エツミ「カラーレンズキャップ」

〜ついに登場した“色付き”キャップの斬新さ

 エツミから11月25日、変わったレンズキャップが発売された。その名も「カラーレンズキャップ」。レンズキャップといえば黒が当たり前のこの世界で、色のついたレンズキャップは珍しい。

パッケージ。上段左から55mm径カラーレンズキャップの赤、白、青

 ちなみにレンズキャップには、レンズの前玉を保護するためのレンズフロントキャップと、後玉とマウント面をカバーするレンズリアキャップが存在する。この製品はレンズフロントキャップだ。

 色は赤、白、青の3タイプ。各色37mm、46mm、49mm、52mm、55mm、58mmから選べる。いまのところ小径の製品に限られており、ケンコー・トキナーやマルミのカラー鏡枠フィルター製品と同様、ミラーレスカメラやデジタル一眼レフカメラのレンズキットでの使用を意識したラインナップといえる。

 カラーは塗装ではなく、成形時に素材から着色したもの。そのため、剥がれて地色が出てくる心配はない。

37mm径カラーレンズキャップの表37mm径カラーレンズキャップの裏

 カメラに取り付けると、予想通りカメラ全体のイメージががらりと変わった。白はともかく、赤や青はとにかくインパクトが強い。一般的なボディだと、何というかトイっぽい遊び心が勝ちすぎて、好みの分かれるところだと思う。あわせるファッションにも配慮が必要だろう。ただし、ペンタックスK-xやK-rのようなカラーカスタマイズが可能なボディなら、しっくりと合うパターンも見つかりそうだ。一番マッチするのは、コレジャナイロボ仕様のペンタックス機だろうか。

装着例。カメラはOLYMPUS PEN Lite E-PL1。レンズは37mm径のM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8

 見た目はともかく、カラーレンズキャップの実用面での効能を考えてみた。まず、色違いのレンズキャップを装着することで、同じようなレンズを見分けやすくなる。マクロレンズは赤、標準ズームレンズは青といった具合だ。できれば、レンズリアキャップも同色で揃えたいだが、いまのところ入手できるのはフロントのみ。同色のフロント&リアキャップセットが発売されると面白いかもしれない。

 また、バッグの中でレンズがどこにあるか見つけやすくなるのも利点だろう。深いバッグやインナーケースに小さなレンズを入れると、レンズを見つけづらくなることがある。

 取り付けつまみは中央付近に配置。少し固いのが気になるが、側面にあるタイプよりつまみやすい。もともとはニコンなど一部のメーカーに限られていた中央つまみ式だが、ここ数年で色んなメーカーが採用しだした。まだ側面つまみのレンズキャップを使っているなら、これを機にカラーレンズキャップに取り替えて使うのも手だろう。もっとも37mm径ぐらいに小さくなると、側面をつまむのも苦にならない。側面には滑り止め用の溝が設けられ、着脱時の安心感は高い。表面は滑りやすいわけではなく、適度にさらりとした手触りだ。

 側面には紛失防止用のひもが取り付けられている。レンズ一体型高倍率ズーム機に付属するレンズキャップでよく見る方式だ。キャップと同色で、さらにただの紐ではなく、ゴムひもを採用しているのが特徴。ある程度伸び縮みすることで、着脱時の自由度が高まる仕組みだ。望遠ズームレンズ用として、もう少し長いゴムひもも欲しいところだが、必要なら自分に付け替えるのも手だろう。

 気になるのは小径フィルターの世界でそれなりのシェアを占める、40.5mm径の製品がないことだ。40.5mm径を採用するレンズは、リコーGXRシリーズや旧オリンパスマイクロフォーサーズで見かける。また、フロントキャップなしで中古レンズを購入した場合、この手の製品を追加で購入するケースは多い。エツミによると40.5mm径の発売の予定はあるとのことなので、今後に期待したい。また、77mm径など、本格的な一眼レフカメラ用レンズに対応した製品も気長に待ちたい。

 もうひとつ注意したいのは、レンズによっては前玉前玉先端とカラーレンズキャップの裏面がぶつかる恐れがあること。構造上、中央部後ろのクリアランスが一般的なレンズキャップよりわずかに少ないためで、魚眼レンズや大口径ズームレンズなどでその可能性があるという。エツミが検証した中では、ソニーE 16mm F2.8で干渉が認められたそうだ。

 実はカラーレンズキャップはエツミが初というわけではない。最近ではNikon 1用のレンズ(1 NIKKOR 10mm F2.8、1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6)の付属キャップも白やピンクなど鏡胴の色に合わせてあり、ひょっとするとひとつの勢力に成長するような気もする。マルミのカラー鏡枠フィルター「マイカラーフィルター」が広い層に受け入れられた実績を考えると、自分らしさをカスタマイズに込めるユーザー層から、カラーレンズフィルターもそのうち支持を得るのかもしれない。





本誌:折本幸治

2011/12/20 00:00