吉村永の「ホントに使える動画グッズを探せ!」
12品目:高速転送に対応する汎用性が高いポータブルSSD
SanDisk「エクストリーム ポータブル SSD」
2023年7月25日 07:00
この連載では“スチルカメラ愛好家”に向けて、動画畑出身のカメラマン 吉村永がレンズ交換式デジタルカメラで動画を撮る際に便利なグッズを見つけて紹介していく。時にプロ向けの高価な機材から、馴染みのないメーカーの製品まで積極的に試して紹介できたらと思う。
今回紹介するのは、ポータブルSSD。気軽に使える高速な汎用記録メディアで、SanDiskの製品だ。
役立ち度:★★★★★
コスパ:★★★★★
マニアック度:★★★
小さくて高速、安価なポータブルSSD
動画編集を本格的に行おうとすると、悩まされるのが映像の“データ量の多さ”だ。一方、実際に編集作業をするPCの内蔵ストレージは、今でも1TB以下ぐらいのモデルが多いのではないだろうか?
そこで多くの場合は、外付けのHDDなどを用意することになるだろう。現行PCのほとんどの内蔵ストレージがSSDとなっている現在、映像データを外付けHDDに保存していると、編集作業中にどうも映像がスムーズに再生されなかったり、引っ掛かりを感じる場面が多くなる。
編集時に「プロキシ」と呼ばれる低解像度の編集用データを作り、粗い映像で確認しながら編集を行い、最後の書き出し時に高解像度データに置き換える編集方法もあるのだが、プロキシデータを作ることやデータ管理が煩雑になるのがどうしても面倒だ。
そこでおすすめしたいのが今回のポータブルSSD。2つ折りガラケーをひと回り小さくしたような本体で、付属のUSB Type-CケーブルでPCに接続するだけですぐに使える。
こんな気軽さでありながら、最大読込速度は1,050MB/秒、最大書込速度も1,000MB/秒と高速。先代の同製品より約2倍の速度アップを実現している。容量は500GB/1TB/2TB/4TBとラインアップされているが、値段と映像に必要な容量のバランスから言って2TB程度がおすすめだ。なお、読み書き2,000MB/秒の上位製品「Extreme Pro ポータブルSSD」と、読み書き520MB/秒でタフネス性能を若干落とし、ケーブルを別売りとした廉価版「ポータブルSSD」もラインナップされている。
この製品は小さくて高速、安価であることに加えてタフさも特徴となっている。本体は3m落下の試験をクリアし、IP65の防塵・防滴性能を持っている。本体右上の赤い穴は、ここにカラビナをつけてバッグなどにぶら下げて使って欲しいということ。こんな使い方を提案できるのもタフさに対する自信だと思われるし、5年間の限定保証が付いているところも安心ポイントだ。
もちろん、動画編集に使うだけではない点も見逃せない。例えば、僕の使っているSIGMA fp/fp LやBlackMagic DesignのPocket Cinema Cameraなどは、映像をカメラ本体に挿したカードだけではなく、USB Type-C端子に直接接続したポータブルSSDにも記録できる。
こうすると、SDカードやCFexpressカードなどよりも大容量で安価なだけでなく、記録時に高熱を発する記録メディアがカメラ外部に設置できることにより、発熱による画質劣化や録画ストップの危険性を減らせるところもありがたい。EOS R5のようなSSDの直接記録ができないカメラの場合は外部レコーダーを別途用意し、そちらからポータブルSSDに記録すると同じように便利に使える。
また、旅先でのデータのバックアップにも最適。コンパクトで信頼性が高いので、何日かの旅行でも高価な高速SDカードやCFexpressを何枚も用意することなくデータをバックアップできる。この点では、動画ユーザーだけでなく写真の愛好家にもかなりお勧めできる。