デジカメアイテム丼

あれもこれも必要な人向け 機材をガッツリ運べる大型モデル

マンフロット Manhattan ムーバー50 バックパック

バックパックタイプのカメラバッグは数多くあり、用途ごとに特化したものが多い。ボディをひとつ、レンズ数本を収納でき、すぐにカメラを取り出せるものが定番化しつつあると感じているが、今回、購入したものは、比較的カメラを取り出しやすく、レンズなどの撮影機材を多く持ち運べるマンフロットの「Manhattan ムーバー50 バックパック」(MB MN-BP-MV-50)だ。

直販価格は税込2万563円となっている。軽い撮影用、取材用に続いて、現地に機材を多く持ち込み、ベースキャンプを設営して撮影する際に小便利そうということで選んでみた次第だ。

期待に違わぬビッグサイズ

Manhattan ムーバー50バックパックは、外寸500×320×200mmでギリギリだが、機内持ち込み可能なサイズだ。内寸も外寸と大差なく、490×300×180mmとなっており、重量は約1.58kgとなっている。

比較的大型のバックパックになるが、バストベルトとウェストベルトが用意されているため、重量を体感しにくい。実際に取材時に2万歩ほど歩いてみたが、移動しにくかったり、妙に腰に負担がかかることはなかった。背中のフィット感も条件付きになるが良好なので、とりあえず、荷物を多く運びたいが、なるべくサイズは抑えたいと考えるのであれば、第1にチェックしていいだろう。

バスト、ウェストベルトへのアクセスは容易。ただベルトの収納スペースはないため、毎回、装着しないと何かと邪魔である。

身長約170cmの場合だと、ギリギリで肩から先の可動域を邪魔しない。

人混みではそれなりに気を使う奥行きになる。

三脚固定用バンドは収納ポケット内にある。レインカバーを押し込んでおくことも可能だ。ここでは「VANGUARD ALTA PRO 2+ 263 AB100」をセットしてみた。本体底部にホルダーを利用するとけっこう安定する

たっぷり入って持ち出しも楽

本製品は、カメラバッグが内部で独立しており、アクセスは上部と背面から可能で、またカメラバッグごと取り出すことができる。そのため、移動中に撮影したい場合は、上部からカメラを取り出し、拠点に到着してからはカメラバッグごと取り出して、機材を準備することが可能だ。ただスピーディーにカメラを取り出すことには適していないバックパックであるため、もっぱら運搬用と思っておいたほうがいい。

カメラバッグは2ブロックになっており、上部からのアクセス用と背面からのアクセス用に分かれている。いずれも任意に変更可能な仕切りが用意されており、70-200mm F2.8クラスのレンズの収納にも耐えられるが、長さ140mm付近のレンズを背面用スペースに縦に入れると、背中に当たる感覚を受けやすい。上部スペースをズームレンズ用、背面スペースを主に単焦点レンズ用として考えていくと良さそうだ。またカメラバッグを取り外した状態でもバックパックとして運用できるため、撮影以外の用途にも適している。

上部のファスナーを開くとカメラバッグ上部のスペースに収納した機材にアクセスできる。口は大きく、α7R II+Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 2A OS+GP-X1EM(グリップエクステンション)の取り出しも容易だった。大半のカメラのとり出しには苦労しないだろう。

背面からアクセスした状態。仕切りは自由に変更できるため、小物を補助アイテムを押し込んでおくのもやりやすい。コンパクトデジタルカメラやミラーレスボディの収納スペース確保も容易だ。

赤い部分はフレキシブルな仕様でレンズを包んでおくことで、ボディを入れるスペースを作り出せる。収納に際して気になったのは、高さがそれほどないため、24-70mm F2.8クラスのレンズを縦に入れると背中に当たる感覚があることだ。

カメラバッグを取り出したところ。カメラバッグにも簡易的なカバーがある。

ハンドルもあるため、ちょっとした持ち運びも可能。

構造としては2ブロックであり、上部からアクセス、背面からのアクセスと割り切って機材を入れておくといいだろう。また後述しているが、ポケット類にややクセがあるので、小物ケース用スペースも意識しておくと収納が楽になるだろう。

カメラバッグは本体とマジックテープで簡易的に固定可能だ。

ノートPCやタブレット用スペースも

ノートPCやタブレット用ポケットは十分な厚みに対応しており、15.6型の大型ノートPCとiPad Pro 10.5の収納もOKで、13.3型ノートPCの場合であれば、ACアダプターも合わせて収納可能である。

MacBook Pro Retina 13とiPad Pro 10.5を入れてみたところ。スペースに余裕は十分にある。

十分な厚みを確保しているため、ACアダプターやモバイルバッテリーも一緒に押し込んでおけそうだ。

カタログスペックで見ると、厚みは2cmとあるが、タブレットを収納しない場合は、厚さ3cm付近まで耐えそうであるため、マウスコンピューターのDAIVシリーズのようなゲーミングPC筐体ベースのノートPCにも対応しそうだ。また小型の折りたたみ式レフ板を押し込んでおくことができる点もチェックポイントだろう。

タブレットポケットのちょうど上に保護用と思われるゴム製パーツがあり、これは三脚固定用パーツも兼ねている。

上部ポケット。口は横に大きいが厚みのあるものは入らない。クリップオンストロボ向けディフューザーの収納場所としては◎。

下部ポケット。スペースが微妙に狭く、また衝撃を受けやすい場所でもあるため、使い所がやや難しい。レインカバー用くらいに思っておいたほうがいいかもしれない。

右側面ポケット。500mlのペットボトルが楽に入るため、傘やクリップオンストロボなどもOKだ。

上部カバー内側ポケットは、ストレージカードやクリーニングキットなどを入れておくに適するスペース。

側面のポケット以外は厚みのあるものはあまり得意ではなく、カメラバッグのスペースを利用するなどの工夫が必要になる。これらに1泊分の着替えを入れておこうと考える場合はまず難しく、カメラバッグのスペースに押し込むか、カメラバッグと本体の隙間に薄くして入れておくくらいしかない。このあたりは店頭の展示モデルで、よくチェックしてみてほしい。

付属のレインカバーを取り付けてみたところ。三脚固定用バンド用ポケットの隙間に押し込んでおくと良さそうである。

移動しながらの撮影用ではなく、現場に到着してからの作業性を重視して選んでみたが、あまり不満はない。案件で必要なものをだいたいひとつに押し込める機能性はステキだ。逆に、旅行などの場合は移動するのに骨の折れる大きさで、京都出張がてらの散策中に小型のバックパックを購入するに至ってしまった。といったことからすると、やはり運搬に重点を置きたい人に向くバックパックだ。

林佑樹

ライター・カメラマン。通電しているものはだいたいOKの雑色ライター。カメラマンとしては、ポートレートやドラマのスチル中心だが、メインジャンルは先端科学施設やプラントなどで、一般では入りにくいところばかりを撮影している。コミックマーケット92は、3日目東2T-15bツインテ。