写真展告知
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023、出展作家5名が作品を解説
2023年4月15日~5月14日に開催
2022年12月14日 07:00
第11回を数える「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023」が2023年4月15日(土)~2023年5月14日(日)に開かれる。10年の節目となった昨年は前年比36%増となる19万7,691人を集めた。そして新たなスタートとなる2023年には、姉妹イベントとして国際的なミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE」も立ち上げる。
今年の写真祭のテーマは「BORDER=境界線」だ。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻などにより、世界中の人々が否応なく個人、社会、国を隔てるこの存在を意識させられた。国内外からセレクトした作品によって、「BORDER=境界線」を巡る旅に誘う。
それぞれが描く“BORDER=境界線”
フランス大使公邸で開かれたプレスカンファレンスには、出展する作家5名が出席し、自作を解説した。
高木由利子氏は衣服や人体を通して「人間の存在」を見つめてきた。1982年から40年間、世界各地で日常的に民族衣装を着る人々を撮影している。
「服には民族のルーツやアイデンティティが反映されている」と高木さんは言う。
その一方でポール・スミスなどハイブランドのファッションも撮影してきた。本展「PARALLEL WORLD」ではクリスチャン・ディオールをはじめ現代のファッションを捉えたシリーズとともに展示する。
「歴史のある二条城という会場と融合して、どんな空間になるか私も楽しみです」
山内悠氏は自然の中に長期間滞在し、作品を制作してきた。富士山の山小屋で600日間を過ごして撮影した『夜明け』(2010年)、モンゴル全土を5年間旅した『惑星』(2020年)などだ。
「自然 JINEN」は9年間、屋久島に通い撮影したもので、今回、初めて発表する。
約2カ月間、1人で島で過ごし、昼夜を問わず人の手が入っていない森の中を歩き回る。
「1,000年以上の樹齢を持つ木々の中にいることで、何が見えてくるのか。空気の変容を写真を通じて可視化する」
会場では来場者が屋久島の空間を追体験できるような試みを行なう。
松村和彦氏はこれまで社会保障や地域医療などをテーマに取材してきた。「心の糸」は認知症の家族を持つ4組を取材した作品で、「KG+SELECT 2022」に出品。グランプリに選ばれた。
日本の高齢者率は30%近くあり、世界一だ。認知症患者は700万人いると言われている。
「身近な病気であり、多くの人が理解することが大切なので、それを共有したい。認知症の家族とそうでない人たちとのボーダーを越えるにはどうしたらいいかを問いかけたい」
山田学氏はポートフォリオレビューの「ルイナール・ジャパン・アワード 2022」で選ばれた。フランス・シャンパーニュ地方にあるアーティスト・イン・レジデンスのプログラムに招聘され、作品を制作してきた。
「ワインを熟成させる巨大な地下貯蔵庫はかつての石切り場でした。人類の歴史を遡り、地球、宇宙の始まりに想いは広がって行きました」
メインイメージに選んだ作品はカメラを使わずにイメージを定着させたという。
ココ・カピタン氏はロンドンを拠点に活動する。今回展示する「ASPHODEL」は2022年10月から12月まで、KYOTOGRAPHIEのアーティスト・イン・レジデンスで京都に滞在し制作したものだ。
大人と子どもの境界線上にいるティーンエイジャーを被写体に選んだ。学生、祇園の舞妓、僧侶やストリートスナップで捉えた光景で構成する。タイトルはユリ科の一種で、善良な死者が住むアスポデロスの野に咲く不死の花との解釈もある。
関連イベントも
女性にフォーカスしたプログラムでは、世代の違う2人の写真家による対話的なエキシビションを企画。石内都氏と、彼女が選んだ頭山ゆう紀氏が誉田屋源兵衛 竹院の間で展示を行なう。
公募プログラムの「KG+」「KG+SELECT」も開催。「KG+」の募集締切は2023年1月11日23時59分。
「KYOTOPHONIE」はKYOTOGRAPHIEと同時期の週末とゴールデンウイーク期間中に行ない、こちらは春と秋の開催を予定する。主宰するルシール・レイボーズ氏と仲西祐介氏は仕事で音楽業界との関わりがあった。
「さまざまなジャンルのミュージシャンをフィーチャーし、ボーダレスなフェスを創っていく。オンラインでのやり取りが加速する中、ライブならではの震えるような体験を提供したい」と仲西氏は話す。
イベント概要
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023
会場:京都市内各所
開催時期:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
開催時間:会場による
入場料:有料