交換レンズ実写ギャラリー
オリンパスM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
(2013/6/27 00:00)
マイクロフォーサーズシステム規格が登場してすでに5年が経とうとしている。当初は対応レンズも少なく、また汎用性の高いズームレンズが先行発売されていたため、レンズとして魅力ある製品というものがあまり無かったのだが、マイクロフォーサーズカメラが普及するに伴い単焦点レンズのラインナップも増え、さらにはより高画質なレンズも登場してきたことで、システムとしての充実度も非常に高くなった。
2012年末にオリンパスから発売された「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」も高画質を謳うレンズの1本だ。これまでにも「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」という同じ焦点距離のレンズをラインナップしてきたオリンパスだが、これは同社のマイクロフォーサーズカメラ第1号機「OLYMPUS PEN E-P1」と同時発売されたサイズ重視のモデルであった印象が強い。新しく発売されたM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8はそれとは異なり、金属製となる外装は高級感があり操作感も触感と共に精度の高さを感じることができる。
レンズの構成は大偏肉両面非球面(DSA)レンズ1枚とHR(高屈折率)レンズ1枚を含む6群9枚。開放絞り値もF1.8と明るい。ハイスピードイメージャAF対応のMSC機構を採用しており、素早さと静粛さを兼ね備えたAFが可能だ。これは動画撮影時に駆動音をムービーに記録させてしまうことを防ぐためにも効果的だ。
描写は開放絞りからとてもクリア。35mm版換算で34mm相当となる広角寄りの焦点距離だが、F1.8という明るい絞り値からくる浅い被写界深度を活かすことで、狙った箇所のみにフォーカスを合わせて前後をぼかすといった表現も可能。またF5.6-F8程度に絞り込むと、画像全域の解像力が高まり被写体に存在感が増す。
とはいえカリカリな描写のレンズではなく、どちらかといえば柔らかな印象の描写となるレンズだ。色収差も良く抑えられており、また逆光撮影時でも滲みは少ない。夜景撮影など強い点光源を画面に入れた状態で撮影するとその周囲にゴーストが発生するが、暗部などの被写体への影響は極めて少ないことからも、レンズ表面に施された「ZEROコーティング」の効果は高いと思われる。
このレンズにはスナップ撮影時にも便利なように、任意のピント位置に瞬時に切り替えることができる「スナップショットフォーカス機構」が搭載されている。レンズ鏡筒のフォーカスリングをカメラ手前に引きスライドさせることで、距離環が現れマニュアルフォーカスへと切り替わる仕組みだ。つまり例えばAFで無限遠にピントが合っている状態から、フォーカスリングをスライドすることで事前に合わせておいた1m先にピント位置を切り替えるといったことも可能だ。これを利用すれば不意に現れた被写体をパンフォーカスに切り替えたこのレンズで撮影するといったこともできる。
このように高い即戦力とハイグレードな“モノ”としての魅力を兼ね備えた本レンズは、写真を撮るという行動の強い原動力にも繋がるだろう。良いレンズを所有するともっと写真が撮りたくなる、そんな所有欲と写欲を同時にくすぐる1本だ。
(モデル:相川紗苗)
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。