HP、タッチパネル搭載のインクジェットプリンター発表会
日本ヒューレット・パッカードは30日、タッチパネル搭載のインクジェットプリンターの新製品を発表した。
発表したのは、「Photosmart Premium C309G」(2万1,840円)、「Photosmart Plus B209A」(1万5,960円)、「Photosmart Wireless B109N」(1万2,810円)、「Photosmart B109A」(1万920円)の4機種。発売時期は、Photosmart Premium C309GとPhotosmart Plus B209Aが10月16日、Photosmart Wireless B109NとPhotosmart B109Aが12月初旬を予定している。
すべての機種にタッチパネルを搭載し、ボタンは電源ボタンのみというシンプルさを特徴とする。ローエンドモデルのPhotosmart B109A以外は802.11 b/g/n規格の無線LANに対応。今回発表した機種の中で最上位モデルとなるPhotosmart Premium C309Gは、5色の独立インクカートリッジを採用するほか、同社が運営する写真共有サイト「Snapfish」(スナップフィッシュ)にPCを介さず直接接続可能な機能を有する。それぞれの機種について、詳しくは別記事を参照されたい。
Photosmart Premium C309G | Photosmart Plus B209A |
タッチパネルで操作しているところ | 5色独立インクを採用 |
■デジタルデータのプリント需要は増加
同日都内で開催した発表会では、「Photosmart Premium C309G」をはじめとした新製品のお披露目とともに、今後のプリンター製品や販売に関する戦略についての説明も行なわれた。
執行役員イメージ・プリンティング事業統括の挽野元氏は、同社のインクジェットプリンター戦略について説明。デジタルデータの増大は18カ月ごとに2倍になるという分析結果を示し、それに合わせて印刷可能なデータも今後3倍になるとの予想を示したうえで、今後のビジョンを「デジタルデータをいかに形としてユーザーへ送り届けるか」とした。
執行役員イメージ・プリンティング事業統括の挽野元氏 | 印刷可能なデジタルデータは今後3年で3倍に |
挽野氏はさらに、クラウドコンピューティングの普及により、インターネット上に存在するデータのプリント需要が増えるとも予想。HPとして提供できるサービスの一例として、写真共有サービス「Snapfish」を挙げた。
またHPでは、PCを介さずにプリントをする需要についても注目しており、6月には米国において、単体でインターネットに接続できるプリンター「HP Photosmart Premium with Touchsmart Web」を発表。好調な立ち上がりを見せているという。
HP Photosmart Premium with Touchsmart Webは、2010年に国内で展開予定。2009年中の発表を見送った理由として、国内においてプリンターをLAN接続する割合が低いことを挙げた。無線LAN機能を搭載した新製品を通して、プリンターのLAN接続率向上を図る考え。
クラウドコンピューティング・サービスの一例としてSnapfishを挙げた | 単独でインターネット接続可能なプリンターは米国で先行して発表 |
日本国内においては、プリンターのLAN接続があまり普及していない | プリンターの家庭内LAN接続を推進したのち、直接ネット接続可能なプリンターの投入を見込む |
■プリンターのワイヤレス接続を推進
続いて、イメージング・プリンティング事業統括コンシューマ&ウェブソリューション統括本部コンシューママーケティング部長の徳永信幸氏が、新製品の紹介を行なった。
イメージング・プリンティング事業統括コンシューマ&ウェブソリューション統括本部コンシューママーケティング部長の徳永信幸氏 | デモをまじえての説明となった |
徳永氏は新製品のキーワードを「TOUCH & WIRELESS」と説明。PCを介さず、より簡単なネットへの接続と、直感的な操作による女性への配慮を両立したという。説明中は、実際に操作を行なうデモを交えつつ、全機種にタッチパネルを搭載することによるデザインの向上と、操作の快適さをアピールした。
無線LAN機能については、家庭内で複数のプリンターを使うニーズに注目するとともに、WPS(Wi-Fi Protected Setup)によるネットワーク設定の簡便さを強調。「一押し」のモデルであるPhotosmart Plus B209Aを1万円台中盤から2万円台の価格帯に置くことによって、ワイヤレスの推進を進めたいとの考えを示した。
このほか、全色独立インクの採用や同梱ソフト「HP Smart Web Printing」による印刷コストの節約についても強くアピールしていた。
キーワードは「TOUCH & WIRELESS」 | アイコンに触れるだけという直感的な操作を実現 |
タッチパネルの搭載により、操作ボタンを大幅に削減 | 無線LANはWPS対応 |
市場平均より低い価格帯に設定 | 独立インクによる経済性をアピール |
Photosmart Premium C309G概要 | Photosmart Plus B209A概要 |
フラッグシップを含む新製品との機能比較 |
■国内シェア目標は15%
プリンター事業の販売戦力については、イメージング・プリンティング事業統括コンシューマ&ウェブソリューション統括本部長の竹田芳浩氏が説明を担当した。
2009年秋からは、2008年から「リピート購買の促進」と「購買層の拡大」を推進してきたことを踏まえ、ラインナップと製品展示環境の「強化・充実」に努めるという。
イメージング・プリンティング事業統括コンシューマ&ウェブソリューション統括本部長の竹田芳浩氏 | 2009年の販売展開テーマは「強化・充実」 |
独立インク採用機種を全ラインナップに展開 | 旧機種のインクを含め、HP製プリンターを取扱う全店舗でインクを販売するよう話を進めているという |
店頭での展示製品数拡大と、訴求メッセージの強化を目指す | “ネット直接接続”製品の投入を控える |
具体的には、従来のヘッド一体型インクに比べてコストが安い独立インクシステムの導入機種を全ラインナップに拡大し、取扱い店舗のすべてでHPのインクを販売するほか、店頭においてはHP製PCとのセット展示についても提案していく。
質疑応答では、国内シェアを7%から15%へ伸長させる目標を明らかにしたほか、A3以上のフォトプリントが可能な新機種の展開については「議論中」とし、「日本でどう展開するかは後日発表したい」と明言を避けた。
2009/9/30 20:39