Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

何度でも山に登るために選びたい軽量三脚

菊池哲男さんが登山の相棒にしている軽量三脚「LS-284CLin+LH-36」

解氷する白馬大池の畔で三脚を立てて、夕焼けするまでじっくりと待って撮影した。手前から奥までパンフォーカスで写したいので、絞りはF14まで絞り込んだ。構図を決めて、良い光を待てるのは三脚があるからこそだ
ニコン Z 7/NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S/34mm/マニュアル露出(F14、1/40秒)/ISO 200/WB:曇天

山岳写真家として季節を問わず山に登って撮影をしている菊池哲男さん。安全に登山をするための道具と妥協なく写真を撮る機材を両立させるには、携行するものを厳選しなければならない。山に持ち込む三脚として選んだ1本がレオフォトの「LS-284CLin+LH-36」。軽量・コンパクトでありながら、安定性と使い勝手を兼ね備えた三脚の特徴を解説してもらった。

菊池哲男

山岳写真家。1961年東京生まれ。立教大学理学部物理学科卒。山岳・写真雑誌での執筆や、写真教室・撮影ツアーの講師、アウトドアメーカーのアドバイザーとして活躍。2020年7月にニコンプラザ新宿、8月にニコンプラザ大阪のTHE GALLERY、2024年4月に富士フォトギャラリー銀座で大規模な作品展を行った。最新の写真集は『四季白馬 アルプスの楽園』(2024年 山と溪谷谷社)。東京都写真美術館収蔵作家、日本写真家協会(JPS)会員、日本写真協会(PSJ)会員。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年5月号』より転載・加筆したものです。

登山に必要な携行性と使いやすい伸長を両立した三脚を選ぶ

「山は逃げないから……」仕事や怪我などで都合が悪くなり、山へ行けなくなった人を慰めるときによく使われる台詞だ。しかし、これは嘘だ。確かに山は動かない。でも登りたいときに登らないと、その機会は失われる。仕事が忙しい、足腰が痛い、体力がなくなるなど登れなくなる理由はいくらでもある。私は山に登って写真を撮るのが仕事だ。山へ行けば、日中はもちろん、朝も夕も、夜でさえも撮影する。それを40年間続けてきた。それでもなお、もっと登って、撮っておけば良かったと後悔する自分がいる。今、60歳を過ぎて改めて思う。山は逃げるのだ。

そんな後悔をしないためにおすすめしたいのが装備の軽量化だ。年齢とともに確実に歩荷力は落ちていくので、当然の理屈だ。山において軽量化は安全につながる。しかし、食料や飲料、レインウェアに防寒具など安全に登山するために必要なものは外せない。結局、手を付けるのは撮影機材ということになる。かといって、撮影のために山に登っているのだから、カメラやレンズも妥協せずに粘りたいのが本音。そこで手を付けやすいのが三脚の軽量化だ。

フィルム時代は稜線の風やカメラボディのミラーショックでぶれないように4~5kgの三脚を使っていた。しかし、デジタル化とミラーレス化に伴い、カメラやレンズが軽量化され、シャッターショックも軽減された結果、三脚に必要な重さは半分以下になった。そんな環境下で、ここ数年愛用しているのがレオフォトの三脚だ。山行形態に合わせてLS-284CLin+LH-36とLSR-324C+LH-40の2本を使い分けている。前者は1.65kg、後者は2kgとどちらも軽量だが、今回は、軽量化という観点から前者を紹介したい。

LS-284CLin+LH-36
価格:8万2,500円(税込)/全伸長:1,903mm/伸長:1,578mm/最低高:158mm/収納高:618mm/段数:4段/最大脚径:28mm/耐荷重:10kg/質量:1,650g

LS-284CLinは携行性が高い4段のカーボン三脚で、通常モデルのLS-284Cに比べて1段分がやや長く設定されている点が特徴。雲台込みの伸長が1,578mmと付属のセンターポールを装着しなくてもアイレベルが確保できる。

風景写真家の林明輝氏がプロデュースした三脚。4段のカーボン三脚LS-284Cをベースに、1段の長さが調整されて伸長が長くなっている。付属のセンターポールを使用しない状態で、1,578mmの伸長を確保できる。センターポールを装着すると1,903mmまで高さを上げられる
雲台込みの収納高は618mmと短く、質量も1,650gと軽量。脚径も抑えられているので、とにかく撮影機材を軽くしたい登山に持ち出しやすい。それでいて、伸長や安定性などを妥協せずに済む点がうれしい。換装用のスパイク石突も付属しており、撮影フィールドを選ばない

センターポールが着脱式なので、ローポジションへの移行もスムーズに行える。軽量ながら安定し、振動も少ない。風が強いときはストーンバッグを併用することで安定感も増す。

センターポール不使用の状態だと、開脚角度を変えるだけで、瞬時にローポジションになる
風のない静かな夜、白馬大池と小蓮華山にかかる夏の天の川を撮影した。夜の撮影には三脚が欠かせない。大口径超広角ズームを使用した長時間露光でも、安定してカメラを支えてくれた
ニコン Z 6/NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/14mm/マニュアル露出(F2.8、15秒)/ISO 2000/WB:オート

セットモデルとなる雲台のLH-36も小型ながら保持力が高く、低重心なので重い機材でも安定する。ボールのフリクションも調整できて、構図も決めやすい。妥協を伴わずに、軽量化が図れる三脚だ。

LH-36は小型・軽量ながら機能性が高い自由雲台。保持力も高いので、重めのカメラやレンズを搭載しても安定する
フリーにしたときのフリクションを調整できるノブも備わっているので、程よい重さで構図をじっくりと整えられる
栂池自然園上部でテント泊し、明け行く厳冬の白馬岳を狙った。撮影機材抜きでも冬山用の装備は重たいので、三脚が軽いことは非常に助かる。余裕を持って、大自然のドラマと対峙できた
ニコン Z 6/AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR/180mm/マニュアル露出(F13、1/640秒)/ISO 200/WB:晴天日陰
菊池哲男

山岳写真家。1961年東京生まれ。立教大学理学部物理学科卒。山岳・写真雑誌での執筆や、写真教室・撮影ツアーの講師、アウトドアメーカーのアドバイザーとして活躍。2020年7月にニコンプラザ新宿、8月にニコンプラザ大阪のTHE GALLERY、2024年4月に富士フォトギャラリー銀座で大規模な作品展を行った。最新の写真集は『四季白馬 アルプスの楽園』(2024年 山と溪谷谷社)。東京都写真美術館収蔵作家、日本写真家協会(JPS)会員、日本写真協会(PSJ)会員。