私はこれを買いました!

小型化で機動性を高めた超広角ズームレンズ

キヤノン「RF10-20mm F4 L IS STM」(中原一雄)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2023年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

これまでに経験したことのない広がり感

今年新たにお迎えしたレンズで最もお気に入りなのは「RF10-20mm F4 L IS STM」です。RFレンズの広角レンズはRF15-35mm F2.8 L IS USMも所有していますが、最近よく行う建築系の撮影では15mmでもまだ狭いと感じる事もしばしば。RF10-20mm F4 L IS STMが登場したことで撮影がグッと楽になりました。

これまでキヤノンの超広角といえばEF11-24mm F4L USMでしたが、何度か使った事はあるものの、あの超巨大で高価なレンズを常用したいとはどうしても思えず、コンパクトなRF超広角レンズの登場を首を長くして待っていた所でした。EF11-24mm F4L USMに比べて重さは半分以下、サイズも他のF4ズーム並に抑えられているだけでなく、8年前に発売されたEF11-24mm F4L USMよりも安いという、まさに私にとって理想のレンズです。

10mmの超広角は初めてでしたが、15mmとは全く異なる世界感で、これまで撮ることが出来なかったシーンをキッチリ収めることが出来てとても満足しています。

レンズ補正を行わないRAWの状態では盛大に歪曲しており、周辺減光も大きいためソフト的な補正が前提のレンズですが、カメラ内でリアルタイムに補正されたデータは周辺まで満足いく解像感。ミラーレス時代にふさわしい、機動性と画質を共に備えたレンズといえるでしょう。最近やっとAdobe LightroomやPhotoshopにもレンズ補正データが反映されたため活躍の幅が一層広がりそうです。Lレンズでは初めてのSTMにも全く不満はありません。

さて、このレンズのもう一つのお気に入りは、キヤノンの設計者が私と同じ名字の中原誠さんというところです(RF10-20mm F4 L IS STMのインタビュー記事参照)。しかも、同じ名字だけでも珍しいのに、この中原さんは学生時代のアルバイト先の後輩という奇跡(親戚ではありません)。

以前、CP+で偶然会ってからキヤノンでレンズ設計をしている事は知っていたのですが、このお気に入りレンズが中原さんの設計とは全く知らず、私にとっては非常に特別なレンズとなりました。

RF10-20mm F4 L IS STMは広角過ぎて建築など特殊用途向けのイメージを持っている人も多いと思いますが、スナップに使うのも非常に楽しいレンズです。サイズや重量も街で使うのにちょうど良いですし、10mmの圧倒的な広がり感はこれまで経験したことのない世界感を見せてくれるはずです。

足下の水たまりの映り込みを使い、秋の名残と共に撮影。奥の建物はとても遠くに感じられますが、片側二車線の道路を挟んで撮影しているだけです。これだけの広さは普通の超広角レンズではなかなか撮れません
EOS R5/RF10-20mm F4 L IS STM/10mm/絞り優先AE(1/640秒・F5・+0.3EV)/ISO 200

近況報告

北海道移住後、3年目の冬です。今年は空き時間を利用して庭にマイサウナをDIYで建築。約半年かかって先日ようやく完成しました! 私が監修した大型カメラバッグ「Endurance ProFlex」が先日発売になりました。こちらもよろしくお願いします!

中原一雄

1982年北海道生まれ。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。バンタンデザイン研究所フォトグラフィ専攻卒業。広告写真撮影の傍ら写真ワークショップやセミナー講師として活動。写真情報サイトstudio9を主宰。ライフワークは写真をより楽しむための情報を発信すること。2021年より北海道に移住して活動中。