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画期的なフィルター用アクセサリー、マンフロット「XUME」レビュー

さっと外してパチッと装着 フィルターをもっと気軽に取り替えよう

XUME レンズ用マグネットベース
XUME フィルター用フレーム

一瞬、という言葉はこの製品のためにあるといってもいい。

写真を撮るとき、〇〇するの面倒だなぁと感じること、皆さんもひとつやふたつはあるはず。筆者はせっかちでめんどくさがり屋なので撮影で面倒だと感じる事柄は多い方だ。

中でも、レンズフィルターの装着は、シーンに合わせて付け外しが多いことや、ネジがうまく噛み合わなかったり、逆に固く締まりすぎて取れなくなったりと、なにかと手間を感じることの多いアクセサリーのひとつ。しかしフィルターは写真の表現には必要不可欠な存在であり、面倒だからといって使わないわけにはいかない。

そこで今回紹介するのがマンフロットが新たに発売するレンズアクセサリー「XUME(ズーム)」だ。

マンフロットが国内フィルター市場に参入

XUMEの話をする前にレンズフィルターについて少し触れたいと思う。

マンフロットはご存知の通り世界を代表する三脚メーカーだ。三脚はスローシャッターの表現などにおいて必至であり、NDフィルターといったアクセサリーと親和性の高い撮影用品だ。そうしたことから、マンフロットもフィルターを作ればいいのに、と以前から勝手ながら思っていたわけが、ついにマンフロットからレンズフィルターが発売になった

プロテクトフィルター
ESSENTIAL
ADVANCED
PROFESSIONAL
C-PLフィルター
ESSENTIAL
ADVANCED
PROFESSIONAL
NDフィルター
ND
ND64
ND500

実はマンフロットはこれまでも海外ではレンズフィルターを販売しており、今回晴れて日本でも販売を開始したということだそうだ。

プロテクトフィルターとC-PLフィルターが「ESSENTIAL」「ADVANCED」「PROFESSIONAL」とそれぞれ3グレード、NDフィルターがND8、ND64、ND500の3つの濃度が用意され、幅広いシーンに対応できるラインアップとなっている。スローシャッター表現の好きな筆者としてはND64とND500を最初からラインアップに入れてくれたことを高く評価したい。

また、昨今デジタルカメラの飛躍的な進化にあわせて高性能、高画質化が進むフィルター業界だが、マンフロットのフィルターも抜かりない。なんとすべて安心の日本製なのだ。……逆に言うとこれまでは日本製なのに海外でしか手に入らなかったというちょっと不思議な感じもしないでもない。

とはいえ、前置きが長くなってしまったが、そのフィルターの発売開始とあわせて登場したのが今回紹介する「XUME(ズーム)」なのだ。

XUME レンズ用マグネットベース
XUME フィルター用フレーム

フィルター装着が一瞬で!

XUMEという本製品はこれまでに全くないタイプのカメラアクセサリーだ。何をする製品かといえばスバリ「レンズに一瞬でレンズフィルターを取り付けられる」アクセサリーである。前述したがレンズフィルターは付け外しの頻度や、取り付けの面倒さなど、あまり使い勝手の良いものではないという印象だったがXUMEはその問題を解決してくれる。

XUMEは基本的に2製品をセットで使う。まずはレンズ側に「レンズ用マグネットベース」を取り付ける。

次にレンズフィルター側に「フィルター用フレーム」を取り付ける。

これで準備は万端だ。

せっかくなのでXUMEの早業を動画で見ていただきたい。

この早業、ご覧いただけただろうか。

なぜこれほど早いのか。レンズ側に取り付ける「レンズ用マグネットベース」の名前でお分かりかと思うが、XUMEは磁石の力でフィルターを取り付けるアクセサリーなのだ。マグネットベースには強力なマグネットが、フィルター用フレームには金属プレートが仕込まれていて、近づければくっつくという単純な構造。言葉にすればたったこれだけのことだが、とにかく、レンズにフィルターを付けたり外したりするあの煩わしさから開放される極めてスピーディーで快適なアクセサリーである。

通常はプロテクトフィルターを付けておいて、場面に応じてC-PL、NDフィルターなどへかんたんに取り替えられる。きっとフィルターをよく使うユーザーも、これまであまり使ってこなかったユーザーもフィルターを生かした撮影がグッと手軽に楽しめるようになるはずだ。

またXUMEは、フィルターの口径が合っていればもちろん他社フィルターも装着できるので、安心して愛用のフィルターを“XUME化”できる。

フィルター用フレームに他社ソフトフィルターを装着。

取り外しがスピーディーになるのは大いにうれしい。しかしフィルター操作がうまくできなかったり、不意に外れて落下してしまっては元も子もないが、XUMEのマグネットは強力でまったく問題なく使用できた。なおマンフロットによると、カメラやレンズ、メディアなどへのマグネットの影響はないという。

広角レンズは制限あり

XUMEの使用感は極めてスピーディーで心地よい。手放しで褒めたいところだが1点だけ注意が必要だ。

XUMEはレンズ用マグネットベースとフィルター用フレームをセットで使用するため、レンズ先端からフィルターまでの距離が長くなりがちだ。そのため、広角レンズではケラレが発生してしまう。

使用するレンズにもよるので一概にどの焦点距離のレンズでケラれるとはいえないが、今回、XUMEのセットにPLフィルターを装着してテストしたものを紹介する。

AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED

24mmでは四隅がケラれ、26mmまでズームするとケラレはなくなった。

24mm時。XUMEセット+PLフィルター
26mm時。XUMEセット+PLフィルター

AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR

16mmでケラれ、22mmまでズーミングしてケラレが解消された。

16mm時。XUMEセット+PLフィルター
22mm時。XUMEセット+PLフィルター

このように標準ズームレンズでは広角ズームレンズに交換すれば良いが、広角ズームレンズでは最広角ではケラレを防ぎきれない。ぜひ店頭などでお持ちの広角レンズにXUMEを付けてチェックしてほしい。

まとめ:いうなればこれは「速写フィルター」だ!

表現のためには妥協してはならない、といいたいところだが、人間だもの面倒くさいときは面倒くさい。フィルターだって、外した次の瞬間やっぱり必要になってしまった、となったら面倒で付けないかもしれない。

XUMEはそうした煩わしさからフォトグラファーを開放してくれる優れたアクセサリーだ。撮影までの動作は遅いより早いほうが絶対いい。最近は速写ストラップや速写バッグと呼ばれる製品もあるが、XUMEは「速写フィルター」といえるのではないだろうか。

この一瞬の装着感を体験してしまうと、くるくるとフィルターをねじ込む動作には戻りたくないと感じてしまう。ぜひ多くのユーザーにXUMEの快適さを体験してもらえたらうれしい。

今浦友喜

1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。日本各地の自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。