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カシオの“新フリースタイルカメラ”でロッククライミングをしたら?

合体・分離式のアウトドアカメラが超広角16mmにワイド化

カシオ計算機は11月19日、同日発表したフリースタイルカメラ「EX-FR100」の発表会を東京・昭島のモリパーク アウトドビレッジで開催した。会場では担当者による製品説明やアクティビティを通しての体験会も行われた。詳細は既報の「カシオ、カメラと液晶モニターが分離する“Outdoor Recorder”『EX-FR100』」を参照されたい。

EX-FR100は2014年9月に発売したEX-FR10の上位モデル。レンズ、撮像素子、画像処理エンジン、液晶モニターなどを一新した。発売は12月11日。店頭予想価格は税込6万円前後。EX-FR10は併売する。

3色を用意する

フリースタイルカメラを「アウトドアレコーダー」と命名

登壇したカシオ計算機 執行役員 QV事業部長の中山仁氏は、「デジカメ市場は急速に縮小しており、その理由はスマートフォンだ。しかし、スマートフォンで“身近なものを撮る”機会は多く、映像への関わりは増えている。新しいものを提供すれば、あたら新しい市場が開けると考えた。1995年のQV-10では、単にフィルムをデジタルに買えたカメラを出すつもりはなく、“ビジュアルコミュニケーション”という新しいコンセプトで作った。今回の新製品も当時を思い出しながら“デジカメを作っているのではなく、新しいコミュニケーションを作る”という想いで開発した」と紹介した。

カシオ計算機 執行役員 QV事業部長の中山仁氏

EX-FR100とEX-FR10は、今回から「アウトドアレコーダー」というコンセプトを掲げ、この名称で訴求していく。今回の発表会場はアウトドア関連ショップなどが集まるモールであり、アウトドア色を強く打ち出していることが感じられた。

EX-FRシリーズを「アウトドアレコーダー」として訴求する

カシオが考える理想のカメラとは、「“撮る”という行為を排除して記録でき、見たいときに見たい映像が出てくるもの」という。その点EX-FR100は、高速連写機能を活用したインターバル撮影で、シャッターを押さなくても自動的に記録できるため、アクティビティに集中できるとする。

前モデルではインターバル撮影のタイミングでカメラが動いていたりするとブレるなどして失敗写真になるが、EX-FR100では撮影タイミングの前後で100枚程度を高速連写し、内蔵した加速度センサーにより失敗していない写真を記録できるようになっている。

また加速度センサーに加えてジャイロセンサーも搭載しており、電子式手ブレ補正の性能向上に役立てている。

高速連写などが可能な新画像処理エンジンを採用。画質向上にも寄与しているという
加速度センサーを使ってピンぼけなどを防ぐ
加速度センサーとジャイロセンサーにより手ブレを補正

撮像素子は新設計の1/2.3型CMOSセンサー。記録画素数は12Mピクセルで、従来機の14Mピクセルより少なくなっているが、画素ピッチが広くなった分のノイズ低減が高画質に寄与しているという。

レンズは、従来の35mm判換算での焦点距離21mm相当から同16mm相当に広角化した。超広角だが隅々まで綺麗な描写ができるという。静止画での違和感を無くすため、魚眼レンズは採用しなかった。

従来同様、合体した形でも使える
液晶モニターは3型約92万ドットになった。表示画質の向上と共にタッチパネルの操作性も高まったという

1日の静止画と動画を織り交ぜて1つの動画にする「ハイライトムービー」は、前機種ではほとんど人物の映像になっていたというが、新たに人物の写っていない風景なども適度に交ぜる仕様にした。こちらの方が動画が淡泊にならないという。

ハイライトムービーもリニューアルした
画像をスマートフォンに自動転送する「EXILIMオートトランスファー」も搭載

充電は、従来通りカメラ部とコントローラー部を別々に行う。

EX-FR10との棲み分けについては、より高性能なカメラとしてEX-FR100を提案するが、サイズの観点からより小型なカメラを求めるユーザーにはEX-FR10を勧めるという。

ポールや防水ハウジング、腕やヘルメットに装着するためのアクセサリーは従来モデルと共通となっている。

アウトドアの達人の評価は?

トークショーではツリーハウスクリエイターの小林崇氏、エッセイストでライダーの小林夕里子氏、アウトドアショップA&Fの牛田浩一氏が登場。EX-FR10のユーザーでもある3名は、EX-FR100も先行して使用しており、カメラの感想などを話した。

トークショーではアウトドアの達人3名が登場

小林崇氏「EX-FR10はツリーハウスでの撮影に使っている。落としても大丈夫なのが良い。EX-FR100は軽井沢でこれから作るツリーハウスのための木の撮影に使ったが、思った以上に良く写って驚いた。カシオにはさらに耐衝撃性を高めたモデルを期待したい」

小林夕里子氏「体のどこにでも付けられるウェアラブルな所が良い。左腕に付けると、ツーリング中に自分の他に前の人や後の人も写せる。EX-FR100は振動が大きめの単気筒バイクでもほとんどブレが気にならなかった」

牛田浩一氏「EX-FR10を持って、釣り、スノーボード、トレッキングなどいろいろな所に行った。どれも水の危険があるところだが、防水なのが役に立った。EX-FR10では小さな魚が釣れたシーンでは映っているか見にくかったが、EX-FR100は液晶モニターが大きくなったので、小さな魚もしっかり見えるので助かる。すでによくできたカメラだが、願わくば日本のメーカーらしいギミックにもチャレンジしてもらいたい」

――と、アウトドアの達人である各氏も気に入ったようだった。

小林夕里子氏が脚にカメラ部を付けて撮影した動画。「車輪が写り込むと臨場感が出ます」(小林夕里子氏)
会場には牛田浩一氏のキャンピングカーも

また会場にはけん玉プレーヤーのKenDaman氏も登場。パフォーマンスを実演するとともに、EX-FR100で撮影した動画も披露した。

動画は新たに対応したハイスピード撮影によるスローモーション映像で、けん玉の素早い動きがゆっくりと再生され新鮮な動画になっていた。「プレーヤーは皆動画を撮るが、このようにスローモーションで撮れると映像の表現が広がる」と評した。

発表会の後半は、会場の様々なアクティビティ施設で参加者が思い思いに楽しんだ。

高さ16mの壁を登るクライミング
ハーネスにEX-FR100を装着した
地上にいる人が持つコントローラー部に写し出された最上部からの映像。レンズが広角化したことでより広い範囲が映り、ダイナミックな写真になっている
こちらはスラックラインという綱渡りのようなアクティビティ
テープを留めるスタンドの上にカメラ部を置いて撮影。16mm相当のレンズにより周囲の様子も広く写せる
カヌーに装着するといった提案も
発表会の最後はRickie-Gのライブで締めくくった

(本誌:武石修)