写真展告知

佐野光子写真展:EXOTICA

幼少期から慣れ親しんだハリウッド映画にはときおり「奇妙な日本人」が登場した。

その多くは出っ歯で、分厚い眼鏡をかけ、異様なほどカメラに固執する滑稽な人物であった。

幼い私はそんな日本人を見て無邪気に笑ったが、成長するにつれ、笑いは戸惑いに変わり、やがて怒りや悲しみを抱くようになった。

そして映画の中は同じように滑稽な中国人や恐ろしい中東のテロリストといったステレオタイプで溢れかえっていることを知った。

この作品では、そのようなステレオタイプ・イメージを通して、他者認識と個人のアイデンティティを巡る問題に光を当てようと試みている。

これら15点の被写体はすべて日本人女性たる私自身である。

しかし、それぞれの画像が記号として表しているのは、いわゆる「アフリカ人男性」であり、いわゆる「アメリカ人女性」である。例えばシルクハットに黒スーツ、長い鼻、長くカールしたもみあげにもじゃもじゃの髭、といった小さな記号を積み重ねることによって、それを纏う生身の私自身のアイデンティティはいとも簡単に消失し、「ユダヤ人男性」という記号へとたちまち越境する。しかし、そこに佇む人物は一体何者なのか?

ステレオタイプ・イメージは、時に自然発生し、時に意図的に捏造されながら瞬く間に増殖し拡散する。

それらはいったん自分の足で歩き始めると、もう誰にもコントロールすることはできない。

しかし、ステレオタイプ・イメージと生身の身体とのせめぎ合いから生まれる不協和音がエキゾチシズムを越えるとき、そこにはリアルな他者の姿が立ち現れるだろう。

写真展情報

会場

Roonee 247 Fine Arts Room
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビルB館4階

開催期間

2019年5月14日(火)~5月26日(日)

開催時間

12時00分~19時00分(最終日は16時00分まで)

休廊

月曜日