ニュース

高砂淳二氏、自然写真最高峰「Wildlife Photographer of the Year」で日本人初の「自然芸術部門」最優秀賞

「Heavenly Flamingos」Junji Takasago(高砂淳二)

写真家の高砂淳二氏が、イギリスのロンドン自然史博物館(大英自然史博物館)が主催する写真賞「Wildlife Photographer of the Year」の自然芸術部門で最優秀賞を受賞した。同部門で日本人が受賞するのは初めてだという。

「Wildlife Photographer of the Year」は、大自然をテーマにした、世界でも権威のある写真賞の一つ。ロンドン自然史博物館が主催で、1964年にスタートして今年で第58回となる。自然芸術部門を含む全16部門からなり、2022年度は全世界から3万8,000以上の応募があったという。

受賞作品は「Heavenly Flamingos」。写真に収められているのは、南米ボリビアの標高3,700メートルに位置するウユニ塩湖で、静かに羽を休めるフラミンゴ。運よく風がやみ、湖面が完璧な鏡状態となったタイミングだった。フラミンゴは人の気配に敏感なため、遠くから時間をかけて近づきながら撮影。高地のため、酸欠による頭痛や立ち眩みなどを起こしながらの撮影だったという。

作品について高砂氏は「ウユニ塩湖には10年間にわたり6回訪れていたが、フラミンゴは遠くで飛んでいるのを見かけるだけだった。今回は千載一遇の完璧なチャンスを逃さず撮影することができた。いろんな問題が起きている同じ地球上に、同時にこんな瞬間が存在するということ、そして、この地球はこんなにも美しく宝物のような天体であるということを心から伝えたいと思った」とコメント。

また、受賞について同氏は「自然写真の世界最高峰で、しかも世界で最も知られるアメリカの『National Geographic』誌で活躍している自然写真家たちもこぞって応募し、受賞している写真賞でもあり、この度自分が頂ける事になり本当に光栄です」と話している。

受賞作品は、10月14日にロンドン自然史博物館で一般公開がスタート。その後、世界中を巡回予定としている。

高砂淳二氏プロフィール

1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界100以上の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書多数。
ザルツブルグ博物館、ニコンプラザ・THE GALLERY、東京ミッドタウンフジフイルムスクエア、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店、コニカミノルタプラザなど写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。
TBS「情熱大陸」、NHK「SWITCHインタビュー」、日テレ「未来シアター」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、幅広く伝え続けている。
みやぎ絆大使。海の環境NPO法人“Oceanic Wildlife Society”理事。

本誌:宮本義朗