富士フイルム、「“PHOTO IS”10,000人の写真展2011」の内覧会を実施

〜22日から全国29会場で順次開催

 富士フイルムは21日、「“PHOTO IS”10,000人の写真展2011」の内覧会を東京ミッドタウン内のフジフイルムスクエアで実施した。22日にスタートし、全国29会場の皮切りとなる東京会場の展示に先駆けたもの。各展示会場の詳細はWebサイトを参照されたい。

 なお、本稿の会場写真は21日の内覧会用レイアウトのもので、会期中とは一部が異なるという。会期中はフジフイルムスクエア1F・2F(第1会場)、ガレリアB1Fアトリウム(第2会場)を利用して開催する。

「一段と思いのこもった作品が集まった」

 富士フイルム執行役員イメージング事業部長の関口伸永氏は、今回の写真展について概要を説明。“PHOTO IS”10,000人の写真展2011は、2006年から数えて6回目の開催。今回は1〜93歳からの応募があり、点数は過去最多の1万7,051点。写真展としての規模は「日本最大だと思う」と話した。応募作品すべてを展示する点も特徴としていた。

富士フイルム執行役員イメージング事業部長の関口伸永氏来場者も年々増えている

 同社は東日本大震災の被災者に向け、写真文化普及・発展への取り組みによる“社会的使命”として「写真救済プロジェクト」を実施。被災地では自衛隊などが写真を集中的に集めているといい、その救済について現地のボランティアや自治体と連携し、技術指導を行なっているという。

 しかし被災地では1カ月ほど前から現地での人員確保が難しく、気温も高くなってきたことから写真の劣化も進み、「時間がない」状態という。これまでは技術指導のみを行なっていた同社だが、状況を鑑み、集めた写真を関東の同社施設に送り、救済の作業を行なっているとのことだ。こうした同社の取り組みには各所からよい反応があり、社員も誇りに思っているという。

会場には特別展示として「写真救済プロジェクト」の紹介コーナーを用意。活動の記録や、活動者の紹介、メッセージ展示などを行なう20日に発表した画像保管サービス「マイフォトボックス プレミアムサービス」も写真を残すための取り組み

 関口氏は「応募作品には毎年感心させられるが、震災などがあった今年、一段と思いのこもった素晴らしい作品が集まったと思っている」と話し、「写真の魅力や力をそれぞれの視点で感じてもらえればと思う」と締めくくった。

仙台会場への展示希望が増加

 続いて登壇した富士フイルム宣伝部長の井上京一氏は、同写真展の概要や特徴について述べた。

富士フイルム宣伝部長の井上京一氏

 「“PHOTO IS”10,000人の写真展」は、特定のテーマを持たず、誰でも参加できる点が特徴。また、展示会場を選べるのも特徴で、見せたい相手がいる会場での展示も可能としている。作品の応募は伸ばした写真にタイトルとメッセージを添えて行なう。タイトルやメッセージが付くことで、より写真を理解しやすいメリットになるという。

 井上氏は「震災の影響で応募点数が減るかと思ったが、昨年を1,000枚以上も上回る枚数となった。こういう時期だからこそ、写真の力や価値をアピールしていきたいと思った方々が多いのでは」と語る。

写真の応募フォーム昨年を上回る1万7,051枚が集まった

 2011年の傾向として、応募者の年代層は30代がトップで、女性においては30代以下が構成比40%となり、比較的若い写真好きの層が出展している点を強調していた。また、60歳以上の出展も着実に増えているという。

 会場別では、東日本大震災の影響もあり、仙台会場(仙台駅)への展示希望が前年比156%になったという。静岡のとあるカメラ店では「富士山の写真でエールを送ろう」といった取り組みもあったそうで、仙台会場では東北エリア外からの展示希望が昨年の約3倍になっているとのことだった。

展示会場の様子

 ほかにも新規会場として要望の多かった横浜を追加したほか、東京会場では展示作品のスポットライトをLED電球とし、昨年比40%の消費電力削減を図ったという。会場には同社のCMキャラクターである佐々木希さん、堀北真希さん、松田聖子さん、本木雅弘さんらも出展する。

メイン7会場(左)とサテライト22会場(右)で開催。2010年より3会場増えた
スポットライトにLEDを採用。昨年に比べ40%の消費電力を削減したという同社CMキャラクターの面々による出展も

 加えて、来場者が“心に響いた”と感じる作品に対し、携帯電話やスマートフォンからコメント・投票できるシステムを用意。上位が会場ごとに「心に響いた作品2011」に選出される参加型の企画で、投票結果は2時間ごとに展示会場のモニターへ表示するという。

 さらに選出された上位作品は、会場ごとに展示終了の1〜2週間後から同社Webサイトでも紹介するほか、応募者にフォトブックの無料クーポン券などを進呈するという。また、投票者には同社デジタルカメラを抽選で贈る。

展示作品の通し番号とメッセージを入力してメールで送信する(左)と、会場内のモニターにリアルタイムで表示される(右)

 また、石巻市の中学生によるフォトメッセージ「『前を向いて歩こう』〜被災地の中学生からのフォトメッセージ〜」や、日本写真家協会の児童学習プログラム参加した生徒の作品を展示する「“PHOTO IS”小学生の眼」も実施する。

 これら2つの企画にはレンズ付きフィルム「写ルンです」を使用。充電いらずのため、被災地で使えるカメラとして活躍もしているという。写ルンですは1986年に発売し、今年で誕生25年を迎えた。ワールドワイドでの生産本数は17億本にのぼるという。

「前を向いて歩こう」〜被災地の中学生からのフォトメッセージ〜日本写真家協会の写真授業における作品を展示する「“PHOTO IS”小学生の眼」
「前を向いて歩こう」、「“PHOTO IS”小学生の眼」ではレンズ付きフィルム「写ルンです」を使用。歴代の写ルンですの姿があった

 「家族の絆展 by PGC」は、同展2回目からの併催。写真館の若手フォトグラファーによるグループPGCの企画で、東京ミッドタウン地下のガレリアに設置する特設スタジオで、プロカメラマンが「家族の写真」を撮影するという趣旨。昨年より撮影ブースを増やしたという。

「家族の絆展 by PGC」は、写真館の若手フォトグラファーのグループPGCによる企画。特設スタジオでプロカメラマンが「家族の写真」を撮影する

 ほかにも、宮城県西多賀支援学校の生徒が撮影した写真を展示する「写真で元気に! 写真セラピー」、著名人などが写真の力を感じたエピソードと思い出の品などを展示する「写真のちから」といった企画展示も行なう。

 会場では来場者が持参したデータを用いてフォトブック作成を体験できるサービスを行なう。作成できるのは単行本サイズの「フォトブックプレス」(店頭価格1,300〜1,500円前後)で、作成から約30分(混雑状況による)ほどで受け取ることができるという。会場にはさまざまなタイプのフォトブックの完成品も展示していた。

フォトブックの体験コーナーとサンプル展示実際に作成したフォトブック。会場をひと回りする頃には出来上がっていた

 子育て中の母親向けに、楽しんでアルバムを作ってもらうという催し「アルバムカフェ」も実施。写真を撮ってもアルバムを作りきれていない実態があるとし、楽しく作れる場を提供する趣旨だという。会場では「チェキ」で撮影した写真をマスキングテープでデコレーションしたり、台紙に貼るなどの体験ができるという。

 そのほか、新製品のタッチアンドトライコーナーにコンパクトデジタルカメラ「FinePix X100」や3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W3」などを用意。普段店頭で見る機会のない、ネット限定商品も展示するという。



(本誌:鈴木誠)

2011/7/22 00:00