Canon EFレンズ 写真家インタビュー

思い描いた写真を実現する、高い基本性能と描写力

スポーツ写真:竹見脩吾 with EF16-35mm F4L IS USM

Jリーグ浦和対福岡の試合。コーナーキックの場面でゴール前に集中する選手を入れて、ボールの軌道を想像させるような広角レンズらしい構図でシャッターを切った。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 31mm / マニュアル露出(F4.5、1/800秒) / ISO 1000

Bリーグ横浜対仙台の試合。コートギリギリにカメラを構えてローアングルで撮影。ダンクを狙ったジャンプの高さをうまく表現できた1枚。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 16mm / マニュアル露出(F4、1/1,250秒) / ISO 8000

ボールだけに合わせて流し撮りをすると、選手たちは縦横それぞれにぶれて動きのある1枚に仕上がる。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 34mm / マニュアル露出(F4、1/20秒) / ISO 160

Bリーグ横浜対仙台の試合。被写体との距離はおよそ30cm。広角レンズでも被写体に近づくことでボケ感が生まれ、臨場感を演出できた1枚。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 16mm / マニュアル露出(F4、1/640秒) / ISO 6400

プロの信頼をがっちりつかんでいるキヤノンのEFレンズ。この連載「Canon EFレンズ 写真家インタビュー」では、EFレンズを使って活躍中のプロ写真家に、その使いこなしや魅力について聞きます。今回は、財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の公認フォトグラファーを務める竹見脩吾さんに、「EF16-35mm F4L IS USM」について聞いてみました。

作品・キャプション:竹見脩吾
聞き手:青木宏行
人物写真:加藤丈博

EF16-35mm F4L IS USM

プレイする側から撮る側に

--写真を始めたきっかけについて教えて下さい。

祖父の代から写真を家業にしており、父は今も写真家です。私自身は、高校卒業までサッカー一筋でした。

大学進学で何を勉強しようかなと考えていたとき、父や祖父の影響もあって写真に興味がありました。サッカーの試合を見ていても一番近くで仕事しているカメラマンの存在は気になっていて、本気で勉強してみようと思って日本大学芸術学部の写真学科に入学しました。それまでは、父の写真を見たり仕事を手伝ったり、子どものころは暗室で遊んでいたりしていたこともあって写真関係の機材や環境には馴染みがあったものの、ほとんど写真やカメラの知識はありませんでしたから。

私の頃はまだ大学でフィルムカメラ使って授業を受けたのですが、最初に使ったカメラは、キヤノンのF-1です。 アルバイトでカメラマンのアシスタントをやっていて、おさがりをいただきました。

竹見脩吾(たけみ・しゅうご)1985年生まれ 東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。大学卒業後カナダ・バンクーバーに渡り現地企業の新聞MINKEI NEWS VANCOUVERにて働く。帰国後はさまざまなジャンルに渡って撮影し活動。雑誌撮影やスポーツ大会のポスターやプログラム撮影も手がける。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の公認フォトグラファー。現在フリーランスとしても活動中。

--スポーツ撮影を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

大学の授業で「高速シャッターと低速シャッター」という課題が1年次にありまして、これがスポーツ撮影にもってこいの課題だと思ったのです。家の近くに駒沢公園がありましたので、アマチュアのサッカーの試合を始め、いろいろなスポーツを撮りに行きました。幅広くスポーツを見ようとチケットを買っては競技場を巡って客席から撮ったりしていました。

スポーツのルールを知らないといい写真が撮れないので、テレビで観たりして覚えていくうちに「サッカー以外のスポーツもおもしろい」と思うようになりました。それがきっかけになりますね。

当時趣味はサッカーや写真くらいしかなく、とにかくその好きなことを仕事にしたかったです。「いつかオリンピックとサッカーのワールドカップを撮りたい!」といつの日か夢を持ちましたね。当時はどうやったらそんな大きな大会を撮れるのかはまったくわかっていませんでしたが、そうなった自分を想像しながら写真を撮りまくっていましたね。

--それがオリンピックの招致プレゼンテーションの写真にご自身の作品が使われたわけですから、学生時代からの夢を実現したわけですよね。

いえ、リオオリンピックからになりますので、正確にいうとまだ「オリンピックを撮影する」ということを実現したわけではないです(笑)。

ただ、招致委員会の仕事をした時点ではオリンピックを撮れるというふうには考えていませんでした。自分に与えられた役割を必死に考え全力でまっとうしていましたね。会場の熱気や興奮、外国人選手からの目線で日本のスポーツを取り巻く環境を撮ったりと、競技とはまた違う視点での撮影だったので、それはそれでとても楽しかったですよ。

若くて英語が話せるという点も評価してもらえたのかなとも。そういう意味では、 大学卒業後に2年間カナダの新聞社で働いた経験が活かされたんじゃないかと思います。写真以外の武器を1つ何か持ちたかったんです。

--海外の撮影でコミュニケーションが取れる意義は大きいのではないですか?

バンクーバーでパラリンピック大会を撮る機会があったのですが、そこで肌で体験したのが、日本とカナダや海外のプレスの違いでした。写真を見ると日本よりも海外の人の写真が目を引く。これは海外のプレスのほうが有能というよりは、彼らは競技場の担当者と直接交渉して撮りたいところから撮らせてもらっていたのです。

もちろんカメラマンポジションが厳格に定められている競技場ではどうしようもありませんが、一見すると撮ってはダメそうなところも交渉次第では入れる可能性がある。でも、それには先方のメディア担当や競技場の管理者と交渉ができないと難しいんです。

スポーツ撮影というのは、センスや技術もさることながら、「いかにほかのカメラマンとは違う視点を確保できるか」ということも重要だ、ということを勉強することができました。実は撮る前からよい写真が撮れるかどうかが決まっているんですよ。

ローポジションで撮ることによって、画面の上側だけに視線を集中させることができる。カメラワーク次第で広角レンズでも大きなボケを生み出すことができる。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 22mm / マニュアル露出(F4、1/800秒) / ISO 2000

良いポジションで撮るためのコミュニケーションも大事

--では実際の撮影についてお聞きしたいのですが、スポーツ撮影のような被写体がすべて「動くもの」の撮影の場合に、カメラやレンズに求める性能というのは、どういったものになるでしょうか?

仕事として撮影しているときはミスできない立場ですから、「被写体を確実に捉える機材」が基準です。

ボディのほうは、とにかくAFが正確で速いことが第一ですね。レンズは明るさと重量になるでしょうか。基本的にボディ2台にレンズ3本を持ち歩きながら撮影していて、一脚に付けたまま上に掲げて撮ることもあるので、明るくても重すぎては使いづらい。重量も無視できない要素です。

--ボディやレンズはどういったものを携行されますか?

いまはEOS-1D X Mark IIとサブがEOS-1D Xという2台体制です。本当はMark IIが2台というのが理想なのですが、まだ2台体制になったばかりで。実は、これまではずっとボディ1台だけだったんですよ。カナダ時代に、大会中に壊れてしまったことがあって、あわててカメラ店に買いにいった思い出があります(笑)。その日は浅田真央さんの試合があったのでさすがに焦りました。

ただ、替えの機材を持っておくことは大事であるとは思いつつ、個人的には2台体制だとちょっと考え方が変わるんですよね。別のレンズをつけた2台のボディがあると、起きたことに対して反応してアクションするような感じになるのです。でも1台しかない場合は、2台の時より先の展開を読んで撮ることに意識を傾けます。そういう意味では、1台のときのほうが自分の画作りができている感はありますね。ギャンブルではありますが(笑)。

レンズはEF400mm F2.8L IS II USMをボディに付けっぱなしにして、もう1台はEF70-200mm F2.8L IS II USM、あるいはEF16-35mm F4L IS USMを付け替えて使うことが多いです。EF17-40mm F4L IS USMやEF11-24mm F4L USMもたまに使います。

理想をいえば単焦点レンズだけで撮れるといいんですけど。焦点距離がいろいろ選べるとどうしても悩んでしまうのですが、選択肢がひとつしかなければ、どこから撮るかとかどう切り取るかを考えるので、いい画が撮れることが多かったですね。

カメラマンは撮る前にどんな画を作りたいかイメージを持っておくことが重要で、私の場合は、当日の会場や競技の内容を見て何を撮りたいかイメージを作ってから機材を選びます。例えばマンガやゲームで現実にはありえないシーンなどを見て、「今日はこれに近づけてみよう」とか妄想してチャレンジしたりもしてますね。

撮れる写真というのは、事前の準備である程度決まるのかなと感じています。ハプニングや決定的瞬間というのは、もちろんその場での偶発的な出来事なので臨機応変に対応しないといけませんが。どういうイメージを持つかによって、ポジション取りや会場のスタッフとのコミュニケーションに影響していきますね。

存在感のある大柄なラグビー選手一人が手前に写るだけで臨場感が生まれて迫力も増す。ボールも良い位置で写り、動きが見える写真となった。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 22mm / マニュアル露出(F5、1/1,600秒) / ISO 1000

画質・AFとも満足 競技によっては寄れる点も○

--EF16-35mm F4L IS USMは、どんな場面で使用しますか? また、このレンズの気に入っているところを教えて下さい。

バスケットボールの撮影で感じたのは、歪曲や周辺光量の落ち方が少ないことですね。明るさが抑えられているぶん軽量で、スポーツ撮影では重宝します。むしろ広角レンズを使うときは、手前や奥をあまりぼかしたくないシーンもあるので、絞り開放でF4というこのレンズでも問題はありません。

ハンドリングがよくて 高い光学性能を持っているということは、撮影者のフットワーク次第でいろいろな場面が撮れるなと思いました。

--AFの性能や正確性についてはいかがでしたか?

AFの迷いが少なくてきっちり食いついてくれるので、ストレスを感じることはありません。合焦スピードも申し分ないですね。私はスローシャッターを多用するので、撮影中は合っているのか合っていないのかわからなくなることもあるのですが、実際ピントを外すことは少なかったです。手前からこちらに向かって走ってくる選手や横並びでゴールする選手もほぼきっちり捉えていますね。

--フルタイムマニュアルフォーカスで、ピントの微調整などをされることはありますか?

置きピンで狙うことはありますが、競技中はほとんどしません。ちなみに、AFフレームの設定は1点AFとゾーンAFの2種類をM-Fn(マニュアルファンクションボタン)に割り当てて切り換えています。こうするとボタンひとつですばやく使いたい設定だけを選択できます。被写体追従特性はCase 2とCase 3を状況に応じて使い分けています。

--最短撮影距離が0.28mと短いレンズですがメリットは感じられますか?

ボクシングの撮影ではかなり寄りたいので助かります。広角レンズは、近づけば近づくほど迫力が増しますので。実際にボクシングでは最短撮影距離の近くまで寄って撮ることもあります。リング際で足のすぐ近くから撮れたりして、臨場感はかなりのものがありますね。それ以外にも、トライアスロンでも水泳で飛び込むときにグッと寄ったりできますので、こういうときは重宝しますね。

スポーツ撮影というと望遠一辺倒と思われがちですが、その一方で広角で広く捉えた写真があるとどちらも活きてきます。「この焦点距離はこの時用」という固定概念に囚われるのではなく、いろんなシチュエーションとの組み合わせを楽しみながら試すのがいい写真につながるのかなと思います。

16-35mmでスポーツを撮ってもいいし、400mmでポートレートを撮っても面白そうじゃないですか。新しい世界が広がって想像が膨らみますよね。

レイアップシュートは垂直ではなく、斜めにジャンプするため、動きに合わせてシャッターを切る必要がある。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 28mm / マニュアル露出(F4、1/20秒) / ISO 160

--防塵防滴性能を有し、フッ素コーティングを前玉に施していますが、メリットは感じられますか?

トライアスロンですとスイムの撮影をしているときに水しぶきがかかったりすることがありますが、気にせず使えるのはいいですね。レンズに水滴が付くことでより肉薄した臨場感のある写真にもなりますし。実際にウィンタースポーツではレンズに雪がかかって雪の結晶がぼんやりと周りに見えたりして、とても印象的な写真になったこともあります。何より環境を気にすることなく撮影に集中できるのはメリットです。

--周囲の光景、人物の肌や髪などの質感の描写はいかがですか?

個人的には「鮮明に映る」という印象です。それが色なのか質感なのかは表しにくいのですが、情報量が豊かでシャープに写るので、目で見ているもの以上に臨場感が出てくる。非常に満足度の高い描写です。

--逆光での描写についてはいかがでしょうか?

光源が直接レンズ内に飛び込んでくるような場面でも、私が使ったかぎりではフレアやゴーストを確認することはありませんでした。非常に逆光に強いレンズだと思いますね。

--IS(手ぶれ補正)搭載ですが、撮影時に使用されますか?

スローシャッターで流し撮りをする際は必ずオンにしています。ファインダー像が安定するので撮りやすいですね。高速シャッターで撮るときはそもそも手ぶれを起こしにくいですし、レンズが動くことを極力少なくしたいのでオフにしています。

--撮影時に主に使用するカメラの設定を教えて下さい。

室内競技ですと、基本的にはマニュアルでAFはAIサーボです。屋外は天気によりますが、マニュアルや状況によっては絞り優先を使うことが多いですね。連写機能は私はかなり多用します。私はそのカメラが持っている機能を最大限に活用したいと考えているので。

とにかく確実に押さえるのが最優先です。「ここだ!」というところでシャッターを切り、一発で決めたほうが強い写真になるのでしょうが、そこで外してしまうとやり直しはききませんし、まだ私はそのレベルまでいってません。使える機能はフルに活用したいです。とはいっても、つねにずっと連写しているわけでもなくて、「ここぞ」というところで使っています。

ちなみに、私は決定的瞬間をファインダー越しでも見てしまうと、かなりがっかりしてしまうんですよ。その時にシャッターを切っていなかった、ということになるので。いまのカメラはレリーズタイムラグはだいぶ短くなりましたが、スポーツの世界では 1/100秒でも遅れたらもう手遅れです。常に次にどんなシーンが訪れそうか予想しながらファインダーをのぞいています。

例えばサッカーだと、コーナーキックの時にゴール前にいる選手の表情や雰囲気で「この選手にボールがくる」と瞬間的に判断できます。ファインダー越しに表情をみて狙いを定めておいて、連写で切り取っていってますね。

いつも「このあとホットな瞬間が訪れる選手は誰か」というところに目を光らせています。これもギャンブルなので当たり外れはありますが(笑)、ほかのカメラマンと横並びで撮っていてもなかなか違いは出せませんので、機材はもちろん場所取りも自分だけのものを出していきたいですね。

--撮影時は、RAW+JPEGでデータを残していますか?

JPEGのみですね。連写速度を落としたくないのがいちばんの理由です。レタッチについてはフィルムや印画紙でできることしかやりません。僕の中でフィルムが基本としてあって、フィルムでできないことはやりたくないんですよ。露出量とコントラストを調整するくらいで、ホワイトバランスは撮影時にカメラの設定をしますが、あとからほぼ手は入れませんね。

--屋内競技での撮影もあるかと思いますが、感度の上限はどこまで設定されますか?

上限はISO12800までとしていますが、使うことはほとんどありません。実際は、 ISO6400を超えそうになるとシャッター速度と画質のトレードオフについて判断します。これ以上感度を上げると画質は落ちるが、それでもシャッター速度を稼いで撮るかどうか、ということですね。ただ、やはりスポーツ撮影では確実に止めて撮ることが優先ですから、最低でも1/200秒以上にはしたい。"止めて撮る"というのであれば、できれば1/800秒や1/1,000秒といったシャッター速度で感度を設定しています。

もちろん、あえてスローシャッターで狙うときはこの限りではありません。

--屋内撮影時の光源の違いなどには、どのように対応されていますか?

EOS-1D X Mark IIからフリッカーレス機能が搭載されて、これを使うようになってからは気にしなくなりました。あれは本当に助かっています。ホワイトバランスに関してはオートを基本として、あとはマニュアルで微調整しています。

Bリーグ横浜対仙台の試合。レイアップシュート直後のワンシーン。アスリートの視線がゴールに向かっていることで、前後の動きを感じさせる1枚。
キヤノン EOS-1D X Mark II / EF16-35mm F4L IS USM / 16mm / マニュアル露出(F4、1/1,250秒) / ISO 8000

シンプルにして伝えたいことを強調 独自のポジションを探す工夫も

--竹見さんの作品は、とても情感が豊かだと感じるものが多いです。

競技場は、選手だけでなく会場の雰囲気や熱気、照明や広告など、とても多くの情報があります。私の場合は、写真を観た人がスッと写真に入りやすくしたいので、撮るときの前提として「何を見せたいか」を優先して、それ以外の情報はできるだけ排除したいなと考えています。

例えば、背景が黒一色になるように抜いたり。そのためには座る位置、レンズの焦点距離、そして被写体のバックに選ぶものをいろいろ考えなければなりません。

そうやって必要最低限の要素は盛り込みながらも、いちばん伝えたいところ以外、余計なものはなるべくそぎ落としていく。そういった撮影でのポジショニングに関しては自信がありますし、撮影前にしっかりと準備します。だからこそスポーツカメラマンはみんな朝早くから会場入りして場所の争奪戦をやるんですよ(笑)。やはり背景まで気にして撮影したかどうかは重要ですね。

--スタジオでライティングして撮影したような美しさがあります。

ありがとうございます。スポーツ撮影は報道写真として多く見る機会はあるのですが、私はどちらかというともっとドラマチックに見て欲しいなと思っています。写真展を開催した時も皆さんが評価して下さったのはそういった作品が多くて、それが私の持ち味なのかな、とようやく気付きました。

--ウェディング写真も撮られているそうですが、スポーツに活かされる部分はありますか?

どちらかというと、決定的瞬間をものにするというスポーツ撮影で培った力がウェディング写真で活かされています。誓いのキスやブーケトスは、その瞬間しかない出来事ですから。逆にウェディング写真での光の読み方などが、スポーツ撮影の現場で活かされることもあります。

--これから、スポーツや動きの多い被写体の撮影をしてみたいという人のために、撮影方法も含め、スポーツ撮影の基本となること、守った方がいいポイントがありましたら教えて下さい。

私は写真を撮るうえで大事にしていることが二つあります。ひとつは記録として残すということ。どこで何をしたかがわかるものは、やはり必要になるかと思います。もうひとつは写真を観た人が想像を膨らませる事ができるような写真を撮る事です。このふたつを捉えることで、人に興味を持ってもらえる写真を残していけるのかなと思います。

記録だけでは見飽きてしまいますし、心象写真みたいなものばかりでも、状況が伝わりにくかったりします。両方を撮れる知識と技術を身につけることが大事なのではないでしょうか。

自動で露出もピントを合わせてくれて、誰でも簡単に写真を撮る事ができる時代です。その中で自分だけの写真を撮りたいときは「何を撮りたいか」という意志を明確にして撮影に臨むことだと思います。撮影に出かけるとあれもこれも撮らなくてはと思ってしまいがちですが、ブレずに一つに絞るといい結果が出ることが私の場合は多いです。

「デジタルカメラマガジン」では、本連載との連動企画「Canon EF LENS 写真家7人のSEVEN SENSES」が掲載れています。竹見さんをはじめ、EFレンズを知り尽くした写真家によるレンズテクニックと作品が収録されていますので、ぜひご一読を!

デジタルカメラマガジン
2016年6月号

青木宏行