リコー開催の「GR PARTY」に、ニコン後藤哲朗氏がサプライズ登場
リコーは9日、コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL」シリーズの発売5周年記念イベント「GR PARTY」を東京・表参道ヒルズで開催した。雨天ながらGRファン約2,000名が来場。ニコンフェローの後藤哲朗氏も会場に駆けつけるなど、大変な盛り上がりを見せた。
会場ではリコーや関連企業がGR DIGITALの特別モデルやアクセサリー新製品の展示を行なったほか、写真家による作品講評やGRクイズ大会など盛りだくさんの催しを実施。会場の表参道ヒルズ前には11時前から開場を待つ来場者の姿が見られ、イベント開始時には用意した座席スペースがすべて埋まり、立ち見客が出るほどだった。会場は常に熱気に包まれ、多くのGRファンがイベント終了の18時まで参加していたようだ。
会場入口 | 事前登録者には記念品としてGR DIGITAL IIIをデザインした80円切手を進呈 |
■雨模様は「みんなの嬉し涙」
オープニングセレモニーでは、パーソナルメディアカンパニー プレジデントの湯浅一弘氏が登壇。あいにくの雨模様を“みんなの嬉し涙”と表現し、出展各社やイベントの催しの紹介を交えつつ、GR DIGITALの誕生日を祝ってほしいと述べた。
会場内ステージ前の様子 | パーソナルメディアカンパニー プレジデントの湯浅一弘氏 |
会場ではGR DIGITALの5周年を記念したオリジナルデザインの終了画面を含むファームウェアを無償配布。GR DIGITAL III、GR DIGITAL II、GR DIGITALに対応し、GR DIGITAL III用では8日に公開した機能拡張ファームウェアVer.2.20の更新が併せて適用された。
書き換え後は通常の終了画面に戻せない旨に同意すると、スタッフが専用のSDメモリーカードでファームウェアを更新する。書き換えた終了画面は、今後のファームウェア更新でも消えることはないそうだ。なお、5周年記念の終了画面は会場限定の配布という。
ファームウェア配布はスタッフが対応 | 終了画面書き換え用のSDメモリーカードを用いる |
書き換えが完了したGR DIGITAL III |
併せて限定販売のグッズも紹介。GR DIGITAL III用のリング(2,000円)は、リングに5周年を表す5つ星が入ったオリジナルデザインで、1,000個限定発売。そのほかにも限定カラーのソフトケースなどを用意していた。
5周年記念リングを紹介 | ゴールドカラーに5つの星をデザインした |
また、会場には社内でデザインコンペを行なったというGR DIGITALのスペシャルモデルを展示。湯浅氏は「『発売して』と言われると困る」と話し、会場の笑いを誘った。
左から「クリスタルデコレーションGR」、「Suzuri_bako」、「GROSS WHITE GR」 |
左から「Primitive Black」、「5年分の写真GR」、「素材のままのGR」 |
ほかにもアップルのiOS端末用スライドショーアプリ「GR WORLD」の体験コーナーを設置。iPadを2台用意し自由に試せるほか、その場でアプリをダウンロードした来場者にはりんご(アップル)ジュースを進呈していた。
iOSアプリ「GR WORLD」の体験コーナー | 用意されたiPadで操作を試せた |
また、同社のデジタルカメラ繋がりでコンパクトデジタルカメラ「CX4」のテレビCMを先行上映。俳優の向井理さんが出演する。音楽は斉藤和義さん。湯浅氏は「カメラのテレビCMは(カメラ事業を)10年担当していて初」だという。
CX4のテレビCMを先行上映 |
GR PARTYにはアクセサリー類などを製造販売する企業が出展。日頃はWebショップのみで販売している製品を実際に見ることができるとあってか、常に多くの来場者で賑わっていた。
アクセサリー用品販売コーナーの様子 |
H・L・C club | 本革グリップや交換リングのほか、マグネシウムボディを磨き、グリップ部にカーボンを貼った特別モデルを展示 |
カメラ.ヒラノ | CXシリーズ、GXシリーズなど、GRに限らずリコー製デジタルカメラ用のケースを展示していた |
東京観光写真倶楽部 | 2点吊り対応のカメラストラップなどを販売 |
中島麻美とガムテープパーティ | すべてガムテープで作られたカメラ型ポーチなどを販売 |
ハクバ | GR DIGITAL IIIを収納可能なペリカンのケース |
ユリシーズ | ステッチや素材の変更を行なったGR DIGITAL III用ケースの新型(下)を参考出品。予約を受け付けていた |
商品展示のみを行なうコーナーにも各社が出展。一同に集まった関連アクセサリーを手に取ることができるコーナーは、来場者の関心を集めていた。
Aki-Asahi Custom Camera Coveringsのコーナー | アルティザン&アーティスト |
児島商店 | 京都丑や |
バンナイズ | ファブリックライフ(suono) |
リコーもRING CUBEで販売しているグッズを用意 | GR DIGITALピンバッジの新色「ホワイト」「ピンク」もあった |
会場販売の5周年記念リングを装着したGR DIGITAL IIIを手にした来場者も多数 | 衣類のコラボ製品も展示 |
■スペシャルゲストのJAY'EDさんが登場
湯浅氏は、引き続きMTV Japanとのコラボレーション企画「MTV & GR」を紹介。「アーティストが写真という表現フォームで切り取る音の世界」をキーワードに、アーティストが自らGR DIGITALで撮影した写真作品と楽曲をマッチングしたイメージ映像を制作し放映する企画で、GR PARTY開催翌日の10月10日から開始している。湯浅氏はアーティストの写真作品を見た印象を「(ミュージシャンは)写真が上手。さすがGRを選んでいる」と話し、「音楽と写真を楽しむことは近いのではないか」とした。
MTV & GRを紹介する湯浅氏 | エム・ティー・ヴィー・ジャパンの代表取締役 沼倉重夫氏(左)とコンテンツ&クリエイティブ本部長 アレン・スワーツ氏(右) |
湯浅氏に引き続き、エム・ティー・ヴィー・ジャパンの代表取締役 沼倉重夫氏と、コンテンツ&クリエイティブ本部長 アレン・スワーツ氏が登壇。「写真で音楽を表現する」をコンセプトに、MTVらしく斬新で洗練された内容にしたいという。イメージ映像では、ミュージシャンが「楽器をGRに持ち替えたら」をキーワードに、GRに切り取られた音楽の世界を表現。素晴らしい映像コンテンツが実現した、と話していた。
テーマは「音写人」(otographer) | 会場に設置したコラボブース |
会場では「SPECIAL OTHERS」、「TEE」、「さかいゆう」、「Mummy-D」(RHYMESTER)の4者のイメージ映像を先行上映 |
引き続き11月は、女性アーティスト特集として「阿部真央」、「moumoon」、「Crystal Kay」、「PUFFY」の4者によるイメージ映像を放映するという |
会場には特別ゲストとしてR&BシンガーのJAY'EDさんが登場。自身の登場するイメージ映像を上映した。JAY'EDさんはGR DIGITALを使った感想として「今まで使っていたカメラより何倍もきれいに撮れる。使いやすく、より良い被写体を撮りたいと思った」と述べ、自身がコンセプトとし、アルバムタイトルにも用いている「Musication」(MusicとCommunicationを足した造語)にマッチすると話した。
R&BシンガーのJAY'EDさん | プレス以外の来場者も自由に撮影可能とアナウンスした |
JAY'EDさんのイメージ映像も上映 |
■28mmのレンズは「外にある世界を受け取る感じ」
「GR BLOGトラックバック企画」の審査発表では、写真家 菅原一剛氏と編集者の福島晃氏が講評を行なった。GR DIGITALの5周年を記念し、5年分の写真を再度応募する趣旨。各作品をスクリーンに写しながらコメントした。来場していた作者をステージに呼び込み、直接撮影秘話を聞くシーンもあった。
菅原一剛氏(右)と福島晃氏(左)。使用機種や装着ユニットも踏まえてコメントした | ライター選定作品には「ユニクロコラボTシャツ」、「GRロゴ入りオリジナルビーチサンダル」、「GRロゴ入り本革ストラップ」の3点を進呈 |
ゲスト審査員の菅原氏が選定した作品には、著書の「写真がもっと好きになる。」(サイン入り)と、PORTER×B印YOSHIDAと菅原氏のトリプルネームカメラバッグ「PHOTOTE」(フォトート)を進呈。フォトートは12インチのレコードが入る点も気に入っているという菅原氏。イベント当日も持参していたそうだ。
菅原氏は、銀塩カメラ「GR1」(1996年発売)からGRシリーズを愛用。開設9年目というブログ「菅原一剛の今日の空」を例に挙げ、歴代GRシリーズが主に採用する28mmのレンズは空気や雰囲気を撮ることができ、「外にある世界を受け取る感じ」と表現した。
■サプライズゲストにニコン後藤氏
「バースデーケーキお披露目」では、ステージ上にGR DIGITALの5周年を祝うバースデーケーキが登場。湯浅氏が「GRの“G”は自分のイニシャルだ」と話すスペシャルゲストの存在を示唆し、ニコン顧問 ニコンフェロー 映像カンパニー 後藤研究室室長の後藤哲朗氏を紹介した。
登場したバースデーケーキに大勢が詰めかけた | 湯浅一弘氏(左)と笑顔で肩を組む後藤哲朗氏(右) |
ろうそくを吹き消す際、「その前に」と取り出したカメラで撮影する後藤氏 | ケーキはイベント終了まで展示。自由に撮影できた |
後藤氏はバースデーケーキのろうそくを吹き消すと、「GR DIGITALのように愛されるカメラは羨ましい」、「週明けに出社するのが怖い」などと語り、会場を盛り上げた。笑顔で肩を組む後藤氏と湯浅氏の姿に、来場者は大いに沸いていた。
バースデーケーキお披露目のあとは、来場者にオリジナルデザインの焼き印入りどら焼きを配布。GR DIGITALのロゴと、ブログなどでGRユーザーを公言する篠原ともえさんによるイラストがデザインされた2種類を用意していた。
どら焼きはGR DIGITALロゴ入り(上)と篠原ともえさんによるイラスト入り(下)の2種類を配布 | どら焼きは大量に用意。デザインが異なる2種類のどら焼きを両方求めるファンが多く、スタッフも「早い者勝ちです」と快く手渡していた |
■「コンパクトカメラの高性能化は写真愛好家にとって嬉しい」
写真家のハービー・山口氏と横木安良夫氏が、当日のワークショップ参加者による作品を紹介・コメントする「GR表参道スナップス講評会」を実施。撮影はそれぞれのチームに分かれ、イベントと並行して2時間ほどの間に行なったという。
ハービー・山口氏(右)と横木安良夫氏(左)がGR DIGITALの特徴も交えつつコメントした |
ハービー氏は表参道という土地への思い入れを「若者の文化の中心だった。若者の写真を撮るのが好きだから、若者との接点だった」と語り、横木氏は「人がいないから学生の時によくポートレートを撮っていた。落ち着いた街だった」と話した。
横木氏は液晶モニターの付いたカメラを使用する際は「99%液晶(モニター)で撮る」と話し、写真を撮るポイントについて「傑作写真を撮る必要はない。気になったものを撮っていた結果、傑作が生まれる」とした。たくさん撮って選んで人に見せることが写真上達のポイントだという。
「コンパクトカメラの高性能化は写真愛好家にとって嬉しい」というハービー氏は、「『上手い写真を撮ろう』は邪心。邪心なき写真は美しい」と話した。また、写真上達のコツを「いい写真をいっぱい見て、憧れること。そこに自分の世界へのヒントがある」とした。
■マニアックなクイズ大会
イベント最後の催しとなる「GRクイズ」では、ステージ前を2つに分けて○×クイズを実施。制限時間内に正しいと思うほうに移動し、残り10人程度になったところでステージ上へ上がられうというもの。賞品はリコーのプロジェクター「IPSIO PJ X3130」、アップル「iPad」(16GB)、リコー「CX4」(バープピンク、ソフトケース付き)など。
出題はリコーの竹内茂樹氏 | 金賞はリコーのプロジェクター。発売前のため目録を手渡す |
制限時間が来るとロープが張られる |
最初の問題「リコーGRシリーズが誕生するきっかけとなったカメラは『G1』である」では、回答者全員が×に移動し、全員正解。その後の「ISO国名コードで『GR』はドイツである」(正解は×)、「プレジデントの湯浅氏はニコン『D90』を愛用している」(正解は×)などの問題でステージ上への進出者が決定した。
ステージ上での問題は、早抜け形式。「初代GR DIGITALの有効画素数は?」(正解:813万画素)、「GR DIGITALシリーズの絞り羽根の枚数は?」(正解:7枚)、「GR DIGITAL IIIの液晶モニターは3型だが、ドット数は?」(正解:92万ドット)、「初代GR DIGITALのセンサーサイズは?」(正解:1/1.8型)、「GR DIGITALシリーズの通常時の最短撮影距離は?」(正解:30cm)といったマニアックな設問だったが、ステージ上に残った参加者の多くは悩むそぶりもなく回答していた。
なお、本誌が「プレジデントの湯浅氏はニコン『D90』を愛用している」の設問について湯浅氏に直接伺ったところ、「キャンディッド・フォトを提唱しているので一眼レフカメラは持っていません」とのことだった。
クイズ終了後は、再度抽選会のチャンスを用意。「お手持ちのカメラのシリアルナンバーに5が2つ以上入っている方」を対象に、ユニクロのコラボTシャツを進呈。イベントの最後を飾った。
■ファン垂涎の展示コーナーも
会場には歴代のGRおよびGR DIGITALシリーズを展示。当時の販促用グッズなども並んでおり、GR DIGITALシリーズをはじめとするリコー製カメラを手に記念撮影する来場者や、歴代GRの思い出を振り返る来場者などで混み合っていた。
「GR LENS 28mm」(1997年) | 「GR LENS 21mm」(1999年) |
GR10の別注モデル。左から「GR10 GUNDAM」、「GR10 CAMERA JOURNAL」 |
左から「GR1ブラック」(1996年)、「GR1シルバー “SCEPTER”モデル」(レンズ銘検討中の試作品)、「GR1s」(1998年) | 「GR1v」(2001年、左)、「GR21」(2001年、右) |
コンセプトモック | GR DIGITALのモックアップ |
デザイン検討用の試作品も展示していた |
GR DIGITALの限定リングや銀塩GRシリーズの販促用グッズを展示 | GRシリーズの図書カードなどもあった |
関連書籍や写真集の展示・販売コーナーも設けており、手に取って読むことができた。先行販売となる田中長徳氏の著書もあった。
写真集と書籍の展示コーナー | 販売コーナー |
また、最新機種のタッチ&トライコーナーを設置。東京・銀座のフォトギャラリー「RING CUBE」にもまだ展示していないという「GR LENS A12 28mm F2.5」(10月末発売予定)の試作品も自由に手に取って試すことができた。
タッチ&トライコーナー | GR LENS A12 28mm F2.5(試作品)を装着したGXR |
また、来場者が自由に書き込める「らくがきコーナー」を会場に用意。来場者のメッセージとともに、会場へ来られなかった写真家 田中長徳氏のほか、ミュージシャンの吉田拓郎さん、坂崎幸之助さんからのメッセージも掲示していた。
開場直後のらくがきコーナーの様子 | 日程を間違えてプラハのアトリエにいるという田中長徳氏から“GR人類”へ向けたメッセージ |
リコーの企業CMに自身の楽曲「流星」が使用されており、何かと縁を感じるという吉田拓郎さんのメッセージ | “GR DIGITAL 21”を待ち望み、10周年記念にはなぎら健壱さんと参加したいという坂崎幸之助さんのメッセージ |
写真家による作品を展示 |
会場に現れた全身真っ白なパフォーマーが来場者の注目を集めていた |
彫刻のように静止していたかと思うと突然動き出し、GRどら焼きを食べるなどのパフォーマンスも披露 |
表参道ヒルズでは、ポスター掲示に加え館内放送でもGR PARTYの開催をアナウンスしていた |
2010/10/12 17:57