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撮影の待機中に使える? 「携帯椅子」3モデルをチェックしてみた
「万博椅子」で今年メジャーに 危険性の指摘も
2025年10月28日 07:00
航空祭などのイベント、日の出・日の入りなどの時間に合わせる風景撮影、長時間での固定撮影が基本のタイムラプスなど、撮影での待ち時間はつきものだ。そんなとき使ってみたくなるのが「携帯椅子」。アウトドア用品店やホームセンターのほか、ネット通販でも簡単に手に入るため、すでに利用している人も多いだろう。
一方で、こうした携帯椅子を利用したことで、転倒したという話も聞く。そこで今回、人気製品や定番モデルなど、形状の異なる3種類を実際に購入し、使用感を確かめてみた。
LOGOS 7075キュービックチェア
まずは、LOGOS(株式会社ロゴスコーポレーション)のキュービックチェアだ。携帯椅子としてはスタンダードな折りたたみ形状で、よく目にする携帯椅子のタイプだろう。
使用上の注意としても書かれているが、後方に荷重をかけて座ると転倒の恐れがある。体重を4点で支える形なので、このバランスを崩すことで不安定になるわけだ。
購入したキュービックチェアは、収納時の高さが約27.5cmで、一般的な500mlペットボトルよりも少し長い程度。重量は約300gと軽量で、アルミ合金(ジュラルミン)製のフレームにより、耐荷重120kgを確保している。
展開時の座面高は21cmと低いため、長時間使用する場合は腰を痛めるかもしれない。小学2年生の娘が座っても、膝が座面より高くなるので、大人が使用する場合は足を伸ばすような座り方になる。
小さければ軽く持ち運びしやすいが、座面は狭く、座面高も低くなるため使い勝手が悪くなる。携帯性と使用感のトレードオフ関係が最も強く出てくるタイプの椅子でもある。
使用時はシンプルで、脚部を開いて展開するだけ。収納時も、脚部を閉じるだけで、操作性は悪くない。カメラバッグのペットボトルホルダーなどに収納できるサイズ感なので、携行性も良いだろう。
元々がキャンプなどを想定した製品だが、撮影の合間や移動の待機列など、すぐ座る・すぐ移動といったシチュエーションで真価を発揮しそうだ。
BIKYO「折り畳み式アウトドアチェア」(MO-002)
次に、Amazonが「ベストセラー」として紹介しているBIKYOというブランドの「折り畳み式アウトドアチェア」(MO-002)を試してみる。
直径25cm・高さ6.5cmの円形状で、座面と底面のくぼみに指を掛け、ひねりながら引っ張ることで展開。また、ひねりながら押し込むと収納できる。
最大座面高は45cmと携帯椅子としては高く、座っていても足が疲れないのが良い。
このタイプの製品は「大阪万博」「万博椅子」「万博大活躍」などのキーワードで紹介されていることが多い。今年、一気に知名度を上げたタイプの製品ジャンルだ。
といっても、購入した10月にはすでに「キャンプ椅子」「キャンプスツール」として紹介されていた。
前述した、転倒しやすいと指摘されている椅子と同じような構造なので、不安に思うのも仕方がないかもしれない。
実際に使ってみた感想だが、平坦な場所では不安定さを感じなかった。「旧製品と違って、新製品は斜面でもご利用いただけます」と説明にあるのだが、正直なところ、斜面で使うのはオススメしない。
あとは、ひねりを加えて展開する際に、複数の小さな留め具がロックされることで安定する構造なので、留め具がひび割れている場合などは注意した方が良さそうだ。
おそらく、複数ある留め具に重さが分散している構造なので、1つでも壊れていれば上手く重さが分散せず、壊れることもあるだろう。
また「底部に滑り止めゴムを使用している」との記載があったが、そんなものは存在しなかった。複数の突起部に、滑り止め効果があるかわからない格子加工が施されているだけだ。
一応、購入した椅子は耐荷重が180kgなので、大型機材を背負った状態でもカタログスペック的に問題はないだろう。
もう1つ不安があるとすれば、備え付けのハンドストラップで束ねておいただけだと、勝手に展開することだ。確実なロックというものがないため、持ち歩く際は付属の袋に入れておいた方がよいだろう。
mimire 軽×楽 ポケットチェア
最後は、mimire(株式会社FirstPeak)の「軽×楽 ポケットチェア」だ。収納ケースと椅子が一体となっており、展開することでケース自体が座面となる。パイプ内にゴムひもが通してあり、ばらばらになることなくパイプが組み立てられる。
ケースへの収納時は、パイプ自体を引っ張ってひねる(クロスさせる)ことで畳むことが可能。収納にコツがいるものの、慣れればすぐに展開・収納が行えるだろう。
耐荷重は100kgとこちらも必要十分。重さも300gと軽く携帯するには悪くない。ただ、座面高は26.5cmなので、長時間座るなら腰や膝への負担を考えたい。娘が座ってちょうど良いサイズだった。
また、製品紹介ではケース(座面)のクッション性を謳っているが、そこまであるようには思えない。長時間座ればお尻は痛くなるし、そもそも腰が痛くなるのでそこまでは座れない。それでもケース一体型の利点として、そのままバッグなどに入れておけるため携帯性は良い。
地面への接地ポイントは2本のパイプなので、デコボコした場所では不安定になる。テーマパークなど、ある程度地面が整ったシーンでの利用が良さそうな気がする。注意書きにも、平坦な床面での使用を指定しているので、使う場所は考えたいところだ。
個人的には、子供を座らせるためのアイテムとしてちょうど良い気がした。仮に急いで撤収しなければならないシーンであっても、すぐに収納でき、持ち運べるので疲れやすい子供と移動する場合に重宝しそうだ。
まとめ
今回購入した3種類の携帯椅子は、全て平坦な場所での利用を前提としている。傾斜のある場所で使うと、前傾姿勢または後方に荷重をかけるような使い方になるので、転倒の恐れがある。いずれにせよ身を任せるアイテムであるだけに、安全な使用を心がけてほしい。
携帯椅子は便利だ。ただ、色々な種類のものが登場して、質や安全性で玉石混交ともいえる状態になっている。一見して、同じような構造だからダメだというのではなく、製品そのものを見極めたい。可能であれば、実店舗などで試してから購入するのも手だろう。


















