基本的には静物撮影に使うための機能で、手持ちでも撮影できるが、三脚を使った方が確実ではある。多少の合成ミスに目をつむれば、少し動きのある被写体くらいなら利用できそうだ。

 オートHDRではオート設定に加えて、露出差「1EV」から「6EV」までの6段階で強度を設定できる。露出差が激しくなるほど、できあがりの不自然さなどは増すが、結果のおもしろさも増す。基本的にはオートで撮影し、特徴的な写真を撮りたい場合には6EVに設定すると良さそうだ。

 撮影時は、合成した画像とオートHDR・Dレンジオプティマイザーオフの画像も同時に撮影されるのは便利。

 なお、撮影モードをiAUTOにしている場合はオートHDR・Dレンジオプティマイザーの設定は行えないが、Dレンジオプティマイザーのオートモードで撮影されるようだ。

 NEX-5では、撮影モードを変えてもメニューで設定した撮影設定は記憶されているため、たとえば「Pモード」でオートHDRをオート設定にしておけば、iAUTOではDレンジオプティマイザー、Pモードに切り替えればオートHDRの撮影と素早い切り替えができる。いちいちメニューから設定変更する場合は手間がかかるが、この方法で使い分けても良さそうだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
Dレンジオプティマイザー、オートHDRのいずれもオフ
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約5.4MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm
Dレンジオプティマイザー:オートDレンジオプティマイザー:レベル1Dレンジオプティマイザー:レベル2
Dレンジオプティマイザー:レベル3Dレンジオプティマイザー:レベル4Dレンジオプティマイザー:レベル5
オートHDR:オートオートHDR:1EVオートHDR:2EV
オートHDR:3EVオートHDR:4EVオートHDR:5EV
オートHDR:6EV  

Dレンジオプティマイザー・オートHDRオフの写真。建物が暗く、空は白トビしてしまっている
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約4.3MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
Dレンジオプティマイザーオートだと暗部の階調が持ち上がり、より見た目に近い写りになる
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約4.6MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
オートHDRオートでは暗い部分が極端に減って不自然ながらも面白い印象になり、さらに空の階調も戻ってきている
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約4.7MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm

 オートHDRのオンとオフを比べてみると、空の階調がしっかり戻ってきていて、シーンによっては非常に効果的だ。

オートHDR:オフ
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約7.0MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F8 / +1EV / ISO200 / WB:オート / 19mm
オートHDR:オン
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約6.2MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F8 / +1EV / ISO200 / WB:オート / 19mm

 空に露出を合わせてDレンジオプティマイザーオートで撮影したところ、空の階調も残しつつ、暗部が明るくなった。

オートHDR:オフ
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約4.8MB / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F9 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 55mm
オートHDR:オン
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約4.9MB / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F9 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 55mm

 オートHDRオン・オフで白壁の階調も戻って露出としては最適だが、夏の強い日差しのあたるイメージからすると元の画像でもよいので、この辺りは使い分けだろう。

オートHDR:オフ
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.9MB / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm
オートHDR:オン
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.9MB / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm

オートHDR:オン。オートHDRは連写して合成するので、動く被写体では画像がブレたようになってしまう。強風で木の葉が揺れていたため、合成に失敗してしまっている
NEX-5 / E 16mm F2.8 / 約5.6MB / 4,592×3,056 / 1/400秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 16mm
オートHDR:オン。手持ちでも建物などの動かないものであれば適切に合成される
NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.6MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 20mm


小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2010/8/3 00:00