吉村永の「ホントに使える動画グッズを探せ!」

6品目:バッグに忍ばせておくと便利…小型な割に40WでパワーがあるLEDライト

ZHIYUN FIVERAY M40

一眼レフ、ミラーレスを問わず、最近のカメラにはもれなくと言っていいほど備わっているのが「動画撮影機能」。写真撮影については一家言あるけれども、動画についてはまだ未知の領域……、という読者も多いはず。
この連載では“スチルカメラ愛好家”に向けて、動画畑出身のカメラマン 吉村永がレンズ交換式デジタルカメラで動画を撮る際に便利なグッズを見つけて紹介していく。時にプロ向けの高価な機材から、馴染みのないメーカーの製品まで積極的に試して紹介できたらと思う。

今回紹介するのは、超小型充電式LED照明「FIVERAY M40」(以下、M40)。小型電動ジンバル製品で有名な中国「ZHIYUN」の製品だ。直販価格は税込1万6,000円。

ZHIYUN FIVERAY M40

役立ち度:★★★★★
コスパ:★★★★★
マニアック度:★★★

メインではないけれど…

この連載の第一回で述べているように、僕は動画撮影用にあまりパネル型のライトが向いているとは考えていない。どうしても照射面の面積が狭く、ダイレクトに光を当てると硬い光になりすぎることが多いと考えるからだ。

だが、今回紹介するM40はハガキよりひとまわり小さいぐらいの超小型パネル照明。これで被写体に対してダイレクトに光をあてるという使い方はあまり考えないが、この手のタイプの照明には今までにない40Wという大光量で、壁などに反射させた光でもかなり有用なのだ。

どれくらい明るいかといえば、カタログ上のスペックは1mの距離で1,050lux(4,300K)。輝度を上げると発光面を肉眼で直視するのは難しいほどだ。従来のこの手の製品に比べ、4~6倍ほどの明るさがある。

使い勝手も至って良好。本体操作部はふたつのダイヤルのみだが、DIMダイヤルを回すとスイッチオン、回していくと光量が変えられる。そしてCCTダイヤルは2,700~6,200Kまで色温度を変えられる。ダイヤルをガードしている黒いバーは引き起こすとスタンドになり、1/4インチネジ穴がふたつ空いているので、三脚やクリップに取り付けてさまざまな設置が可能。320gという軽さなので、三脚やスタンドが少々やわでも大丈夫だろう。

内蔵型バッテリーの充電用にUSB Type-C端子を備えている。PDの15Wファストチャージング対応で満充電まで1時間50分。満充電で最大輝度での連続使用時間は29分だ。

嬉しいのは充電しながらの使用も可能なこと。さすがに40Wの大出力なので最大輝度での充電は消費量に追いつかないのだが、それでも連続1時間37分も使えるのだから心強い。

もちろん、この小さなボディに大光量なので発熱を逃すために、自動可変型のファンが内蔵されている。これが最大回転数に達するとちょっと音が大きめだなと感じるが、数メートルも離れれば気にならない場面が多いだろう。

この1灯をメインライトに使うというような製品ではないが、いつでもカメラバッグに忍ばせておくと何かと役に立つグッズ。背景からちょっとだけ人物を浮き立たせたいときや、反逆光のタッチライトを入れたいとき。それから、室内照明で明るさは足りているが、人物の目の下の影などが気になってしまう時に床に当て、照り返しで人物を美しく映すなど、便利に使えそうだ。

吉村永

東京生まれ。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物写真メインのカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。