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450gを切る超広角F2.8ズームレンズ「SAMYANG AF 14-24mm F2.8 FE」

フロントフィルターも装着可能

ケンコー・トキナーは、重量445gを実現した広角ズームレンズ「SAMYANG AF 14-24mm F2.8 FE」を5月23日(金)に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は税込16万9,800円前後の見込み。

CP+2025のLK SAMYANGブースで参考展示されていた製品。このたび正式に発売が決まった。

フルサイズセンサーに対応するソニーEマウント用の超広角レンズ。ズーム全域でF2.8の大口径タイプながら、全長88.8mm、最大径φ84mm、重量445gと小形軽量になっているのが特徴。実際手に取るとかなり軽く感じる。

加えて、Eマウント対応の14-24mmレンズとしてフロントフィルターの使用が可能な世界初のレンズだとしている。フィルター径は77mm。ケンコー・トキナー製のフィルターであれば、少なくとも1枚の使用でケラレることは無いという。リアフィルターホルダーは備えていないが、シートフィルターを貼り付けて使うことは可能。

77mmフィルターが使用できる
リアにはシートフィルターを貼ることが可能

LK SAMYANGによると12mmからのスタートも考えたそうだが、それだとF4でしか作れず競争力が弱まるとの考えから、フロントフィルターが使用可能なF2.8の14-24mmになったとのこと。またレンズエレメントをできるだけ減らすことで軽量化に繋げたという。旅行や山に持っていくのにも適するとしている。

他のマウントも検討しているが、現在はEマウントのほかのレンズを優先的に開発しているそうだ。2025年にはほかに3本のレンズをリリース予定とのこと。

ドイツの光学ブランド「シュナイダー・クロイツナッハ」との共同開発となっている。企画段階からコンセプトを共有した上で設計と製造はサムヤンが担当し、シュナイダーの品質チェックを受けるという形で製品化している。

シュナイダー・クロイツナッハのロゴも入っている

レンズ構成は非球面レンズ3枚、HRレンズ5枚、EDレンズ3枚を含む11群15枚。最短撮影距離は0.18mで、最大撮影倍率は広角端で0.17倍、望遠端で0.26倍。比較的クローズアップ撮影も可能だとしている。絞り羽根は9枚。

画面全体で優れた解像力を体験できるとしており、色収差とサジタルコマ収差を効果的の補正していることから夜景や天体撮影にも最適だという。

外観ではレンズ先端側にフォーカスリング、次にズームリングを備える。望遠側でもっとも短くなり、広角側で全長が伸びるタイプとなっている。PCソフトを介して、操作リングの設定変更にも対応する。

広角端にしたところ

カスタムボタンも備える。デフォルトではフォーカスロック機能になっているが、カメラから機能割り当ても可能となっている。

AF/MFモードスイッチとカスタムボタン

本体には水滴や小雨から保護するウェザーシーリングを施した。またUSB Type-C端子を備えており、ファームウェアアップデートにも対応する。

USB Type-C端子を装備する
付属のフードを装着したところ

Eマウント用で同じ焦点距離と明るさのレンズとしては、2019年発売の「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN|Art」がある。こちらはフロントフィルターは非対応だが、リアにフィルターホルダーを備える。全長は133mm、最大径は85mm。重量は795gとなっている。

直接の競合製品は上記のレンズになるが、ケンコー・トキナーとしては小型軽量や操作性の良さと併せて、同社製フィルターとの組み合わせを提案することで拡販していきたいとしている。

ゲストのクリエイターも高く評価

5月8日(木)に都内で開催された発表会では3名のゲストが招かれ、本レンズの印象などを語った。

中西アキオさん(写真家)

「天体撮影をするのはレンズの収差テストをするようなもので、レンズには厳しい性能が要求されます。コンパクトなサイズなので性能を心配しましたが、撮ってみたらその先入観が良い方に外れてくれました」

「絞り開放で撮って画面を拡大してもコマ収差が全くと言っていいほど目立ちません。大変立派な性能です。どの焦点距離でも画質に一貫性がありますね。天体写真ではリアプロソフトンフィルターを使いました」

坂井田富三さん(写真家)

「カメラ側の補正をオートにして撮影していますが、十分きれいな補正がされていると感じています。これまでは14mmとなると出目金レンズになるのでフィルターが付きませんでしたが、今回はケンコーのCPLフィルターを付けて撮影できました」

「やはり14mmでフロントフィルターが使えるのが最大の魅力だと思います。77mm径というフィルターが非常に一般的なサイズなので使いやすいということです。開放F2.8なので暗いところでも手持ちで十分撮影できるのも大きなポイントでしょう」

桜風涼さん(映画制作者)

「画面両端の歪みが少ないことが映画では重要ですが、このレンズは直線がしっかりと出ているのが良いですね。そのためパンしてもぐにゃぐにゃとならないんです。超広角で気持ちよくパンができるレンズは珍しいのではないでしょうか」

「そしてスチル用のレンズを動画で使った場合にズームが使えるのかというのが問題になります。このレンズは焦点距離を変えても同じ空気感で映せます。これも重要なポイントです。ボケ足も嫌みが無いのが良いですね」

LK SAMYANGは「極めて重要なブランド」

発表会で登壇したLK SAMYANG日本支社のキム・ウォンヨン氏は、「私個人としては、ほぼ20年前にサムスンテックウィンでコンパクトカメラに携わっていました。LK SAMYANGのレンズで、再び写真文化を広げる役割を担っていきたいです」と挨拶した。

LK SAMYANG日本支社のキム・ウォンヨン氏

また4月25日(金)に新しく就任したケンコー・トキナー代表取締役社長の櫻井匡氏は、「我々の中でLK SAMYANGは極めて重要なブランドと位置付けています。この先、製品を皆様に多く届くように積極的に販売を続けていきます」と語った。

ケンコー・トキナー代表取締役社長の櫻井匡氏

同じくケンコー・トキナーが扱うトキナーブランドのレンズについては、「今年中になるかと思いますが、今までの製品とは毛色の違った新しいものを発表できる」(ケンコー・トキナー コンスーマー営業本部長 花田聡氏)とのことだ。

主な仕様

  • 焦点距離:14-24mm
  • 開放Fナンバー:F2.8
  • レンズ構成:11群15枚(ASP3枚、HR5枚、ED3枚)
  • レンズマウント:ソニーEマウント (フルサイズ)
  • 最短撮影距離:0.18m
  • 最大撮影倍率:0.17倍 (広角端)、0.26倍(望遠端)
  • 絞り羽根枚数:9枚
  • フィルター径:Φ77mm
  • 外形寸法:Φ84×88.8mm
  • 重量:445g

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。