OM-D E-M1 Mark IIで写す「0.0555555556秒の奇跡」
高速AF&連写で、インパクトある一瞬を切り取る…宇都宮修さんインタビュー
2017年3月27日 12:00
ミラーレスカメラでは撮影が難しいと言われ続けてきた動く被写体。オリンパスのフラッグシップモデル「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」(以下E-M1 Mark II)は、そうした固定概念を覆す性能が話題になっています。
この連載は、E-M1 Mark IIを使う若手写真家に、撮影スタイルやE-M1 Mark IIの印象を語ってもらうインタビュー企画になります。
今回登場するのは、ブレイクダンスの激しくも美しい一瞬をフラッシュの光の演出と共に写し止める、宇都宮修さんです。(編集部)
※タイトルの「0.0555555556秒」とは、E-M1 Mark IIの特徴の一つである秒18コマのコマ間速度。E-M1 Mark IIの性能を現すキーワードの一つとして選びました。
写真を撮るようになったきっかけは?
もともとグラフィックデザイナーでした。写真に興味を持ちだしたのもその頃です。
当時、地元の知り合いのカメラマンの撮影に同行させていただく機会がありました。大衆演劇の雑誌の仕事で、演劇のステージに白の背景紙をセットし、5灯フラッシュで撮影するというものです。そのときは初めて見る機材の意味がまったく分からず、どういう写真が撮れているのか見当もつきませんでした。
シャッターを切るたびに起きる目のくらむような光に驚き、どんな写真が撮れているのか気になってデジタルカメラのディスプレイを見せてもらうと、肉眼とは違う演者さんの綺麗な姿が写し出されていました。その時から光の魔法に魅せられ、カメラマンとして生きていきたいと思い上京しました。その時の衝撃が今に至ります。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
森山大道さん、金村修さんです。初めてお二人の写真を見たときこれだ!と思いました。圧倒的な存在感、ハードコントラストな写真。私が画として求めるもので、写真でこれらの表現ができるんだと分かった時うれしかったですし、「ここまでやってもいいんだ」と、自分の固定観念を壊してくれた存在でもありました。ただ、当時はどうやったらこうなるのかなど、まったく分かりませんでしたが。
その影響は自分の作品のどんなところに現れていると思いますか?
お二人に近づけるよう思考錯誤した時期を経て、いまは自分が素直にかっこいいと感じるままにやっています。とはいえ、固くコントラストの強いシャープなところが作風として出ていると思います。もちろん、お二人へのリスペクトはいまも変わらず、今も自分の作品に対する考え方の根幹になっている気がします。
被写体としてのブレイクダンスの魅力について。
一瞬の技にかけるダンサーたちの集中力や筋肉の緊張感など、動画ではなく写真でしか見ることのできないものがあります。その一瞬をじっくり鑑賞できる点も写真ならではのものでしょう。
写真により彼らの一挙手一投足から心理状態をもうかがえる。これらを魅力に思っています。
なぜ多灯フラッシュを使っているのですか?
フラッシュが複数あれば、画作りの自由度も高まるからです。
多灯でなければ「現場の空気をどう見せるか」「背景はどうするか」「何を見せたいか印象付けるためには」など、表現するのは難しいと思っています。
E-M1 Mark IIで気に入っている点を3つあげてください。
撮影現場が暗いので、一眼レフカメラで被写体を確認するのは難しいことがあります。しかしライブビューによる撮影だと、肉眼で見るより被写体を明るく映してくれて助かります。被写体の動きが遅れて表示されるなど、タイムラグが気になることもありません。
メカシャッターによる秒間10コマの連写も素晴らしく、コマ間の撮りこぼしはほとんどありません。
ピントの速さと正確なAFも気に入っています。暗い場所でのMFでもピーキングが可能でした。
もう1点追加で、コンパクトで軽い本体と手になじむグリップを評価したいです。こうした点から撮影時の心に余裕ができると、ダンサーとの会話も弾み、撮影もダンスもさらに加速します。
使用したフラッシュ「FL-900R」の使い勝手について。
出力16分の1にして秒10コマで6秒間連写し続けても、途切れることなく安定して発光します。パワフルなフラッシュです。
LEDを導入したことも素晴らしいと思います。暗い撮影場所であってもカメラ側の補助光いらずで、素早いピント合わせが可能です。おおよそのフラッシュ発光時のあたりもつけられるので、セッティングも素早くできました。