コダック、水濡れした写真プリントの救済法を公開


 コダックは3月30日、写真プリントが水濡れした場合の対処法を公開した。9.11テロ時の世界貿易センタービルから回収した写真の救済経験をもとにしたもので、「一般的な対処法」としている。

 対象は写真プリントの場合で、インクジェットプリンターによるプリントにはあてはまらない。今回公開した対処法は応急的な救済方法で、画像を長期に保存するためには、後処理としてスキャナーで取り込み再プリントすることを勧めている。

  • 重なって貼りついたブロック状の写真のかたまりを、冷水や氷を入れた水の中に30分~45分浸す。(冷水を使うことで乳剤の軟化を防ぐ)

  • 水道水は(消毒の)塩素を含むので雑菌の繁殖を防げるが、1日~2日で塩素の効果は消えるので、作業が長期にわたる場合は容器の水道水は毎日交換する。ただし、高濃度の塩素は写真乳剤を傷めるので、絶対に塩素(次亜塩素酸など)を水に添加してはならない。

  • 時々プリントの束をトランプを切る時のように前後に曲げてみて、端の部分から剥がれるようになるまで待つ。

  • プリントの束の角の部分から、ゆっくりと一方向に剥がしていく。別の角からも順々に剥がしていき、1枚ずつ写真全部を剥がす。

  • 無理に剥がすことはしない。無理に剥がすと乳剤を損傷し、修復が不可能になる。剥がれなければさらに水に浸す。水の中で束をときどき前後に曲げると、より剥がれやすくなる。

  • 剥がしたプリントは完全に乾くまで陰干しする。

  • 表面を傷めずにきれいに剥がせれば、元のプリントの表面の光沢は戻る。うまく剥がれなかった場合、プリントの一部に表面が曇ったようなムラが残ることがある。複写やスキャンして光沢面の印画紙で新しいプリントを作成すれば、光沢プリントが得られる。

  • 写真プリントの裏面のバック印字(ラボ名やコマ番号などの印字)のインクが、貼りついたプリントの乳剤面に転写している場合、写真フィルム用途の「フィルムクリーナー」を使用して取り除くことが可能。アルコールやほかの溶剤は乳剤を傷めるので使用できない。




(本誌:武石修)

2011/4/4 19:01