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ライカ監修クアッドカメラ搭載の「Xiaomi 15 Ultra」詳報

すべてのカメラで10bit Logでの記録が可能 冷却機構も装備

Xiaomi 15 Ultra

シャオミ・ジャパンは3月14日(木)、「新製品発表会2025上期」を都内で開催した。ここでは同日に国内で発表したスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」について中心にお伝えする。

Xiaomi 15 Ultraは既報の通り、ライカと共同開発したカメラを搭載する同社スマートフォンのフラッグシップモデル。3月14日(木)から予約を開始し、3月18日(火)に発売する。

200mm相当までのロスレスズーム

2024年5月に発売した「Xiaomi 14 Ultra」の後継モデルで、新たに100mm相当の望遠レンズを搭載し、望遠撮影に強くなった。紹介時のステートメントは「スマートフォン撮影体験の頂点を目指して開発したモバイルフォトグラフィープロダクト」。

Xiaomi 14 Ultraよりも2万円安い価格設定。発表時には会場で歓声が上がった

用意される3色のうち、特に「シルバークローム」はクラシックカメラを思わせるシルバーとブラックのツートンカラーが目を惹く。黒い部分はレザーの質感で、滑り止めの効果もあるようだ。

ツートンカラーになったことで、カメラユニットを集めた円形のエリアが1つのレンズのようにも見える。カメラユーザーにとって、デザイン上でも馴染みが良くなったと感じた。

シルバークロームはツートンカラー
ブラック。レンズ周りに赤のリングが入る
ホワイト。薄く模様が入っており、サラサラした感触になっていた

注目のリアカメラは「ライカクアッドカメラシステム」と呼ばれ、4つのカメラからなる。超広角カメラ(14mm相当、約5,000万画素)、メインカメラ(23mm相当、約5,000万画素)、3×望遠カメラ(70mm相当、約5,000万画素)、4.3×望遠カメラ(100mm相当、約2億画素)となる。

超広角レンズ以外は光学手ブレ補正が搭載されている
カメラ部分。「VARIO-SUMMILUX」銘を冠する

4.3×カメラでは、2億画素を生かしたという200mm相当のロスレスズームが可能。全体で14-200mm相当を光学ズームで実現した。

200mm相当以降は、デジタル処理による最大120倍(2,760mm相当)までのズームが可能となっている。

4.3×カメラはペリスコープデザインとなっている
カメラアプリではスワイプするとズームできる
「ホワイトバランスをプロレベルに調整する」という13チャンネルのスペクトルセンサーを新搭載した
カメラアプリの画面
マニュアル撮影モードもある
引き続きライカのフィルターも利用可能
スイッチ類はボリュームと電源のみ
下部にはUSB Type-C端子などがある

前モデルでは標準カメラのみ対応だった10bit Log記録が全てのカメラで可能になり、ポストプロダクション向けの映像撮影にも使いやすくなったという。そうしたこともあり、カメラとチップセットにまたがる冷却システムも搭載しており、カメラのパフォーマンスを向上させるとしている。

冷却システムにもこだわった
Xiaomi 14 Ultra(右)からの主な進化点
OSバージョンアップは4回を保証している。OSはAndroid 15ベースのXiaomi HyperOS 2

フォトグラフィーキットも進化

オプションとして「Xiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition」(1万9,980円)を用意する。前モデルから高機能化し、カラーも一新された。

Xiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition
装着したところ

シャッターボタンなどを備えるいわばグリップで、ライカとの共同開発品となっている。今回新たにサムレストが加わり、親指を置くことでより安定したホールディングが可能となっている。

素材が滑りにくく、しっかりと持てる印象を受けた。ズームレバーを含めてコンパクトデジカメに近い操作感だった。カメラ部分には67mm径のフィルターが付けられるアダプターも付属する。

カラーが1つのみで派手な赤色なのは好みが分かれそうだ。装着すると今回の目玉であるシルバークロームのデザインが隠れてしまうのが惜しい。本体のカラーを生かせるキットの発売にも今後期待したいところだ。

上面。グリップ部分にはバッテリーも内蔵している
サムレストには滑り止めがある。試したところ、上部のダイヤルでは露出補正が機能した
シャッターボタン部分にはズームレバーがある
こちらもあたらに用意された着脱式のシャッターボタン(上)。シャッターにねじ込むことで高さが増し、押しやすくなった
下部にはストラップホールやUSB Type-C端子があった
期間内にXiaomi 15 Ultraを購入するとフォトグラフィーキットが進呈される

撮影体験会で超望遠をチェック

発表会ではXiaomi 15 Ultraの望遠撮影を試すことができた。

まずは20mまたは15m離れた場所からギターを弾く人物を撮影するというもの。標準カメラでは人物は小さくしか写らないが、望遠撮影だと画面いっぱいに写せる。

20m離れた場所からメインカメラで見たところ
約30倍のズームでこの大きさに写る

望遠撮影時は画面左上に2重の長方形が出現し、ピントが合うとこのラインが緑になる仕組みだ。手ブレ補正は強力でかなり止めてくれるが、画角が狭いためスマートフォンを持っている手が動くと被写体を見失いやすい。スタンドのようなものを併用するとこうしたシーンでは撮りやすいかもしれない。

こちらは15m離れた位置からメインカメラで撮影したもの
同じく15mの距離から約500mm相当の画角で撮影したもの

続いてはミニチュアの車から5m離れて撮影。少々離れた場所から展示物を撮る、といったシチュエーションでも望遠カメラが活躍しそうだ。

30倍の撮影画面
メインカメラで撮影したもの
約700mm相当で撮影したもの

最後はマクロ撮影を試した。3×カメラ(70mm相当)は10cmまでのマクロ撮影が可能となっている。けっこう寄れるのでテーブルフォトや趣味のアイテム撮影にも役立ちそうな機能だった。

撮影状況
メインカメラで撮影したもの
3×カメラでマクロ撮影したもの。ハンドルのロゴにピントが合っている

ライカカメラジャパン社長「シャオミは撮影に強い関心を持っている会社」

発表会では、ライカカメラジャパンの福家一哲社長も登場した。

ライカカメラジャパンの福家一哲社長。スクリーンのカメラは、ライカ初の量産35mmカメラ「ライカI」

「今年、ライカカメラ社はカメラ事業を開始して100周年という節目を迎えることができた。ライカカメラ社もスマートフォンで最高の写真が撮れるよう近年モバイルデバイスに注力してきた」と最近の取り組みを紹介。

そして、「シャオミは写真撮影に大変強い関心を持ち、写真を撮る喜びや高揚感にもとても力を注いでいる。撮影イベントやフォトコンテストの開催など、写真を楽しむ場を提供するのはライカカメラ社とも似ている。同じような意思を持った会社同士、技術的な提携に留まらず、写真の楽しさを伝えることによって、さらに多くの方にシャオミとライカに興味を持ってもらえると期待している」と挨拶した。

ライカ共同開発の“コンパクトフラッグシップ”

同時に国内発表されたのがライカと共同開発したトリプルカメラを搭載する「Xiaomi 15」。Xiaomi 15 Ultraに比べて価格を抑えながら、14-120mm相当の画角をカバーするなどカメラ機能にも力が入っている。発売は4月1日。

ブラック
ホワイト
グリーン

このほかにリキッドシルバーが用意される。鏡面仕上げだが、実際に波打った表面になっており光を複雑に反射する。

リキッドシルバー

リアカメラは超広角カメラ、メインカメラ、2.6x望遠カメラで、いずれも約5,000万画素。超広角カメラ以外は光学手ブレ補正を搭載する。

こちらもライカのVARIO-SUMMILUX銘となっている

Xiaomi 15 Ultraにも搭載されている機能だが、「ファストショット」機能をXiaomi 15で試した。

ファストショットは撮影距離をあらかじめ固定しておくことで、AFなどの時間を省いてシャッタータイムラグを短くできる機能だ。

シャッターボタンを押すと即座にキャプチャされる印象で、ストリートスナップのような使い方には向いていると感じた。焦点距離も実際のレンズを意識した選択式なので、単焦点レンズを交換する感覚で使えそうだ。

レンジファインダーカメラのブライトフレームを模していて、写る範囲よりも広く見ることができる
「拡張ビューファインダー」がその機能となる

3眼のタフネススマホも

ライカ共同開発の製品ではないが、トリプルカメラを搭載した低価格モデル「Redmi Note 14 Pro 5G」も発表された。発売は3月22日。

左からラベンダーパープル、ミッドナイトブラック、コーラルグリーン

水深1.5mで30分までの防水性能、300回のローラー耐久試験、3,000回の圧縮試験といったタフネス性能を備えているのが特徴。メインカメラには2億画素センサーを採用している。

ラベンダーパープル
コーラルグリーン

写真家・市川渚さんの作品も展示

発表会には写真家の市川渚さんも登壇し、気に入ったというXiaomi 15について「ライカ共同開発の画づくりが満足できる。それでいて、カメラ部分が大げさ過ぎないバランスが良い」と評した。

写真家の市川渚さん(右)
会場には市川さんらの作品を並べたギャラリーも設けられた
市川渚さんが沖縄の村で撮影したという1枚。特徴的な緑の色づくりが気に入ったそう
常設店となる「シャオミストア」がイオンモールの浦和美園店と川口店にオープンすることも明らかになった
発表会で登壇したメンバー。左から小米技術 プロダクトプランニング本部長の安達晃彦氏、写真家の市川渚氏、ライカカメラジャパン 代表取締役社長の福家一哲氏、イオンモール 取締役 上席執行役員の坪谷雅之氏、小米技術 取締役副社長の鄭彦氏

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。