デジカメアイテム丼
待望の“持ち運べる休憩所”が発売される
座れるカメラバッグ「アオスタ フォンタナII ISリュック」
2017年8月9日 07:00
写真撮影は楽しいが疲れる。こだわればこだわるほどに疲れる。機材にこだわればバッグが重くなり、カメラアングルにこだわれば中腰で筋トレ状態。そう、写真撮影はいつだって疲れるものだ。
足腰が疲れたタイミングで休憩所が近くにあればいいがそんな都合のいいことはない……と言いたいところだが、発売されてしまったのだ。「持ち運べる休憩所」が!
単純すぎる斬新さ
ケンコー・トキナーから発売された「アオスタ フォンタナII ISリュック」。それが持ち運べる休憩所の製品名だ。製品名にリュックとある通り、これはリュックタイプのカメラバッグである。背負ってみると機材の重さが両肩へ均等にかかるごくごく一般的なよくできたカメラバッグに思える。
ではどこが持ち運べる休憩所なのか?
なにを隠そう、座れるのだ。座れちゃうのだ、このカメラバッグの上に。
フォンタナII ISリュックはカメラバッグの中に鉄のフレームが入っており、極めて頑丈な作りになっているので簡易イスとして利用できる。
カメラバッグは本来、機材を守るためにありその上に座るなんて言語道断。でもだからといって撮影中に休憩したいがために折りたたみイスを持ち運ぶことなんてのも邪魔でしょうがない。
そこで、「じゃあカメラバッグをめちゃくちゃ頑丈にしてそれに座ればいいじゃない」と考えた開発者、グッジョブである。この単純すぎるがゆえの斬新さ、なかなかできるものじゃない。
耐荷重100kgのしっかりした作り
鉄のフレームが入っていることで耐荷重はなんと100kg。筆者は体重64kgだが、実際に座ってみてもびくともしない感じが実に心強い。
座面になるバッグ上面はクッション材がやや厚くなっていてフィット感も良い。風景に良い光が来るのを待って長時間座っていてもお尻がしびれるようなこともないだろう。
耐荷重100kgのフレームと聞いてどれだけ重いバッグなのかと思えば、重量は2,160g。サイズ感からすればやや重ためだが、鉄のフレームが入っていると考えると軽量にすら感じる。
バッグ上部の持ち手部分は使用していないときにはゴムで内側に引っ張られて収納されている。これによって座面が平らに維持されており座り心地が良い。
バッグ底面は座ることを想定して大きめの硬質ゴム製のパーツが付けられており安心して座れる。これによって、イスとしてではなくとも地面に置いたときのバッグ単体の安定感が高くグラグラすることがないのがいい。
細かな配慮が使いやすい
カメラ収納部は背中側が開くタイプ。収納部が全面開くので収納機材がひと目でわかるのがいい。明るめの赤い内装で機材や小物も見やすい。ただ、この背面開きスタイルにはせっかくならバッグを地面に下ろさずレンズ交換できるようにウエストベルトを付けてほしかった。
容量は10リットルとやや細身の中型。APS-Cの一眼レフカメラ一式やミラーレス機材一式だと少し余裕が残ってベストの収納になるだろう。35mmフルサイズ一眼レフカメラのシステムも入るが、F2.8通しの大三元ズームレンズ3本で収納はギリギリになりそうだ。
間仕切りはレンズ等の転落防止用に1cm程度の折り返しがついていたり、収納スペースの幅を変更できるように細い仕切りも付属していたりと良心的。カメラの収納部分には転落防止用の黒いネオプレーン素材のストッパーが付いているのもうれしいポイント。
フタ部分の裏には13型のノートPCが入る収納スペースを確保。ジッパーがサイドまで開くので開口部が広く小物を入れても探しやすそうだ。
外側には広めの小物収納スペースも。ただしこちらはデザインを優先したのか、ジッパーが中央縦に配置してあり物の出し入れは少しやりにくい。
バッグ横には三脚が取り付けられる。やや細身の中型三脚がちょうどよく収まる。三脚を取り付けた状態では脚部がバッグ下に飛び出るのでイスとして使用できない。
体力を温存して良い写真を撮る
写真撮影は1日の体力の使い方がとても重要だ。朝から撮影をしていて夕方にバテバテでは夕日のいい表情は捉えられない。特に夏場の野外では立っているだけでも体力を奪われてしまう。
そうした状況ではフォンタナII ISリュックが確実に体力温存を手助けしてくれるだろう。長時間歩くユーザーや待ち時間の長い撮影が多いユーザーには最適なバッグだといえる。
イスとしての強靭さゆえにカメラバッグとしてもヨレなどが起きず非常に頑丈な点も、機材保護の観点から高評価だ。なお、イスとして座れるが、バランスを崩せば転倒することもあるだろうし、ましてや脚立代わりにはならないので十分注意して使用してほしい。
最後に、バッグに手ブレ補正機構が付いているわけでもないのにフォンタナII ISリュックという製品名。読者の皆さまもうすうすは感じていたはずだ。そう、「IS=イス」である。ケンコー・トキナーに問い合わせたところ、イスをもじって名付けたものだと公式に回答を得た。こんなゆるさもまた可愛らしく愛着が持てそうだ。