フォトアプリガイド
pick pic camera(Android)
シャッターを押した前後を記録。瞬間を逃さないカメラアプリ
(2013/6/28 00:00)
“撮りたい瞬間”を捉えるには、撮影環境や機材、タイミングなど、さまざまな要素が重要。その中でも一瞬の出来事と限定するならば、シャッター速度がものをいう。また、高速連写に対応していれば、シャッターチャンスは広がる。
今回紹介する「pick pic camera」は、そんな一瞬にこだわったカメラアプリだ。
試用したのはバージョン2.0.18.06100。ダウンロード価格は242円。
最大の特徴は、シャッターを押した“前後”の映像をキャッシュし、写真として保存できる点だ。これは、富士フイルムの「前後撮り連写」やカシオの「パスト連写」といった「撮影支援機能」と同種のもの。数多くのデジタルカメラに搭載されている機能でもある。
高速連写であれば、撮影した(シャッターボタンを押した)タイミング“から”の連写となるが、本機能は、シャッターを押す前と、押した後の映像を残し、そこから写真を生成する。
つまり、シャッターを押すのが一瞬遅れても、きちんとイメージした写真が得られるかもしれないということだ。スマートフォンの基本は手軽なスナップが多いだけに、こうした支援機能は使い勝手がよい。
使い方もシンプルに、アプリを起動して「カメラアイコン」をタップするだけ。端末によってはカメラボタンが内蔵されているが、こちらも反応する。少なくとも、試用時に利用した「Xperia A SO-04E」のカメラボタンでシャッターを切ることができた。
本アプリで重要なのは、設定の「撮影間隔」と「記録範囲」。「撮影間隔」は、その値を1〜6の6段階で設定でき、「1」が子どもやペットといった動きが速い被写体向け、「6」が集合写真や記念写真など、動きが少ない被写体向けとなる。「記録範囲」は、シャッターを切ったタイミングから、前に何枚、合計で何枚キャッシュするかという範囲を指定する機能。記録枚数は最大で15枚。基本的に設定できるのは、シャッター前タイミングで何枚記録するかと、合計記録枚数のみ。
なお、これは仕方のないことだが、端末のカメラ機能によっては、ある程度の制限(最大解像度やストロボ機能の有無など)が生じてしまう。海外のローエンドモデルなど、フラッシュが物理的に搭載されていないといった場合はもちろん利用できないし、「写真サイズ」は最大で「1280×720」までしか対応していない。昨今発売されたモデルのカメラ機能を活かしきることができないのは残念だ。
ユニークだと思うのが、「掛け声」機能。撮影画面の「掛け声」アイコンをタップすることで再生できる「掛け声」だが、初期設定の「チーズ1」のほか、「ネコ」や「ニワトリ」、「イヌ」、「ウマ」といった動物の鳴き声。「鐘」や「ブザー」といった音が選択できる。別途SDカードなどに保存された音声ファイル(Ogg形式)の設定も可能だ。
この掛け声は、例えば犬を撮る際、端末のマイクから鳴き声を再生することで、こちらを向かせるといったように利用する。自らの口で声マネをしてもよいが、こういった遊び心は面白い。ただし、タップする手間もあり、利用価値は未知数といった感じか。
撮影し終えると、画面下部(縦位置)または画面右側(横位置)に、サムネイルが表示される。ここで表示されたサムネイルをタップすると、写真の生成画面へと切り替わる。生成画面では、シャッターを切ったタイミングが基本位置となり、「記録範囲」で設定した範囲に従って、基本位置前と後に数枚のサムネイルが表示される。表示されたサムネイルを回転させ、画面上部に表示された写真部をタップすることで、写真として保存できるようになる。
拡大して表示したい場合は、「設定」-「拡大」とタップすればよい。拡大画面の上部には、現在表示している写真はどの位置の写真なのかを示す数値が表示される。また、画面を左右にフリックすることで写真の切り替えも可能だ。
本アプリは、構造がシンプルなので、操作がわかりやすい。基本的には「カメラアイコン」をタップするだけだし、一度撮影しておけばいつでも写真として保存できる。欲をいえば、全写真保存や撮影間隔の細かな指定などに対応してほしいし、なにより、解像度(写真サイズ)の設定幅を広げてほしい。
また、「カメラアイコン」をタップしたタイミングでの写真保存をオン/オフできるようになるとより使い勝手がよくなると思う。
カメラ機能のよい高性能端末を利用していると、単純な写真としてのデキは劣ってしまうのが現状だ。とはいえ、瞬間を切り取るアプリとしての使い勝手はよいため、今後のバージョンアップを強く期待したいところだ。