キヤノン、「EOS Kiss X5」など春モデルの発表会

〜女優の吉高由里子さんが登場

 キヤノンは7日、デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss」シリーズおよびコンパクトデジタルカメラ「IXY」シリーズ、「PowerShot」シリーズの新製品発表会を都内で開催した。

 発表機種は、デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X5」、「EOS Kiss X50」。交換レンズ「EF 500mm F4 L IS II USM」、「EF 600mm F4 L IS II USM」。コンパクトデジタルカメラ「IXY 31S」、「IXY 410F」、「IXY 210F」、「PowerShot SX230 HS」、「PowerShot A3200 IS」、「PowerShot A2200」、「PowerShot A1200」など。加えて、「EF 200-400mm F4 L IS USM エクステンダー1.4x」の参考出品もあった。

 各機種の詳細は関連記事を参照されたい。

「カメラそのものの魅力に気づいてもらうことが大事」

 キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏は、国内市場における新製品導入の狙いについて話した。

 2010年の同社デジタルカメラは、コンパクトでシェア1位を得た「IXY 10S」を筆頭に、
デジタル一眼レフカメラでは「EOS Kiss」シリーズが年間で1位と2位を獲得したと話した。また、「EOS 60D」も好調で、各カテゴリーごとに高いパフォーマンスを発揮したと強調。カメラ全体のシェアでは2004年から7年間ナンバーワンをキープした。

キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏ビデオカメラも含めたカメラ全体で7年連続シェアナンバーワンとする

 デジタルカメラ市場は2009年に落ち込んだものの、2010年に再び伸び始め、2011年も堅調に推移すると予測する。いわゆる“ミラーレス機”も市場を底上げしているとした。

 また、Twitterなどのソーシャルメディアの盛り上がりにより動画ニーズが高まっており、市場には新しいビジネスチャンスが生まれているとする。

 2011年春は、携帯電話や家電メーカーから登場する新しいデバイスもライバルとなり、市場の競争がますます熾烈になっていくと川崎氏は予測する。カメラそのものの魅力に気づいてもらうことが大事と強調した上で、新たなカメラファン・写真ファンを作り出し、裾野を広げていきたいと話した。

「市場を大いに盛り上げていきたい」

 続いて登壇したキヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏は、新製品の商品戦略と特徴について解説した。

新製品をアピールするキヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏

 一眼レフカメラEOSシリーズ用の交換レンズ「EFレンズ」が累計生産6,000万本を達成したことに触れ、同社では科学・医療・放送の分野で培った設計と生産ノウハウをカメラレンズの高画質化に向けて投入している点を強調した。

 また、コンパクトデジタルカメラでは、暗所でもノイズやブレをおさえた撮影が可能とする「HS SYSTEM」をアピール。

 デジタル一眼レフカメラでは「撮影領域の拡大」をテーマに、すでに映画やCMの分野で好評というEOSムービーを例に挙げた。

 今後は動画スナップショットを共有するなどの楽しみ方も提案し、静止画同様の最高画質を実現すると自信を見せた。

 真栄田氏は続いて、「キヤノンのレンズ技術の結晶」とするEFレンズ新製品を紹介した。

 今回正式発表となった「EF 500mm F4 L IS II USM」および「EF 600mm F4 L IS II USM」は、いずれもプロ仕様の大口径望遠Lレンズ。高画質化とあわせて「報道・スポーツの分野からの一番の願い」だったという軽量化も図り、EF 500mm F4 L IS II USMでは約18%、EF 600mm F4 L IS II USMでは約27%の軽量化を実現した。

 これらの軽量化はレンズ設計者にとってもきわめて難しい挑戦だったといい、3Dシミュレーション技術を利用し、比重の軽いマグネシウムの使用率を高めた。また、ガラスより比重の軽い2枚の蛍石レンズを採用することで、色滲みを抑えつつ軽量化を図った。

超望遠レンズの軽量化を実現CP+2011に展示予定の「EF 200-400mm F4 L IS USMエクステンダー1.4x」外観モデル。

 また、開発発表としてエクステンダー内蔵の超望遠ズームレンズ「EF 200-400mm F4 L IS USMエクステンダー1.4x」を紹介。年内の発売を目指す。切り換え式のエクステンダーを内蔵することで、スポーツやネイチャーの分野に向ける。同レンズの外観モデルは9日にパシフィコ横浜で開幕する「CP+2011」のキヤノンブースにも展示するという。

 デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X5」は、全自動モード「シーンインテリジェントオート」の搭載を一番のポイントとする。発売日は3月3日。店頭予想価格はボディのみが9万円前後、レンズキットが10万円前後、ダブルズームキットが13万円前後の見込み。

EOS Kiss X5
バッテリーグリップは「EOS Kiss X4」と共通

 加えて、2010年に発売した「EOS 60D」で好評という「表現セレクト」、「クリエイティブフィルター」、「マルチアスペクト」機能を継承。クリエイティブフィルターには「魚眼風」を初搭載した。

表現セレクトクリエイティブフィルター
マルチアスペクトも利用可能になったBGMをつけてショートムービーを作成できる「ビデオスナップ」機能を新搭載

 EOS Kissシリーズの新たなエントリーラインとなる「EOS Kiss X50」は、ローエンドながら基本性能に妥協はないとし、ISO6400までの感度、3コマ/秒の連写速度をアピールした。発売は3月下旬。店頭予想価格はボディのみが5万円前後、レンズキットが6万円前後、ダブルズームキットが9万円前後、こだわりスナップキットが7万円前後の見込み。

 「いつでもどこへでも持って行ける」をコンセプトに、動画機能も含め“一眼レフカメラデビュー”に向ける。新カラーのレッドについては、「コンパクトカメラからのステップアップや若いユーザーにぴったり」としていた。

EOS Kiss X50。カラーバリエーションにレッド(左)も用意したレッドのEOS Kiss X50の装着レンズは「こだわりスナップキット」の含まれるEF 50mm F1.8 II

 コンパクトデジタルカメラIXYシリーズのフラッグシップを担う「IXY 31S」は、広角端24mm相当、開放F2からの4.4倍ズームレンズが特徴。UAレンズ1枚を含む非球面レンズ3枚を使用し、コンパクトさと描写力を両立させたという。3.2型のタッチパネル式液晶モニターを搭載する。発売は3月3日。店頭予想価格は3万7,000円前後の見込み。

IXY 31S
上面カラーバリエーションは4色
3.2型のタッチパネル式液晶モニターを搭載

 スリムモデルの「IXY 410F」は、24mm相当からの5倍ズームレンズ搭載機種として世界最薄という19.5mmのボディ厚を実現。発売は17日。店頭予想価格は3万円前後の見込み。

IXY 410F
カラーバリエーションは3色

 カラフルモデルという「IXY 210F」は、エントリーモデルながらフルHD動画記録に対応。自動シーン認識機能「こだわりオート」も利用できる。発売は17日。店頭予想価格は2万3,000円前後の見込み。

IXY 210F

 PowerShotシリーズで初めてGPSを搭載した「PowerShot SX230 HS」は、14倍の高倍率ズームレンズを搭載。写真と動画に撮影場所の緯度・経度・標高を記録できる。発売は3月3日。店頭予想価格は4万円前後の見込み。

 同モデルは設定画面からロガー機能をオンにすることで、電源オフ時もGPSトラックデータをメモリーカードに記録し続けるという。測位間隔の変更はできない。トラックデータの記録フォーマットはNMEA。

PowerShot SX230 HS
上面にGPSユニットを搭載電源オフ時にトラックデータを記録できる
カラーバリエーションは3色

 ほかにも、PowerShot Aシリーズの3機種も発表。いすれも広角端28mmからのズームレンズを採用し、モードダイヤルにクリエイティブフィルターを搭載する。

パステル調カラーの「PowerShot A3200 IS」は2月17日発売。店頭予想価格は1万6,000円前後の見込み「PowerShot A2200」はAシリーズ最薄ボディが特徴。17日に発売する。店頭予想価格は1万3,000円前後の見込み
単3電池駆動の「PowerShot A1200」は3月上旬発売。店頭予想価格は1万2,000円前後の見込み

 これらの新モデルでデジタルカメラの潜在ユーザーを開拓し、市場を大いに盛り上げていきたいと締めくくった。

IXYのパートナーに吉高由里子さん

 キヤノンマーケティングジャパン専務取締役コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏は、国内のマーケティング戦略について説明した。

キヤノンマーケティングジャパン専務取締役コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏レンズ交換式デジタルカメラ購入者の女性比率が高まっているという

 EOS Kissシリーズはモデル別シェアで16年間ナンバーワンを維持しており、「『国民的一眼レフ』といっていい大ヒット商品」(佐々木氏)と自信を見せた。EOS Kissシリーズはファミリー層が重要なターゲットで、父母からの厚い支持を集めていると述べた。

 また、EOS Kissシリーズではダブルズームキットが売り上げの70%を占めると説明。望遠ズームレンズが運動会などのシーンで好評だという。

 一方で、“カメラ女子”と呼ばれる女性をはじめとした若年ユーザーも増加傾向にあるという。メインのファミリー層に加え、それらも取り込んで顧客層拡大を狙ったマーケティングを行なっていくとした。

 今回のラインナップでは、EOS Kiss X5でボリュームゾーンのファミリー層へアプローチし、EOS Kiss X50で拡大基調の若年層など新規ユーザーを狙う。

 若年層に向けるEOS Kiss X50では、新たに「こだわりスナップキット」を用意。レンズキットの「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS II」に「EF 50mm F1.8 II 」を加え、初回限定で撮影テクニックブックなどを同梱するという。撮影テクニックブックには、若年層からの人気も高い市橋織江氏の写真を掲載する。

EOS Kiss X5の広告テーマ「普遍の愛」は、「動物も子どもを思う気持ちは変わらない」がコンセプト購入者には「スマイルフォトBOX 2011春」を進呈
EOS Kiss X50には「こだわりスナップキット」をラインナップこだわりスナップキットの初回特典

 コンパクトデジタルカメラIXYシリーズは、豊富なバリエーションでカメラの楽しみを伝えることをテーマとする。カメラにより親しみを感じてもらう為のコミュニケーションパートナーとして、女優の吉高由里子さんを起用した。明るさ、親しみやすさ、華やかさ、幅広い層への共感が起用のポイントという。

吉高由里子さんの出演する広告イメージ

「カジュアルに、積極的に付き合いたい」

 発表会では、IXYの新コミュニケーションパートナー吉高由里子さんのトークショー「コミュニケーションパートナーに聞く」を実施。

吉高由里子さん

 手渡されたIXY 31Sの第一印象を「つるんとしていて、上品でかわいいような、きれいなような、素敵なカメラだと思います」と語った。

キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎氏がIXY 31S(ゴールド)を進呈IXY 31Sの第一印象について話す吉高由里子さん

 また、広告の中でメッセージの書かれた吹き出しを持つシーンにならい、「今年撮りたいものは?」という質問に手書きで答えるシーンも。「世界はあまり行ったことがないけれど、日本で感じられる四季をひとつひとつ撮っていきたい」のだという。

今年撮りたいものは「日本の四季」と回答

 最後に、「今後カメラとどう付き合っていくか」との質問に対し「カジュアルに、積極的に接していきたい」と話し、トークショーを締めくくった。

川崎氏が手にするEOS Kiss X5にも興味を示していた

新製品はCP+2011でお披露目

 発表会の会場にはタッチ&トライコーナーを設け、今回発表の新製品を一堂に展示していた。カメラバッグやストラップに関しては「キヤノン、アルティザン&アーティストとコラボしたカメラバッグ」および「キヤノン、レース使いの斜めがけストラップなど」を参照されたい。

クリップオンストロボ「320EX II」
ズーム機構側面にリモートレリーズボタンを配置した
クリップオンストロボ「270EX II」こちらも側面にリモートレリーズボタンを備える
IXY/PowerShotシリーズ用のソフトケースIXYシリーズ用のウォータープルーフケース

 なお、今回発表の新機種はいずれも9日にパシフィコ横浜で開幕する「CP+2011」で一般にお披露目するという。会期中はEOSムービーによる映像体験イベントも実施。

CP+2011会期中の催しEOSムービーのイベントも同時開催


(本誌:鈴木誠)

2011/2/7 20:40