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【詳報】グリップ一体型シネマカメラ キヤノン「EOS C80」

スチルカメラライクな見た目のRFマウント機 外観写真を多数掲載

キヤノンは、デジタルシネマカメラ「EOS C80」を11月に発売する。価格はオープンプライス。直販サイトでの価格は税込89万6,500円。

同社の映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」の新モデル。2020年発売の「EOS C70」の兄弟機として展開する。EOS C70は併売する。

EOS C70はSuper35センサーを採用していたが、EOS C80は新たに35mmフルサイズセンサーを採用。マウントは引き続きRFマウントとなっている。

ワンオペ運用を想定

CINEMA EOSのカメラとしては「EOS C400」(9月20日発売)以上の上位モデルが複数スタッフでの使用を想定したボックスタイプとなっているのに対し、EOS C80はEOS C70同様にスチルカメラ「EOS」シリーズのデザインを取り入れ、ソロオペレートスタイル(いわゆるワンオペ)での使用を想定している。

スチルカメラのようなグリップを備えるほか着脱式のハンドルユニットが同梱されており、手持ちでの撮影がしやすくなっている。ジンバルへの搭載も想定されている。

ハンドルユニットを装着したところ

キヤノンではニュース、ドキュメンタリー、行政・学校・企業系映像制作、ウエディング、イベント、比較的低予算の映画制作、ミュージックビデオ、Web CMなどの分野での利用を想定。一般的なミラーレスカメラを現在使用しているビデオグラファーのステップアップにも適するとしている。

背面
上面
底面
グリップ部
レンズ装着例(RF24-105mm F4 L IS USM)
レンズ装着例(RF24-105mm F4 L IS USM)

スチルカメラ形状のCINEMA EOS機でフルサイズセンサーを搭載するモデルには「EOS R5 C」もある。EOS C80が動画撮影に特化しているのに対して、EOS R5 Cはミラーレスカメラ「EOS R5」同等の静止画撮影にも対応している点が大きな違いとなっている。

3つのベース感度で低ノイズに

画質はEOS C400同等としている。撮像素子は35mmフルサイズの裏面照射型CMOSセンサーで、6K 30p RAWや4.3K 60p RAWといった記録が可能。RAWの場合も内部収録できる。

感度はISO 160-ISO 25600、拡張時はISO 100-ISO 102400となる。ベースISOがISO 800/3200/12800の3つあるため、高感度でもノイズが少ない撮影ができるという。ベース感度の自動切り替えも可能。ダイナミックレンジは16ストップ。

ルックの設定ではスキントーンを重視しつつフィルムライクな「Canon709」を搭載。キヤノンの色味を踏襲しているため、あらゆるシーンに活用できるという。

またLog記録となるCanon Log2/3のほか、グレーディングの開始点として使いやすいCMT 709も搭載。新たに色空間用のルックとなるCMT DCI/CMT HLG/CMT PQも搭載している。

EOS C400同等のAF性能

AF関係もEOS C400を引き継いだものとなっている。AFシステムは「デュアルピクセルCMOS AF II」で、ディープラーニングを活用したアルゴリズム「EOS iTR AF X」を採用することで、瞬時に被写体を捕捉できる高速AFを実現した。

測距エリアは従来モデルの約80×80%から約100×100%に拡大。被写体が画面の隅に移動した場合でもピントを合わせることができる。

検出対象は人物が瞳、顔、頭部、動体。犬と猫が瞳、顔、全身となっている。人物のAF追尾中に瞳や顔が隠れた場合でも胴体を検出してトラッキングを継続する。

電動NDフィルターを搭載

電動式NDフィルターを内蔵し、5段階の減光が可能となっている。NDフィルターは2ストップ、4ストップ、6ストップの3枚からなる。拡張モードとしてNDフィルターを重ねることで8ストップと10ストップの減光も可能。なお、拡張モードではピントが微妙にずれるという。

映像表現上、シャッター速度が制限される動画撮影ではNDフィルターが多用される。日中、大口径レンズの絞りを開けて使いたい場合などにレンズ装着のフィルターよりも素早く減光することができる。ボディ左側にNDフィルターの操作ボタンを備えている。

冷却ファンを内蔵

ボディには冷却ファンを搭載し、ノンストップ記録が可能。ボディ左サイドから吸気し、右サイド及び底面の2カ所に排気する。上位モデル同様、内部の基板には直接空気が当たらない独立気室ダクト構造で、耐久性や信頼性に配慮した作りになっている。

メモリーカードスロットは、SDメモリーカードのデュアル(UHS-II対応)。すべての記録形式をカバーするためにはV90のカードが必要となる。

2つのスロットは同時記録、プロキシ同時記録、異種同時記録、リレー記録など様々なモードに対応している。

SDメモリーカードスロット。縦位置用の三脚穴も見える

液晶モニターは3.5型276万ドットのタッチパネルで、フリーアングル式。縦位置撮影にも配慮してあり、撮影画面やメニュー画面を縦位置表示にできるほか、グリップ側に三脚ネジ穴を装備することで縦位置のマウントを可能としている。

縦位置撮影時のイメージ

通信インターフェースが充実

インターフェースでは、EOS C70には無かったSDI端子(12G対応)が新設された。そのほか、音声はミニXLR×2とマイク端子、ヘッドホン端子を装備。USB Type-C、リモート、HDMI Type A、タイムコード(BNC)端子も備える。また内蔵Wi-Fi、Ethernet端子、マルチアクセサリーシュー端子が新搭載となっている。

インターフェースの多くが側面にある
端子のカバーを開けたところ
新設のSDI端子
Ethernet端子も新設
タイムコード端子
マルチアクセサリーシューも備えている
液晶モニターを開けると音声関係の設定ができる

スマートフォンアプリやオプションのコントローラーからカメラを制御できるほか、パソコンからの操作に対応するシステムも用意している。これによりIPストリーミングやFTPによる映像伝送に加えて、バーチャルプロダクションにも対応可能だとしている。

スマートフォンアプリのコントロール画面

同梱のバッテリーは「BP-A30N」で、約120分の撮影が可能という。大容量タイプの「BP-A60N」も用意される。従来の「BP-A30」と「BP-A60」も使用できる。

本体サイズは約160×137.4×116mm、重量は約1,310g。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。