ニュース

富士フイルム、写真プリントの新しい価値提案「写真幸福論プロジェクト」を開始

「写真展パッケージ」と「フォトメッセージカード」の新サービスがスタート

富士フイルム株式会社は8月25日、「写真幸福論」プロジェクトを開始すると発表した。同日より、「写真展パッケージ」と「フォトメッセージカード」の2つのサービスを提供開始している。

「写真撮影」や「写真プリント」を通じて人生の幸福度を高めることを目指したプロジェクト。写真を撮る、プリントする、飾る、贈るといったプロセスを通じて幸せを共有する場を提供し、写真による幸せを増幅・伝播させる取り組みを展開していく。

その第一弾としてスタートするのが「写真展パッケージ」と「フォトメッセージカード」の提供で、主なターゲットは前者が企業や自治体、後者が一般若年層となっている。今後、ファミリー・シニア層や作品創作者を対象としたサービスも展開していく構えだ。

会話と絆を創出する。新たな写真展パッケージ

「“PHOTO IS”想いをつなぐ。会話と絆が生まれる写真展パッケージ」

企業や自治体などを対象とした「“PHOTO IS”想いをつなぐ。会話と絆が生まれる写真展パッケージ」の提供を開始する。費用は税込4万4,000円~(要見積)。

「Web応募システム」「展示写真(展示プリント作成)」「展示用什器」をパッケージ化して、写真展開催をサポートするサービス。写真展をきっかけに会話と絆を生じさせることで、コミュニケーション活性化への貢献を企図している。

写真展開催で得られる効果について

富士フイルムイメージングシステムズ株式会社 松本考司代表取締役社長は、社会の効率化が進む中で、コスト/タイムパフォーマンスが求められるほど人間関係が希薄していく可能性があると指摘。その中において、例えば企業で写真展を開催してコミュニケーションが活性化すれば、個人と職場の関係性が向上し、それが働き甲斐やイノベーションの創出につながる、その結果として高い幸福が得られるようになる、というのが本サービスの目指すところだ。

同社の参加型写真展「“PHOTO IS”想いをつなぐ。あなたが主役の写真展」を企業向けに転用できないか、という発想からスタート。本サービスの活用例として、M&Aによってつながった企業間、医師と患者、先生と生徒といったコミュニティにまで応用できるとしている。

富士フイルムイメージングシステムズ株式会社 松本考司代表取締役社長

“写真に服を着せる”フォトメッセージカード

写真プリントとオリジナル台紙を組み合わせたプリントサービス「フォトメッセージカード」を販売する。L判およびハーフサイズに対応。価格はいずれも1枚550円(税込)。

Pantone社とコラボレーションしたオリジナル台紙40色の中から選んだ1枚と、写真プリントを組み合わせるというもの。台紙の裏側には手書きのメッセージを入れられるようになっており、“感性”や“想い”を込めて大切な人に写真プリントを贈ることが出来るとしている。

同社の調査によると、写真プリントの“ペラペラ感”が残念であるという回答がZ世代を中心に得られたという。これまでハダカだった写真に服を着せることで、作品として、また贈り物として写真プリントの価値を向上させるという。

台紙は約2mmの厚みとすることで“しっかり感”を演出。メッセージを書きやすい優しい紙質にもこだわった。表面の写真プリント側からも台紙カラーが見えるようデザインされており、フレーム効果も得られるとしている。

台紙のラインアップ(左)と写真プリント(右)

「写真幸福論」プロジェクトで提供する新しい“写真の価値”

前出の松本考司氏によると、フィルム写真が全盛だった“フィルム時代”と、スマートフォンが普及した“スマホ時代”では、写真プリントの価値が変容しているという。

“フィルム時代”における写真プリントの価値とは、情報の記録・保存がその主たるものだった。“スマホ時代”に入ると、その役割はスマートフォンに記録・保存された撮影データで十分ということに変わっていく。では一体、今の時代の新しい写真プリントの価値とは何なのか、同社はその問題と向き合っていた。

結論から言うと、写真プリントの価値は「保存→表現」「記録→作品」に替わっていると松本氏は指摘する。“自分を表現する作品を作る”というプロセスを通して、作り手である自分自身の自己肯定感が高まり、人生における幸福度が増幅するというのが、写真プリントから見出される新しい価値であるという。

「写真幸福論」のステートメント

その背景には、社会の中に見られる“分断”や“孤独”の広がりがあると松本氏は説明。そうした中で多くの人が自己承認欲求を抱いている状況にあると分析する。例えばSNSなどで、「自分はこういう人間だ」とブランド化して写真表現をするといった動きが多く見られるのも、そうしたことが理由にあるという。

写真を撮る、プリントする、贈る、飾るといった“写真プリントのプロセス”に、人の幸せを増幅させる力があると同社は強調。これまでの客観的な機能優位性に立脚した「写真=モノコト」としての商品価値提案に対して、これからは主観的な生活充足度を高める「写真=シアワセ」としての人生価値提案を進めていく。それが「写真幸福論」プロジェクトの要旨だ。

新しい価値提案

具体的な取り組みとしては、「幸福感をシェアする場の提供」「幸福感を広げる製品・サービスの提供」を軸に展開。「写真展パッケージ」と「フォトメッセージカード」を皮切りに、今後も様々なターゲット層に向けてサービスを拡充していく。

プロジェクトを通じて提供するもの
「写真幸福論」プロジェクトの概要
本誌:宮本義朗