OM-D E-M1 Mark IIで写す「0.0555555556秒の奇跡」
スナップショットの面白さは「思いがけない出会い」…東京カメラ部10選・千田智康さんインタビュー
2017年2月27日 08:00
発売以来、好評を持って市場に受け入れられているオリンパスのミラーレスカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」(以下E-M1 Mark II)。同社のフラッグシップモデルとして、様々な最新機能を詰め込んだ高性能モデルです。
この連載は、そんなE-M1 Mark IIを使う若手写真家に、自分の撮影スタイルやE-M1 Mark IIへの思いを語ってもらう企画です。
第3回目の今回は、スタイリッシュなストリートスナップで注目される千田智康さんにお聞きしました。(編集部)
※タイトルの「0.0555555556秒」とは、E-M1 Mark IIの特徴の一つである秒18コマのコマ間速度。E-M1 Mark IIの性能を現すキーワードの一つとして選びました。
現在はどのような写真のお仕事をされていますか。
カメラ雑誌の制作や寄稿、カメラメーカーの作例撮影・トークイベントなどを行なっています。
制作しているカメラ雑誌は書店に並べられているような全国誌ではなく、わたしの出身地「岩手」の写真家が中心になって制作しているもので、ウェブ上で販売しています。わたしはアドバイザーという立場で、意見を求められたりテーマやメンバーを決定したりする際に少しだけコメントしています。
雑誌名はギリシャ語で「光」を意味する「PHOS」で、写真を通じて知り合った全国各地の友人に寄稿していただき、不定期出版しています。
写真を撮るようになったきっかけは?
今のわたしの写真からは信じられないかもしれないですが、野球や競走馬の一挙手一投足、その瞬間瞬間の表情までも鮮明に切り取りたいと思ったことがきっかけです。デジタルカメラマガジンなどのカメラ雑誌やスポーツを撮影する方のブログを見て、絞りやシャッタースピード、露出などの設定を頭に叩き込んでは撮りに出かけていました。
競走馬の場合はG1レース開催のたびに早朝から競馬場に行き、絶好のポジションを確保して、上手く撮れたか撮れなかったかで一喜一憂していました。馬券ではなく(笑)
その後GANREFなどの写真投稿サイトやSNSへの投稿に加え、結婚を機に被写体が身近なものにシフトし、今の被写体・作風につながっています。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
ハービー・山口さんと植田正治さんが大好きで、写真集などで作品を拝見しては胸を熱くしています。
ハービー・山口さんの笑顔あふれる作品からは、自身も笑顔で撮られている様子やお人柄が伺えて素敵ですし、植田正治さんからは前衛的な演出にすごさを感じて笑みがこぼれます。
それから日本最大級の審査制写真投稿サイト「東京カメラ部」の10選メンバーからはいつも刺激を受けており、メンバーの活躍ぶりを目の当たりにしては気を引き締め直しています。
その影響は自分の作品のどんなところに現れていると思いますか?
わたしの写真の特徴は自分と真逆のカッコよさだったり、あたたかさだったりするのだと思います。そういった部分はハービー・山口さんと植田正治さんから少なからず影響を受けているのではないかと思っています。
ご自分の作風について解説をお願いします
日常のワンシーンを時にはカッコよく、時にはおもしろく表現するのがわたしの作風だと思っています。アーティスティックに、そして見た人がそれぞれにストーリーを思い描いて楽しんでもらえることを目指し、作品づくりに励んでいます。
スナップショットの面白さとは?
思いがけないシーンに出会えることだと思います。
わたしの場合、下調べしてイメージを膨らませてから撮影すること(コンセプチャル)と、その場でいいなと思って撮ることが半々。後者はまさに思いがけないシーンだったりするのですが、そんな場所でいい位置にいい具合に人が入ったりするとテンションが上がりますし、スナップショットのおもしろさを改めて実感するんです。
写真投稿サイトやSNS、写真展などでわたしの写真を見てくださった方に「実は偶然なんですよ」ってお話しすると、ビックリされることが多いのですが、それもうれしかったりします。
スナップショットを撮る上で大事なこととは?
常にカメラを携帯すること、既成概念にとらわれないこと、根気よく粘ることかなと思います。
カメラを持っていないと思いがけないシーンに出会っても撮れないですし、既成概念にとらわれてしまいがちだといつも同じ構図や表現になってしまうと思います。ちょっと待てば、イメージどおりの場所に人が入ってくれるかもしれませんし。ちなみに、わたしは結構キョロキョロしながら歩いては待ってシャッターチャンスを狙っています(笑)
E-M1 Mark IIとの相性はいかがですか?
すごくいいと感じました。わたしは都市風景に人をプラスして撮ることが多いのですが、人の動きが予測できる場合は高速連写、予測しづらい場合はプロキャプチャーモードと使い分けて作品撮りをしました。
予測しづらい場合の例としては、大きな壁に開いた小窓のような穴に、通行人を入れて撮るとき。今までなら人を入れることはできてもシャッターボタンを押すのが遅れ、イメージどおりにならないことが多くありました。しかし、プロキャプチャーモードならシャターボタンを押し込む前の半押し状態から記録してくれます。この機能はもっと応用できそうなので、わたしのスナップショットの幅が広がると確信しました。
E-M1 Mark IIで気に入っている点を3つあげてください
ボディー内5軸手ぶれ補正が超強力なこと、バッファメモリに余裕があって再生送りもストレスなくできること、プロキャプチャーモードや高速連写など、スナップショットに便利な機能が充実していることです。
特にボディー内5軸手ぶれ補正については、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせによるすごさを見せつけられました。ただただ驚いています。
今後取り組みたいシリーズやテーマは?
「今後も」になってしまいますが、デザイン性の高い建物や螺旋階段など変わった構造物に人をプラスした写真をもっともっとたくさん撮りたいと思っています。千田智康ならではのカッコいい写真、おもしろい写真、ストーリー性が感じられる写真を増やしていきたいですね。
写真展の開催や写真集の発売など、告知があればぜひ!
東京カメラ部写真展2017 in Hikarie
4月28日(金)〜5月6日(土)
東京・渋谷ヒカリエ9FホールB
http://tokyocameraclub.com/special/exhibition_2017/
グループ展(名称未定)
6月2日(金)〜8日(木)
富士フォトギャラリー銀座
写真雑誌「PHOS」6号
2月28日(火)20時発売
https://photoheart.thebase.in/