吉村永の「ホントに使える動画グッズを探せ!」

18品目:壁に引っ掛けたり、グリップにしたり…マルチに使えるミニ三脚

PGYTECH「MantisPod Z」

この連載では“スチルカメラ愛好家”に向けて、動画畑出身のカメラマン 吉村永がレンズ交換式デジタルカメラで動画を撮る際に便利なグッズを見つけて紹介していく。時にプロ向けの高価な機材から、馴染みのないメーカーの製品まで積極的に試して紹介できたらと思う。

今回紹介するのはPGYTECHのマルチ機能を持つミニ三脚だ。PGYTECHは中国のアクセサリーメーカーで、特にドローンファンの間ではDJIの専用ケースやアクセサリーを多数リリースしているメーカーとして有名だ。

PGYTECH「MantisPod Z」

役立ち度:★★★★★
コスパ:★★★★★
マニアック度:★★★★

この製品は250gという軽さ、折りたたみ時の全長が205mmというコンパクトさながら、様々な用途に使える5つのモードを備えていることが特徴だ。

いちばんの特徴は、「Mantisモード」。これは、三脚を壁やドアの上辺、車の窓ガラスなどに引っ掛けて使えるモード。1本の脚の内側に引き出し式の小さなアームがあり、これを引き起こすと壁などの上部に引っ掛けられる。高さが欲しい時の撮影や、商品などを真上から俯瞰して撮りたい時などに役に立つ。

屋内で、ドアの上部にMantisモードで設置した例。自動車の窓ガラスを少しだけ開けて取り付けてみるなど、アイディア次第でさまざまな場所に設置できそうだ

通常の三脚としては、いわゆるテーブル三脚のサイズなのだが、1本の脚に沿わせるような形で3つ折りのポールが装備されているので、185mmの低さから最大480mmという高さまで自由に高さを稼げる。テーブル三脚の一番の弱点が高さを稼げないことだから、このフレキシブルさは嬉しい。

折り曲げ収納式のポールは自由なところで固定できるので、高さ調節もかなり楽だ

そして三脚を一番上の写真のように収納したままカメラに取り付ければ、使い易いグリップとして役に立つ。最近は、VLOGをはじめ自撮りしながらレポートしたりするスタイルにはこういったグリップポールを使うのが定番となっているが、この製品なら専用グリップと同等の握り心地で撮影できる。

また、この時に先ほどのアームを伸ばせばいわゆる自撮り棒になる。上からのショットが欲しい時、自分を含めた数人でカメラに映りたい時など、適当な距離にカメラを構えることができるだろう。

カメラの取り付け部はワンタッチのクイックシュー式。カチンと嵌み込むだけ、ネジ締めなど不要でかっちりと固定される。外す時にもボタンを押しながらスライドするだけなので、着脱の手間がかからないのも嬉しい点。さらに、GoPro専用マウントも付属しているのでアクションカメラのお供にもピッタリだ。

ただ、専用の16mm角の小さなクイックシューをカメラに取り付ける時にはマイナスドライバーが必要。コインなどを使って締めることができないのでこの点だけは残念だった。

とにかく軽量なのに使い勝手のいいアイテム。雲台部は自由雲台なので動画撮影時のパン操作などには向かないが、小型カメラ一般のお供として頼もしい製品だ。

吉村永

東京生まれ。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真メインのカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。