Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真
どこからでも星が狙える軽量かつ強靭なシステム
成澤広幸さんが愛用する「LS-224C+LH-25+NR-140+QS-45+TFS-S1/4」
2023年1月20日 14:00
撮影機材に頑丈さを求めると、どうしてもサイズが大型化してしまいがちだ。それは三脚においても同様で、頑丈な三脚ほど脚径が太くなり、重量も大きくなる傾向にある。
一度の撮影で、静止画や動画など複数の撮影を行うという成澤広幸さん。携行性も重視したトラベル三脚導入の経緯を聞いた。
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。星空写真家、タイムラプスクリエイター、Youtuber。写真スタジオ・天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。著書、メディアへの出演も多数。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年2月号』より転載・加筆したものです。
強度と携帯性を両立した三脚システムが完成
スローシャッターがベースとなる私の撮影では、ブレを防ぐ三脚の強度は命。しかも、星空風景写真とタイムラプス動画、さらに動画の撮影と、複数の撮影を同時進行で行う私のスタイルでは、カメラと同じ数の三脚が必要だ。
車で移動できるときはともかく、公共交通機関を使っての遠征や登山を要する撮影になると、どうしても運搬できる機材には制限がある。そこで、軽量かつ強度が高いトラベル三脚の導入を検討することにした。
三脚は登山者の間で定評のあったLS-224Cに決めた。箱を持ち上げた瞬間に中身が入っていないのではないかと疑ったほどの軽さで、すぐにお気に入りになった。最も重要な強度だが、三脚の付け根部分を持ってひねってもゆがむようなことはなく、非常に安定していた。LSシリーズの特徴であるセンターポールを外付けにした設計は、脚部が中央に密集した構造になるためゆがみが少なくなるメリットがある。
ここまで来たら徹底的にコンパクトにしたいと考え、雲台は小型のLH-25を選択した。強度的な不安はNR-100やNR-140といった多目的バランスプレートを使用して前後バランスを取ることで解決でき、この運用方法なら角形フィルターを装着した大型カメラでも、問題なく撮影ができる。
私の撮影はウエストレベルまでの高さと強度が確保できれば問題ないが、いざというときにセンターポールを素早く設置できるようにクイックリンクセットのQS-45も追加した。QS-45は円滑な機材の切り替えが可能になるアイテムで、三脚と雲台の間に取り付けると簡単なロックの開閉で雲台を交換できるようになる。これをセンターポールにも取り付けて着脱をスムーズにした。
また、岩場などでの撮影で固定力を強化するために石突スパイクをTFS-S1/4に変更。ゴムの取り外しが容易なので室内での使用も可能だ。小さいながら汎用性の高いシステムが完成。三脚が小さいぶん、もう1脚持ち歩くのも無理がない。
タイムラプスや動画撮影用のビデオ雲台BV-5と、ひとまわり頑丈なLS-255CEXも導入した。これらを中心に機材を組み立てれば、遠征時に複数台の運用も可能。強度と携帯性を両立できたと感じている。私の撮影に新しい可能性が見え始めた。
軽量トラベラー三脚をカスタマイズして操作性をアップ
LS-224Cは4段の10層カーボン三脚で耐荷重は6kg。三脚のみの質量は驚きの715gだ。LH-25を含めても重さは1kg以下で軽量トラベル三脚としては抜群の組み合わせ。小型雲台でもNR-140などで前後バランスを整えれば設置時の安定感は確保できる。石突はゴムの着脱でスパイク石突にもなるTFS-S1/4に変更し、砂地などでより深く地面に差して三脚を設置できる。
センターポールを外付けにしたLS-224C+LH-25は、収納時は47.5cmと非常にコンパクトで取り回しが良い。質量も雲台と合わせて1kg以下で、公共交通機関でも持ち運びが容易だ。
外付けのセンターポールや雲台を、QS-45で連結できるようにしておくと着脱がスムーズ。素早い雲台交換や高さの調整が可能になる。
バランスプレートのNR-140は前後に動かすことで重心を調整可能。重量級機材を設置した際にフロントヘビーにならず安定する。
TFS-S1/4は付属のスパイク石突よりも長く、砂地などに深く差し込んで三脚を安定させられる。ゴム石突も装着できるのでシーンに合わせての着脱も容易だ。
動画やタイムラプスを撮影するときは、ひと回り大きいLS-255CEX+BV-5も使用している。こちらも軽量なので2本の三脚の持ち歩きも苦にならない。2本の三脚で静止画も動画も一度に撮影可能となる。
制作協力:株式会社ワイドトレード