デジタルカメラマガジン

大和田良さんの新刊「写真を紡ぐキーワード123 ― 写真史から学ぶ撮影表現」を紹介します

「写真を紡ぐキーワード123 ― 写真史から学ぶ撮影表現」A5判256ページ。税別2,315円。

弊社より、大和田良さんの新刊「写真を紡ぐキーワード123 ― 写真史から学ぶ撮影表現」が発売されました。

写真家の大和田良さんが、東京工芸大学で非常勤講師を務める経験をもとに「いずれ捨てられてしまうレジュメを作るよりも、本という形で手元に残り、繰り返し読めるものにしたい」と思い立ったところが企画の原点でした。

「写真史」と「写真表現」の2部構成

本書は大きく2部構成になっています。第1部の「写真史」では"撮影者から見た写真史"として、現代写真に影響を与えた表現や技術に関するテーマをまとめています。

いわゆる写真史の専門書は、それぞれのテーマをフラットに科学的に扱うのが使命。それに対して今回の「写真を紡ぐキーワード123」は大和田さん曰く“文学的”。

「読む人によってはジョセフ・クーデルカやヘルムート・ニュートンが出ていないことが気になるかもしれないけれど、自分なりの物語に落とし込んでいるから読みやすいはず」とのことです。

後半の第2部「写真表現」は、写真家を惹きつける様々なモチーフなどから作品を読み解いています。気になるテーマを見つけたら、そのページで紹介されている写真家や写真集から興味を広げていくと楽しいでしょう。

元々はアルフレッド・スティーグリッツの291ギャラリーにちなんで「291」という数字を考えていたほど、本書で取り上げたいテーマは多かったそうです。最終的な123に絞るまでには苦労があったとか。

テーマが決定するまでは、黒板などに大きく年表を書き出すことを繰り返しながら、なるべく同じ人の名前が何度も出てくるようにして、それぞれのテーマが読み手の中で繋がるように工夫したそうです。

音楽に学んだ「模倣」の有効性

「技術がないことに気付かないのが写真の難しさ」と語る大和田さん。写真以前に音楽を志していた経験から、名作の模倣(コピー演奏)に学ぶことは自然だったといいます。本書内101の「技術習得のための模倣」には、大和田さんがアーヴィング・ペンの作品を小物ひとつまで再現した写真が掲載されています。

写真における"完コピ"(完全再現)のメリットは、それを通じて自分の技術的に足りない部分が見えてくることで、結果的にできることが増え、やがてオリジナリティに繋がると大和田さんは分析しています。

例えば、リチャード・アヴェドン(本書内でも紹介)のポートレート作品を"アヴェドン風"で真似してみると、背景の白が飛ばない、人物のシワがくっきり出ない、ということに気付き、それが技術習得のヒントになるそうです。

芸術としての写真には苦手意識がある方から、カメラは好きだけど何を撮っていいかわからないという方々にとっても、これは様々な写真表現に触れるよいキッカケになるのではないでしょうか。

本書を実際にめくってみると、各ページ内の文章量は決して多くないものの、紹介されている写真集や写真家のことをもっと詳しく知りたくなったり、かなり長く深く楽しめそうです。一気に10テーマも20テーマも読み進めることはできないと思います。読み終えたテーマは目次部分にシールを貼れるようになっていますから、コンプリート目指して頑張りましょう(私も頑張ります)。

読み終えたテーマにシールを貼っていくのは、書籍版だけのお楽しみ。

※本書は2月28日〜3月3日にパシフィコ横浜で開催される「CP+2019」のインプレスブースでも販売します。