写真展告知

荒木経惟:愛のバルコニー

(c)荒木経惟

荒木経惟氏は、自身の新婚旅行を綴った写真集『センチメンタルな旅』(1971年)で「私写真」を提唱し、以後、呼吸をするように写真を撮り続けて、常に斬新な切り口で先鋭的な作品を発表してきました。“生と死”“幸と不幸”を内含すると本人が語る膨大な作品群の描き出す情景は、切なさ、ユーモア、刺激に溢れており、国際的に高い評価を受けています。

本展では、自宅のバルコニーを1982年から2011年まで撮り続けた写真約80点(すべてモノクロ)をご覧いただきます。

荒木氏は、広いバルコニーが気に入って住みはじめた豪徳寺のマンションに、取り壊しにより立ち退きを余儀なくされる2011年まで暮らしました。バルコニーという限られた空間のみを舞台にした本展には、妻・陽子や愛猫・チロと過ごす穏やかな日常が写し出されています。

1990年に最愛の妻である陽子さんを亡くした後は、彼女の遺品、チロ、花、怪獣のフィギュアなどを被写体にして撮影を続けてきました。愛するものたちの死を経験して、時間と共に変化していくバルコニーの様子は、荒木氏の心情をそのまま表しているかのようです。30年間という月日の中で、さまざまな“とき”を刻んできたバルコニーでの愛の記録です。

写真展情報

(c)荒木経惟

会場

JCIIフォトサロン
東京都千代田区一番町25 JCIIビル 地下1階

開催期間

2019年1月7日(月)~2月2日(土)

開催時間

10時00分~17時00分

休廊

1月21日、1月28日

作者プロフィール

1940年、東京都台東区三ノ輪に生まれる。
1963年、千葉大学工学部写真印刷工学科卒業。同年、(株)電通に入社。
1964年、「さっちん」で第1回太陽賞受賞。
1971年、電通に勤めていた青木陽子と結婚、新婚旅行を撮影した写真集『センチメンタルな旅』を限定1,000部で自費出版。
1972年よりフリーランスとなる。以来、妻・陽子との生活や東京の情景、過激なヌード作品などを次々に発表。「天才アラーキー」として広く認知されるようになった。
2008年、オーストリア政府より科学・芸術勲章受章、2011年、第6回安吾賞、2013年、第54回毎日芸術賞特別賞を受賞。
2002年より日本全国の人たちの肖像写真を撮影する「日本人ノ顔」プロジェクトを続けている。主な展覧会に「Tokyo Comedy」(セセッション、ウィーン/1997年)、「センチメンタルな写真、人生。」(東京都現代美術館/1999年)、「NOBUYOSHI ARAKI:Self,Life,Death」(バービカン・アート・ギャラリー、ロンドン/2005年)、「東京人生」(江戸東京博物館/2006年)、「センチメンタルな旅 1971-2017-」(東京都写真美術館/2017年)ほか。
著書は、世界各都市の出版社より多数刊行され、2018年現在、約550冊に及ぶ。