インタビュー

サンディスク エクストリーム ポータブルSSDの存在理由

外付けHDDに変わる新たなバックアップデバイス

サンディスクは、外付けSSDの新製品として「サンディスク エクストリーム510 ポータブルSSD」「サンディスク エクストリーム500 ポータブルSSD」と「サンディスク エクストリーム900 ポータブルSSD」の3製品を発表し、外付けSSD市場に参入した。

すでに海外では販売されているが、特にカメラマンやビデオグラファーの要望を重視した製品となっており、外付けSSD市場の拡大を狙っていく。

米SanDiskのRetail Storage Worldwide部門DirectorのPhilippe Williams氏に、製品の詳細や同社の戦略について話を聞いた。

米SanDiskのRetail Storage Worldwide部門Director、Philippe Williams氏

外付けHDDはニーズを満たしていない

――今回の新製品について教えて下さい。

外付けストレージ市場はHDDが年間5,500万台の規模ですが、外付けSSDは27万6,000台規模です。それでも2014年に比べて136%の伸び率で、2018年には350万台に達するといわれています。この外付けSSD市場に向けた製品です。

外付けHDDは、スピード、耐久性、携帯性の面で、ユーザーニーズを満たしていません。今回の新製品は、プロカメラマン、ビデオグラファーで、常に外で仕事をしていなくてはいけない人に対して、大切なデータを、信頼できる形で保存できる「コンパニオン」として提供するものです。

弊社のプロカメラマンで構成されるエクストリームチームメンバーへの調査では、ざっくり言うと外付けSSDに対してスピード、防塵防滴、信頼性、耐久性、携帯性が必要なものとしてあげられました。その要素をすべて盛り込んだのがこの製品です。

エクストリーム500は、3種類の容量があり、HDDに対して4倍の速度を誇ります。安心してデータを転送できるような仕組みも備えており、Secure Accessによる暗号化機能も提供します。本体も耐久性の高い素材で、周囲をバンパーで覆って、落下の衝撃を逃がして壊れにくく、頑丈なデバイスです。

最もベーシックなエクストリーム500

エクストリーム900は、容量が480GBから1.92TBまでの3種類で、USB Type-C Gen.2採用によって高速な転送速度を実現しています。

PCとのインターフェイスにUSB Type-C Gen.2を採用。高速かつ大容量のエクストリーム900

エクストリーム510は、「目玉」として発表したスター製品で、パフォーマンスとしても、常に外で仕事をしなければならないカメラマンにとっては最高のイメージコンパニオンです。バンパーは、500と見分けが付くようにオレンジ色になっており、同じく頑丈で耐久性が高いボディです。さらにIP55の防塵防滴性能も備えています。

防塵防滴性能を持つエクストリーム510

――このタイミングで外付けSSDをリリースした理由はなんでしょう?

2015年、世界で撮影された写真の枚数は1.1兆枚と言われています。スマートフォンの普及でキレイな写真やビデオが撮られるようになって、日々、多くのコンテンツが生まれる環境になっています。そうして撮られた写真をスピーディに転送できることが求められています。スピードだけでなく信頼性も同様に必要とされており、そうした点から、今このタイミングで外付けSSDを投入しました。

プロカメラマンとの意見交換で、外付けHDDはスピード、耐久性、携帯性も不満足で、そういったニーズに応える必要もありました。

――外付けSSDにはサムスンなどの製品があります。そうした他社製品と比較した優位点は?

競合他社の製品にはコメントできませんが、510はIP55に対応して防塵防滴性能を備えているのがとても素晴らしいと自負しています。900はUSB Type-Cの採用によって高いパフォーマンスも備えており、真のポータブルSSDです。簡単に手にとって、ポケットに入れて、すぐに現場で活用できるので、本当のユーザーニーズに合った製品です。

27年間、SSDの分野でさまざまなソリューションを提供してきました。ポータブルSSD市場はまだ小さいですが、求められているスピードという解をこの製品で提供したいと思っています。

すでにエクストリーム500と900は米国で販売されており、具体的な数字は言えませんが、販売は良好に推移しています。

大切な写真は信頼できるメディアに

――2016年の外付けSSD市場の規模予測と、その中でどの程度の売上を見込んでいますか。

2016年は60万台程度と予測しています。売上に関して具体的な数字は言えませんが、シェアを獲得したいという前に、まずは市場を形成しなければなりません。まだ外付けSSD市場は市場規模が小さく、これを拡大したいと思っています。

 我が社の歴史を振り返ると、常にイメージング市場でリーダーシップを取っているので、この領域でもリーダーになりたいと考えています。

――SSD自体の値下がりも続いていますが、今後の外付けSSD市場の価格トレンドをどう見てますか?

将来の価格は明確な数字をいえる立場にはありませんが、外付けSSD市場では、極力努力をして、なるべく競争力があり、ユーザーの期待に添える価格で提供していきたいと思っています。

――エクストリーム500/510の最大容量は480GBですが、人によっては足りないという声もあると思います。今後の大容量化は?

エクストリーム510は、特にプロのカメラマンに向けて設計したものです。ヒアリングでは、必要な最大容量が480GBという回答でした。将来的にはもっと大容量のものを計画する可能性もありますが、それがいつになるのか、または本当にそういう方向に進むのかどうか、今は何も言えません。

――3D NAND技術の現状について教えて下さい。

2D時代には、我々は常にパイオニアとして、限界を超える努力をしてきました。容量や耐久性、性能といった限界です。同じように、3Dの世界においてもパイオニアになりたいと思っています。

2015年10月に試験を開始し、2016年には3D NAND技術を採用した最初の製品を出荷する計画です。まずは大容量のリムーバブルディスク、クライアントSSD、組み込み型、エンタープライズ向けに提供する予定です。

――新製品について、最後に何かメッセージがありますか。

私は5歳になる双子の息子の父親です。妻が常に写真を撮っていることもあって、すでに3万枚の写真を撮っています。この写真はとても大事なものなので、信頼できるデバイスに保存したいと考えます。それで使うのが、SanDiskのエクストリーム500/510、900です。もちろん私はSanDiskの社員ですが、一般の消費者として安心できることが重要です。

子供たちの写真は、今後も眺めていきたいと思うものです。それは私の宝だからです。そこで、安全なところにデータを保存し、守ってもらいたいと思います。だから、私はIP55対応のエクストリーム510を使います。

最も大事なメッセージは、デバイスが信頼でき、頼ることができる安心感が持てるということが重要だということです。写真という形で残る記憶は、ほかのものに置き換えることができない価値があるのです。

小山安博