Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
徹底的に構図を追い込み立体的な風景を描き出す
秦達夫さんの写真表現を支える「LS-324CEX+G4」
2023年3月17日 12:00
複数枚を合成したパノラマ風景写真の可能性を探っている写真家の秦達夫さん。三脚を使う理由は、パノラマ撮影時のフレーミング調整やスローシャッター表現のためだけではないと言う。
風景写真の8割は三脚を使って撮影するという秦さんに、なぜ三脚撮影にこだわるのか、その真意を伺った。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年4月号』より転載・加筆したものです。
構図にこだわり平面の写真に立体性を注ぎ込む
写真は平面の中で表現される芸術。そこに立体性を注ぎ込むことで表現の幅は格段に広がっていく。これは僕の持論だ。そんな前振りの中でこんな質問を投げかけたい。「どうして三脚を使うの?」。
多くの人は「ブレを防ぐため」や「スロー表現を引き出すため」と答えるだろう。ブレ防止やスロー表現は撮影では重要であり、それらを実行するための三脚であるのは間違いではない。しかし、それだけで三脚を使っているなら、写真表現の基本を理解せずにテクニックに頼っていると僕は思う。僕はシャッター速度が1/1,000秒でも三脚を使う。すべてのカットではないが風景写真の場合、8割は三脚による撮影だ。
なぜ、高速シャッターでも三脚を使うのか。その訳は「両目で見た情景をフレームに納めたいから」。周知のことと思うが2つの目を持つ生き物は距離感や立体感を両目によって認識している。片目では距離感はつかめない。その理由から1つの目しかない一眼カメラのファインダーは立体的に情景が見えていない。だからこそ両目で見た情景をファインダーに入れ込むことが重要だ。手持ち撮影でもこの作業は可能だが、より注意深く細やかなフレーミングを行うには、両目で風景を見ながら構図を調整できる三脚が便利だ。
最近は軽量化を意識した自由雲台が流行っている。確かに自由雲台は3WAY雲台に比べ軽量だが、困ったことに望遠レンズを使うとフレーミングがわずかにお辞儀をしてしまう。それを見越してやや上にフレーミングを作り撮影するが、これは意外と面倒な作業だ。手が冷えていると、その調整が難しくもどかしい。
それを解決してくれるのがレオフォトのギア雲台G4。左右チルトと上下チルトがダイヤル操作で簡単にできる。しかもダイヤルの回転トルクをレバーで調整できるので好みの力でダイヤルを回せる。やや練習は必要だが、フレーミングをズバッと変えたいときはロックレバーを切り替えると雲台がギアを介さずに動き、とっさの大幅なアングル調整も可能だ。
また、忘れてはならないのが三脚のレベリング調整である。通常フレーミングの平行調整は雲台が行うが、パノラマ合成などでカメラを平行にずらしながら撮影するときは三脚が平行を保っていないと2枚目のフレーミングが傾いてしまう。それを簡単に調整できるのがレンジャーEXシリーズのLS-324CEX。水準器も付いていて現場での操作がしやすい。
わずかな構図の微調整まで妥協しないためのコンビ
ギア雲台G4は上下チルトと左右チルトをダイヤルで細かく簡単に調整できるのが特徴。ダイヤルにレバーが付いており、回転トルクの調整もできる。LS-324CEXはレベリング調整機能を備えていることが特徴で、各脚の長さが異なる状況でも三脚の水平を簡単に取れる。今回のメインカットのようにフレーミングをずらしながら複数枚のカットを撮影した後に合成して高画素データを撮影する場合にも効率的に行える。
LS-324CEX
LS-324CEXは浅い回転角度でロックと解除が行えるので、セッティングが非常にスムーズ。高さの調整なども素早く行える。
LS-324CEXにはレベリングベースが搭載されているため、不整地でも水平をスムーズに調整できる。レバーの開閉でロックと解除も簡単に行える。