シグマ「8-16mm F4.5-5.6 DC HSM」

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 大浦タケシ

EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約4.5MB / 5,184×3,456 / 1/25秒 / F16 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm


EOS 7Dに装着。価格は9万9,015円。キヤノン用とシグマ用の発売日は4月29日。ソニー用、ニコン用、ペンタックス用は発売時期未定

 APS-Cサイズ相当のイメージセンサーに特化したデジタル専用レンズとして、世界初の焦点距離を謳う超広角ズームレンズである。前方にグッと飛出した半球面の前玉は、これまでの超広角ズームでも見受けられなかったほどの迫力で、このレンズを特徴づけている部分だ。価格は9万9,015円。キヤノンおよびシグマの両マウントが用意されている。ニコン、ソニー、ペンタックスの発売時期は未定となっている。

 ワイド端8mmの焦点距離は、魚眼レンズである同社4.5mm F2.8 EX DG Circular Fisheye HSMを除き、今までAPS-C用のデジタル専用レンズにはなかったものだ。どのメーカーも申し合わせたように、最短焦点距離はこれまで10mm止まりである。8mmと10mmをくらべた場合、数字としてはわずかな違いしかない。しかし、得られる画角の違いは思った以上に大きい。35mm判に換算するとより分かりやすく、8mmは12.8mm相当に、10mmは16mm相当の画角となる(いずれもキヤノンマウントの場合)。

 レンズ構成は11群15枚。非球面レンズ3枚、特殊低分散(SLD)ガラス1枚、FLDガラス4枚を含む贅沢な構成で、諸収差の低減が図られている。また、スーパーマルチレイヤーコートが採用され、ゴーストやフレアの対策にも怠りない。最短撮影距離は24cm、最大倍率は1/7.8倍となる。AF駆動は超音波モーターによるもので、AF合焦後シームレスにMF操作のできるフルタイムマニュアル機構も搭載している。絞り羽根枚数は7枚。

 外寸は75×105.7mm。全長に関しては固定式のフード分も含まれている。重量は555gと超広角ズームとしては手応えのある重さだ。フードはテレ側にズーミングすると前玉が鏡筒内に引っ込んでいくので、ズームフードといってよいだろう。フィルターは装着できない。レンズキャップはかぶせ式を採用する。なお、冒頭で述べているとおり、前玉は半球状のため鏡筒より飛出しており、レンズの取り扱いには気を使う必要がありそうだ。

 描写については、コントラストが高くヌケのよいものである。太陽のような強い光源が入ってもフレアはよく抑えられており、ゴーストの発生も最小限。色のにじみも撮影した画像を見る限り際立ったものは皆無である。厳密に計測したわけではないが、被写体がレンズより2、3m以上離れたところにある場合は解像感も超広角ズームとしては不足のないレベルだ。ただし、それよりも近い距離にある被写体の場合、条件によっては低下することがある。また、画面中央部にくらべ周辺部の解像感の違いは正直やはり否めない。もっとも、超広角ズームの場合、画面全域に高い描写を求めるのは光学特性的にも無理があるので、これはこれで納得できるものといえる。

 本レンズは、デジタル専用“超超”広角ズームとして現在のところ唯一無二の存在である。ワイド端8mmの描写を上手く写真に活かすのはたいへん難しいが、極端な遠近感を活かした描写や、より広い範囲を写したいときなど、これ以上のレンズはない。

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EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約11.8MB / 3,456×5,184 / 1/50秒 / F11 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約11.1MB / 3,456×5,184 / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約4.7MB / 3,456×5,184 / 1/125秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約7.2MB / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約8.2MB / 5,184×3,456 / 1/200秒 / F11 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 9mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約7.1MB / 5,184×3,456 / 1/40秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.8MB / 3,456×5,184 / 1/125秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.5MB / 3,456×5,184 / 1/1,000秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 13mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.4MB / 5,184×3,456 / 1/125秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.8MB / 3,456×5,184 / 1/125秒 / F10 / -1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 8mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.1MB / 5,184×3,456 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 13mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約6.6MB / 3,456×5,184 / 1/125秒 / F9 / -1.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.6MB / 3,456×5,184 / 1/160秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 8mmEOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.3MB / 3,456×5,184 / 1/160秒 / F10 / +0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 8mm


EOS 7D / 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM / 約5.1MB / 5,184×3,456 / 1/20秒 / F4.5 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 8mm







大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2010/5/10 16:54