ソニー、“スピード一眼”「α55」「α33」の発表会を開催


α55

 ソニーは24日、「スピード一眼」を謳うレンズ交換式デジタルカメラ「α55」および「α33」の発表会を都内で開催した。

 α55は、APS-Cサイズの撮像素子を搭載したレンズ交換式デジタルカメラとして世界最速のAF追随10コマ/秒連写を実現したモデル。撮像素子は約1,620万画素、APS-Cサイズの「Exmor APS HD CMOS」。レフレックスミラーに透過光ミラーを使用し、撮像素子に常時光を当ててライブビューを可能にする「トランスルーセントミラーテクノロジー」を採用した。有効画素数や連写速度を減らし、GPS機能を除いた「α33」も用意する。

 α55およびα33は、ソニーがPMA2010やCP+2010において「α」の新モデルとして発表した「中級機」と「メインストリーム機」のうち、“全てのユーザーに向けた一眼カメラ”とするメインストリーム機のモデル。

 なお、製品仕様などの詳細は既報の関連記事を参照されたい。


「瞬間を逃さない」ために

パーソナルイメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部事業部長の勝本徹氏

 同社パーソナルイメージング&サウンド事業本部イメージング第3事業部事業部長の勝本徹氏は、同社のAマウントおよびEマウントの製品コンセプトをそれぞれ「瞬間を逃さない」(Aマウント)、「写真も動画も 一眼クオリティを全ての人に」(Eマウント)とし、Aマウント強化のためとする新製品α55とα33を紹介した。

 α55およびα33では、ソニーがデジタル一眼レフカメラの市場に参入して以来自問自答してきたという「かけがえのない瞬間を取り逃がさないために」というテーマに向け、新しく透過ミラーを用いた「トランスルーセントミラーテクノロジー」を採用した。


 デジタルカメラとして初めてレフレックスミラーに透過ミラーを採用した「トランスルーセントミラーテクノロジー」は、静止画と動画の両方で位相差AFを利用できる点を特徴とする。また、ミラーの上下とミラーショックの吸収を行なう必要がないため、AF追従で10コマ/秒(α55)の高速連写を実現したほか、ミラーボックスのメカ体積や重量の削減によりボディの小型軽量化にも貢献。Aマウントを採用するαで最も小さいサイズに仕上げた。

 動画記録機能「クイックAFフルHDムービー」もトランスルーセントミラーテクノロジーを利用。位相差AFの利用により、コントラストAF方式より高い動体追従性を実現した。交換レンズについては、「位相差AFはコントラストAFより一段性能がよく、動画対応のための構造を入れなくてもスムーズに動作する」とし、現状ではカールツァイスレンズなど「光学的に魅力的なレンズを提供するほうがよいと思っている」とした。

 また、動画撮影機能について「(同社の)ハンディカムと食い合うのでは?」という質問に対しては、「まったく心配していない。ハンディカム領域の製品は子どもの成長など記録用途が強いが、一眼の動画はどちらかというと作品作りや高感度を活かした一部報道などの『別用途』だと思っている。どちらもそれぞれ作っていきたい」と話した。

 従来から一部機種で採用する独自のライブビュー機能「クイックAFライブビュー」も進化した。従来は撮像センサーと異なる小さなサブセンサーでライブビューを行なっていたが、トランスルーセントミラーテクノロジーを採用したクイックAFライブビューでは、常にメインの撮像素子でライブビューを行なう。これにより、位相差AFを利用しながらも、より高精細で高感度なライブビューが行なえるようになった。

クイックAFライブビューα550比23%の小型化を実現

 新たに光学ファインダーの代わりに採用するEVF「Tru-Finder」(トゥルーファインダー)は、視野率約100%の確保を特徴とする。また、デジタル水準器をオーバーレイ表示するなどの機能も利用可能。撮影前にホワイトバランスやクリエイティブスタイルを適用したプレビューが可能なため、「撮って確認」の作業が不要と強調した。

クイックAFフルHDムービーを撮影中のTru-Finder(イメージ)

 EVF(Tru-Finder)を搭載しながらなぜ一眼レフライクなデザインなのか、という問いに対して勝本氏は、「何十年も培われた一眼レフのデザインは完成の域にきており、グリップの形、レンズとファインダーの光軸の一致など、大きく替えるのはどうかと考えた」とした。今回は伝統的スタイルの中に新機能を凝縮し、デザインの挑戦はNEXで徹底的に追及したという。

 Aマウントで全面的に透過ミラーを採用するかという質問に対しては、「マーケットの要望次第。ソニーの大きな流れとして、中級機や上級機もトランスルーセントテクノロジーを活用していきたい」としながらも、「マーケットからのペンタプリズム排除はない。あくまでマーケットの要望次第」としていた。

 またα55は、レンズ交換式デジタルカメラで初というGPSを内蔵。画像に記録した位置情報はブラビアのフォトマップ機能で地図を確認できるほか、付属ソフト「PMB」のマップビュー、各種Webサービスなどで利用可能。

GPS関連機能動画用のマイクアクセサリーも用意

 勝本氏は、今後ともAマウントαの高性能化および高機能化を図るとともに、ソニーのレンズ交換式デジタルカメラは常に強化邁進していきたいと締めくくった。


CMでは「子ども」をフィーチャー

ソニーマーケティング コンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部統括部長の下野裕氏

 ソニーマーケティング株式会社コンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部統括部長の下野裕氏は、α55/α33の国内におけるマーケティング戦略について説明した。

 国内カメラ市場規模は2007年をピークに2009年度まで縮小していたものの、2010年は前年比108%の伸びを見せている。同社は6月に「NEX-5/3」を発売し、一眼レフカメラの大きい、重い、難しいの3大障壁を解消。動画の楽しみをプラスして「新しいマーケットを切り開いた」と話した。実績として、7-8月の「デジタル一眼市場シェア」で20%を獲得。ファミリー層の多い「一眼カメラ」に比べ、NEXシリーズは女性ユーザーが多い点を特徴としていた。

 コンパクトデジタルカメラと合わせたソニーの国内シェアは台数ベースで20%に足りない程度だが、カムコーダー、レンズ交換式デジタルカメラ、コンパクトデジタルカメラを合わせると20数%で、「国内ナンバー1と思っている」とした。中期的な目標として国内金額シェアをもっと上げていきたいが、具体的な目標はまだないという。

α製品群「スピード一眼」をアピール

 同社では、「速い被写体」、「スポーツシーンの最高の瞬間」、「子どもの一瞬のかけがえのない表情」をα55/α33の訴求ポイントとし、子どもをフィーチャーしたCMを展開する。プロモーションワードは「はじけろ、こども!」。テレビCMは発売日翌日の9月11日から放送する。

 Webでは8月24日からスペシャルコンテンツを公開。アスレチックの中で子どもが見せる一瞬の表情を、α55/α33の連写、AF、ハイビジョン動画を用いて疑似撮影する趣向。

 加えて、銀座ソニービルでも9月2日よりプロモーションイベントを展開。遊園地をテーマに、ソニービルの中に小さなジェットコースターを走らせるという。会場では撮影体験のほか、α55/α33の技術解説コーナーも設ける。

タッチ&トライ

 会場では、実際に手に取れるα55を用意。10コマ/秒の連写や、バリアングルチルト液晶によりライブビュー撮影の効果を試すことができた。併せて、同時発表の交換レンズやアクセサリーなどの展示も行なっていた。

α55。装着レンズは標準ズームキットの「DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM」
α55の連写速度やAF追従を試せるコーナーを設置
α55の分解モデル透過ミラーの様子
DT 35mm F1.8 SAM85mm F2.8 SAM
同日発表の「Distagon T* 24mm F2 ZA SSM」を装着したα900

【2010年8月27日】α55、またはα33を指すときに使用していた「デジタル一眼レフカメラ」との呼称を「レンズ交換式デジタルカメラ」に改めました。



(本誌:鈴木誠)

2010/8/24 19:00