イベントレポート

国内最大級の鳥イベント ジャパンバードフェスティバルが開催

昨年から大幅にパワーアップした展示内容

鳥をテーマにした国内最大級のイベント「ジャパンバードフェスティバル2018」が、11月3日・4日の2日間にわたり、千葉県我孫子市にある手賀沼周辺の関連施設にて開催された。

ジャパンバードフェスティバル(Japan Bird Festival/略称:JBF)は、2001年より年1回のペースで開催されている鳥関連のイベント。今年で18回目の開催となる。

野鳥写真の公募展「全日本鳥フォトコンテスト」(全日本鳥フォトコンテスト in JBF2018)の作品展示、カメラメーカーや観察用品メーカーなどによる出展のほか、NPOや任意団体、学生などによる鳥・自然環境に関する研究・活動発表なども行われており、“鳥をテーマにした国内最大級のイベント”と称するにふさわしい凝縮された鳥イベントとなっている。

また、工作教室、船上バードウォッチング、スタンプラリーなども用意されていた。

今年の第一印象は、フェスティバル感が増大したということ。昨年までは飲食スペースや飲食出展数が限定的でこじんまりしていたが、今年は大幅にパワーアップ。昨年は、一昨年に行った改修工事の恩恵を活かしきれていない印象だったが、今年は見事にそれを拭い去った。

各社のブース前に並んだフィールドスコープや超望遠レンズの列は圧巻で、量販店内とは違った、よりリアルな環境での機材チェックの場にもなっている。

基本となるイベント会場が屋外環境であるため、イベント自体が天候に左右されるものの、点在する会場を巡りながら、手賀沼に飛来する野鳥を観察・撮影するというのも面白い。今回でいえば、1日目が晴天、2日目が曇り時々小雨という天候だったが、それを踏まえて機材のチェックポイントを変えてみるのがよいだろう。

また、機材のアウトレット販売や通常オンラインでしか販売されていないアイテムの展示・販売も行われている。掘り出し物も結構あるようで、2日目の午後1時ぐらいにはスカスカになっているところもあった。気になる人は天候をチェックしつつ、初日を狙うといいだろう。

なお、カメラメーカーによっては、手賀沼周辺を散策しながら撮影するための貸し出し機材を用意しているところもある。事前予約の有無や必要書類(運転免許証など)、記録メディアの有無は公式サイトまたは、メーカーサイトで確認できるので、来年参加する場合は事前にチェックしておこう。

オリンパス株式会社

同社の光学技術を生かした「ZUIKO QUALITY」の双眼鏡「PRO」シリーズとして、11月下旬に発売する予定のダハプリズム式双眼鏡「8x42 PRO」と「10x42 PRO」の2機種を展示していた。

同社の双眼鏡として上位モデルに位置付けられ、最短合焦距離1.5m、防水・防曇構造、反射率99%以上の誘電体多層膜コーティングなど、野鳥・自然観察を快適に行うための技術がふんだんに盛り込まれている。発売直前ということもあり、じっくり見ている人がちらほら見かけられた。

カメラ機材としては、ミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark II」や交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 PRO」などが並んでいたが、これは毎日2回設けられた貸し出し機材と同じ。

また、特別企画「野鳥写真家・菅原貴徳先生によるOM-D E-M1 Mark II体感セミナー」でも利用され、野鳥撮影との親和性を訴求していた。

倍率10倍の10x42 PRO
倍率8倍の8x42 PRO
貸し出し機材
野鳥写真家の菅原貴徳さんによるセミナーも開催していた

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

野鳥撮影に最適な望遠レンズとして、12月下旬発売の「EF600mm F4L IS III USM」ほか、「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」や「EF500mm F4L IS II USM」を手賀沼方面に向け撮影可能状態で展示。

カメラとしては、ミラーレスカメラ「EOS R」のほか、デジタル一眼レフカメラの「EOS 7D Mark II」や「EOS 6D Mark II」を用意していた。

また、先着10名に「EOS R」と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」を貸し出して行われた撮影ツアー「戸塚学さんの撮影教室」などもを実施していた。

会場を回る途中でツアー参加者とすれ違ったが、やや男性が多いものの女性の参加も目立つ。これは会場全体の傾向ともいえ、子連れの家族や男女のペアなど、幅広い層が楽しんでいる印象を受けた。

EF600mm F4L IS III USM
EF500mm F4L IS II USM(手前)
EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×
展示していたカメラ。左からEOS R、EOS 7D Mark II、EOS 6D Mark II。

ソニーマーケティング株式会社

35mm判換算24-600mm相当のレンズを搭載したレンズ一体型デジタルカメラ「RX10 IV」(DSC-RX10M4)のタッチ&トライと貸し出しを実施。

他のカメラとしては「α7R」「α7 III」「α9」の3機種、交換レンズとしては「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」(SEL100400GM)を展示していた。

また、11月2日から12月2日までの期間で開催している「野鳥フォトコン」にあわせて、審査員の山田芳文さんによるセミナー講演なども行われた。

RX10 IV
展示していたカメラとレンズ

株式会社ニコンイメージングジャパン

配布されている小冊子などから、何かと「月」をイメージしやすい望遠端3,000mm相当(光学125倍)のレンズ一体型デジタルカメラ「COOLPIX P1000」が、アクセサリーのドットサイト「DF-M1」を装着した状態で展示されていた。

大きなブレを高精度に補正する「ACTIVEモード」を搭載しているだけでなく、シャッタースピードや絞りを自動制御し、フレーミング枠内に被写体を捉えてOKボタンを押すと一気に望遠側までズーミング(500mm相当)する「野鳥」モードを搭載。人気も相当なもので、じっくりと試用している人が多い印象を受けた。

交換レンズでは、9月14日に発売したばかりの「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」を展示していた。

双眼鏡では、7月13日に発売したMONARCHの最上位モデル「MONARCH HG 8x30」と「MONARCH HG 10x30」を展示している。

なお、昨年に引き続き、天体望遠鏡アイピース「NAV-HW」シリーズの性能を継承し、超広視界が体験できる接眼レンズを搭載した超広視界双眼鏡「WX」シリーズ(WX 7x50 IF)も用意され、こちらも注目を集めていた。

COOLPIX P1000
ズーム時の様子
ダイヤルに用意された「野鳥」モードアイコン
オプションのドットサイト DF-M1
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR
超広視界双眼鏡 WX 7x50 IF
MONARCH HG 8x30

株式会社タムロン

35mm判フルサイズ対応の「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2」(Model A022)、高倍率ズームレンズ「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」(Model B028)、クラス最軽量の超望遠ズームレンズ「100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD」(Model A035)などを展示。

さらには、4月に発売した10万円を切る低価格が魅力の「70-210mm F/4 Di VC USD」(Model A034)や5月24日に発売したフルサイズEマウントレンズ「28-75mm F2.8 Di III RXD」(Model A036)といった新製品も展示されていた。

望遠系のレンズだけで攻めると思いきや、新製品を織り交ぜて展示していたタムロン。タッチ&トライコーナーだけでなく、貸し出し(キヤノン/ニコン)も行っており、約2時間じっくりと各レンズを使った撮影が可能だった。

SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2
18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(左)と70-210mm F/4 Di VC USD(右)
100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD
28-75mm F2.8 Di III RXD
貸し出し用のレンズ

株式会社ケンコー・トキナー

9月14日発売のギャラリースコープ「ギャラリーEYE 4×12」と「ギャラリーEYE 6×16」をはじめ、5月25日発売のコンパクトダハ双眼鏡「ウルトラビュー H 6×21 DH FMC」と「ウルトラビュー H 8×21 DH FMC」のほか、来春発売のモデルとして「OP 8×42 DH」「OP 10×42 DH」「OP 8×32 DH III」「OP 10×32 DH III」の4種を展示していた。

特に来春発売の4製品は、従来の銀やアルミなどの高反射膜コートより高い反射率を有す誘電体多層膜が施され、さらに明るく、より色再現性が高められているのが特徴。

基本的には双眼鏡・単眼鏡の展示が主だが、それ以上にブース内販売にも力をいれており、カメラバッグや小物などが売られていた。

ギャラリーEYE 4×12
ギャラリーEYE 6×16
パープル、レッド、イエローが「ウルトラビュー H 8×21 DH FMC」。ブルー、グリーン、ホワイトが「ウルトラビュー H 6×21 DH FMC」とカラーで分かれている
OP 8×42 DH
OP 10×42 DH
OP 8×32 DH III
OP 10×32 DH III

株式会社サイトロンジャパン

完全新作の双眼鏡を展示。外装となるラバーもなく、テープ跡などが残っている状態の“まさに試作機”だった。今後CP+での発表を目指すという。

また、詳細は不明ながらも「10×50」「12×50」「8×42」「10×42」の4機種も並んでおり、こちらはほぼ製品版といってよい外観だった。

このほか、発売済みのSIGHTRONブランドとCELESTRONブランドの双眼鏡・望遠鏡が並んでおり、販売なども行われていた。

「AKS 8×42」と書かれた試作機
10×50
12×50
8×42
10×42
ダイヤル部には「Waterproof」「fogproof」などの文字が確認できる

株式会社ワイドトレード(Leofoto)

新製品の三脚「urban LX-225CT」と雲台「XB-32」の組み合わせ。Leofotoブランドのクラシックシリーズと同様に、かなり小型で脚が反転(180度開脚)して収納できるため携帯性は高い。

このほかにも、Leofotoブランドの三脚やL型ブラケットなどが並んでおり、販売も行われていた。

ベルボン株式会社

三脚・一脚の販売をメインに展開していたベルボンブース。大型ビデオ雲台を備えた「プロフェッショナル・ジオV840BWセット」や「Super Carmagne 8400 Set」、「MILLER 1833 コンパス15 ソロ 2st CF」などの大型製品も対象となっており、現金特価ながら買いやすい値段設定だったと思う。

その他

飲食出展だけでなく、飲食スペースも大幅に拡張。それでも椅子や机などは常時足りない状態であり、多くの人は芝生の上に腰を下ろして食べていた。晴天時は問題ないが、小雨がぱらつくと厳しい環境になるため、天気の確認はとても重要。

各種団体の出展スペースもにぎわっており、例えば「知床羅臼町観光協会」のブースでは、写真家の戸塚学さんがトークショーを実施。鳥に関するものなら何でもありといえば言い過ぎかもしれないが、啓蒙活動やグッズ販売など多種多様なブースがみられた。

なお、次回の開催日は2019年11月2日・3日の2日間を予定している。

飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。