デジカメアイテム丼

世界一の軽さを追求したカーボン製ライトスタンド

ニッシンジャパン「LS-50C」

ストロボメーカーのニッシンジャパンが9月に発売したクリップオンストロボ用ライトスタンド「スーパーライトスタンドLS-50C」が話題となっている。

発売以降品薄が続いており、現在でも入荷してもすぐに売り切れる状態のようだ。今回はこのLS-50Cがどういったものなのか紹介したいと思う。

昨今はニッシンジャパンも含めて、様々なメーカーから低価格で機能が充実したワイヤレスストロボが登場し、オフカメラストロボ(ストロボをカメラから離して使うこと)によるポートレート撮影などが盛んだ。

そのオフカメラストロボ撮影において、ほぼ必ず必要となるのがライトスタンド。これまでもいくつかのメーカーから販売されており、定番と呼ばれるモデルも存在するが、LS-50Cはそれらよりもずっと軽量な点が受けている理由だ。

「世界一軽いライトスタンドを作ろうと開発しました。今までのスタンドは1kg位ありましたが、LS-50Cはほぼ半分です。これほど売れるとは予想外です」と話すのは、ニッシンジャパンの國頭公之さんだ。

ニッシンジャパンの國頭公之さんと目一杯伸ばしたLS-50C

まさにカーボン三脚の脚そのもの!

さてLS-50Cがなぜ軽いのかと言えば、ライトスタンドでは異例のカーボンパイプを使用しているからだ。重量は575gで、実際に持ってみると軽さに驚く。

パイプはカーボンの模様が美しい

こうしたスタンドは屋外のロケやスタジオに持ち込んだりして使うものなので、そこまで持ち運ぶ必要がある。だから少しでも軽い方が喜ばれる。國頭氏によると、ライトスタンドは複数本使用する人も多いとのこと。そうなるとこの軽さは大きな利点になる。

また、これまでのライトスタンドのようにロックのつまみが飛び出していないので、複数本を運ぶ場合でもまとめやすいそうだ。ちなみに縮長は48.5cm。最大に伸ばした高さは2mと人の背丈以上の高さを確保できる。

パイプはまるでカーボン三脚の脚のようだ。5段式で4つのロックナットがある。ロックナット式だと1度に緩めて全てのパイプを一気に引き出せるし、従来品のようなツマミのロックよりも開け閉めが速い。

ちなみに、ロックナットは空転防止機構が入っているので、どのナットからでも開け閉め可能となっている。

不整地にも対応

一方、脚部分にも様々な工夫がある。まず見てわかるとおり、大胆に肉抜きされ、軽量化に一役買っている。

また3つの脚のうち、1本の角度を任意に変えられるため、不整地、傾斜地、階段などでも安定して設置できるようになっている。

ステーと脚の接続位置が変えられるので――

段差があってもこの通り。

最大荷重は1.5kg。搭載できるストロボはクリップオンタイプに限定されるが、アンブレラなどのアクセサリーにも対応する。

LS-50Cの先端のダボは固定式。ストロボやアンブレラなどを取り付けるアダプターは別売となっている。なお、同社ではこのアダプターも軽量なものを開発中とのこと。発売が楽しみである。

ダボの先端は3/8ネジで、そこに装着できる1/4ネジ(一般のカメラネジ)の変換アダプターが付属している。

バウンスや直射で良ければ、ストロボ付属のスタンドをカメラネジで装着してそのまま使用可能だ。

転倒防止の工夫も

軽さが特徴のスタンドだが、軽いということはストロボを載せた際に重心が上に来る。すなわち、風などで倒れやすくなるということだ。

これに対応するため、LS-50Cには3つの転倒防止策が投入されている。

1つ目は「マジックテープ付きグリップホルダー」が付属すること。これはパイプの下部に巻き付けることで、重しとなるパワーパック(外部電源)や適当なウエイトなどが取り付けられるアクセサリーとなっている。

グリップホルダーでパワーパックを取り付けたところ。

バックパックを繋いでウエイトにすることもできる。

2つ目は、ステーの上部にウエイトを引っかけられる丸いフックを設けたこと。例えば、袋に入れたペットボトルの飲料など、現地で調達したものをウエイトにできるので便利だろう。

3つ目は、カメラバッグを脚の上に載せやすいようにステーが短めになっているということ。大きめのバッグでもしっかり置けて安定する。この際、先のグリップホルダーを併用するのも効果的とのことだ。

まとめ

LS-50Cの販売価格は税込1万4,580円。これは同クラスのライトスタンドとしてはやや高め。同社によると、やはりカーボンを使っているからだそうだ。

少々高くとも、こうした革新的な製品が登場したことは、ユーザーにもメリットが大きく、歓迎するところだ。実際、品薄が続いているということが、このアイテムの値打ちを表しているのではないだろうか?

「軽くするために、カーボンで行こうと最初から決めていました。スタンドが軽くなった分、ストロボをさらに買ってもらえたら……」(國頭氏)と本音も聞かれたが、これまで1灯だったところに、2灯、3灯とストロボを追加すれば、また新しい表現もできよう。

すでにオフカメラ撮影をしている人も、これから始めたい人も注目のアイテムといえそうだ。

本誌:武石修