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富士フイルムフォトサロン「ポートフォリオレビュー/アワード 2023」受賞者が決定

アワード受賞者・レビュワーの集合写真。(前例左から)茂木氏・松永氏・加藤氏・minachom氏

富士フイルムが運営する若手写真家応援プロジェクト「ポートフォリオレビュー/アワード 2023」の受賞者が決定した。今後、各推薦者写真家、企画者、富士フイルムのサポートを受けながら、2024年3月に開催する写真展に向けて準備と作品制作を進めていくという。

(左から)8月レビュー 浅田氏・野村氏
(左から)9月レビュー GOTO氏・中藤氏
10月ファイナリストレビューにて
最終選考の様子

ポートフォリオレビュー/アワード 2023では、応募者の中から一次選考を通過した47名に対し、8月に浅田政志氏・野村恵子氏、9月にGOTO AKI氏・中藤毅彦氏がオンラインレビューを実施。10月には二次選考を通過した12名に対し、レビュワー4名による対面式のファイナリストレビューを行った。最終選考を経てアワード受賞者に決まったのが以下の4名。

アワード受賞者(五十音順・敬称略)

Vol.1 加藤卓(かとう すぐる)「土と太陽」(推薦写真家:野村恵子)

ⓒSuguru Kato

現在住んでいる、神奈川県の風景。
写っているのは特別なものではないが、太陽の光によって、
その様子がはっきりと照らし出されると、些細なものであっても
力強い存在に変わる。そんな瞬間を写そうと思った。

<野村恵子 選評>
何でもない風景から、写真の面白さ・写真の力が伝わる。初回のレビューからファイナルに向けて、大きくブラッシュアップされており、その対応力と今後の展開に可能性を感じた。

Vol.2 松永誠(まつなが まこと)「I surrender」(推薦写真家:中藤毅彦)

ⓒMakoto Matsunaga

都市において「境界」を定義するさまざまな人工物。
境界物が持つ排他的性質と閉鎖的性質は、そこへの侵入者と逃走者
を可視化し、「境界」に新たな領域を生み出している。
画一的なパターンを持っていた境界物が、内外のあらゆる要因によって変形し、独自性を確立した様子を撮影した。

<中藤毅彦 選評>
写真の発する熱・流れを感じる。また、写真を捉える直感力も良い。
伸びしろもあり、今後変わっていく作品を見たいと思った。

Vol.3 minachom(みなちょむ)「短パン男」(推薦写真家:浅田政志)

ⓒminachom

「とある男」の日常シーン。
かわいいらしい子どもや動物でも、人生を体に深く刻み込んだ老人
でもない。なぜかふとした瞬間に、この被写体に心を揺さぶられ、
シャッターを切りたい衝動に駆られる。
「ふじどん」と呼ばれるその男は、春から秋にかけて頻繁に短パン姿で
登場する。何年かにわたって撮りためてきた、愛おしい姿をまとめた。

<浅田政志 選評>
一次選考・初回のレビューの時から印象的だった。身近な人を撮るという行為は難しいが、誰が見ても笑顔になる作品。展示がとても楽しみ。

Vol.4 茂木智行(もてぎ ともゆき)「Tram in Chaos City」(推薦写真家:GOTO AKI)

ⓒTomoyuki Motegi

朝から晩までクラクションが鳴り止まない、インド東部の大都市
コルカタ。インドでは唯一の路面電車「トラム」が走っている。
しかし、この街の一番電車は、電車ではなく羊。ターミナルで放牧されるのだ。その後、車のクラクションを掻き分けて、二両連結のトラムがゆっくりとやってくる。車窓からは、街の様子が手に取るように見てとれた。

<GOTO AKI 選評>
鉄道写真の類型にない、異邦人ならではの楽しさがある。展示までに再度インドに撮影に行くという心意気も素晴らしい。今後、人物写真などを加え、再セレクトすると、よりインパクトが強くなる。

アワード展

開催期間:
2024年3月22日(金)〜4月11日(木)フジフイルム スクエア
2024年4月26日(金)〜5月9日(木)富士フイルムフォトサロン 大阪

アワード受賞者:加藤卓、松永誠、minachom、茂木智行(五十音順・敬称略)
レビュワー:写真家 浅田政志、GOTO AKI、中藤毅彦、野村恵子(五十音順・敬称略)
主催:富士フイルム株式会社
企画協力:デジタルカメラマガジン編集部、株式会社コンタクト
アートディレクション:長尾敦子(Book Photo PRESS)

デジカメ Watch編集部